事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(5)(第2問)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(5)(第2問)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成27年度試験問題一覧~

平成27年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

作業の標準化・マニュアル化・教育の実施

「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」は、生産現場の作業手順を統一化することによって、作業品質の安定(Q)、生産コストの低減(C)、生産リードタイムの短縮(D)を実現します。

 

 

与件文に記述されている問題点

与件文に、以下のような問題点が記述されている場合は、対策として「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」を実施することによって、問題点を解決することができます。

 

  • 作業の標準化やマニュアル化が行われていない。
  • 作業者によって作業手順が異なっており、所要時間も変動している。
  • 作業者によって技術レベルや作業品質にばらつきがある。
  • 作業者の経験に基づき作業を実施している。
  • 作業者の判断により作業を実施している。
  • 作業のルールが確立されていない。
  • 特定の作業者しか機械を操作できない。

 

対策の実施

「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」の実施手順を以下に示します。
「標準化」⇒「マニュアル化」⇒「教育の実施」という流れとなりますが、文字数制限が厳しいようであれば「教育の実施」は省略しても大丈夫だと考えられます

 

標準化

IE等により、各工程の作業内容や作業手順を洗い出したり、その作業手順の標準時間を測定することによって、作業の標準化を行います。

 

ポイント

「IE等により」という文言を追加するだけで、採点者から見ると、受験者がIEに関する知識を持っているような印象を与えることができるため、枕詞として入れておくと加点要素となる可能性があります。

 

マニュアル化

標準化された作業のマニュアルを作成します。

 

教育の実施

作成したマニュアルを用いて、作業者に体系的に教育することによって、生産現場に作業手順を浸透させていきます。

 

効果

「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」による効果を以下に示します。

 

  1. 無駄な作業を無くすことができるため、誰が作業を実施しても適正な時間(標準時間)で作業を実施することができる。
  2. 作業者による技術レベルの差をなくすことができるため、作業品質を安定させることができる。
  3. 作業者を多能工化することができるため、工程間の柔軟な相互支援体制を確立することができる。
  4. 工程間の柔軟な相互支援体制の確立によって、工程間負荷のバラツキを低減することができるため、生産リードタイムを短縮することができる。
  5. 工程間の柔軟な相互支援体制の確立によって、工程間負荷のバラツキを低減することができ、無駄な手持ち時間が解消され、残業時間を抑制することができるため、コストを削減することができる。

 

第2問

第2問(配点20点)

 

C社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第2問では、現在まで行ってきた設備投資によって生じているC社の生産工程に関する課題を把握し、解決する能力を問われています。

平成27年度の問題では「第1問-設問3」「第2問」「第3問」で、それぞれ与件文のどこを参考にして解答を構成するかという切り分けが非常に難しくなっています。

「第1問-設問3」「第3問」は、いずれも納期に関する問題となっているため、「第2問」では納期に関連する解答をしないよう注意して解答を考えていきます

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文において、【改善チームによる調査結果】の後半に記載されています。

【改善チームによる調査結果】の2段落目に、「多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況」との記載があり、この問題の解答に取り入れたくなりますが、この段落は「納期遅延が生じる原因」を説明しているため、「第1問-設問1」「第3問」の中で解答していくこととなります。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

与件文のどこを参考にして解答するかさえ決まっていれば、それほど難しい問題ではありません。

 

  • C社では工場全体の生産能力を鋳造工程の処理能力で把握しており、受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。しかし、改善チームが行ったマンホール蓋の主力製品の工程分析によると、図2に示すように機械加工工程がネック工程となっていた。この結果は他製品の工程分析でも同様の傾向を示していて、機械加工工程の残業が日常的に生じている原因が判明した。
    ⇒これまで鋳造工程の生産能力を増強してきたが、実際には機械加工工程がネック工程となっていて、日常的に残業が生じていることが分かります。
  • そこで改善チームは、機械加工工程の設備稼働状況を調査し、図3に示す結果を得た。稼働率は48%と低く、非稼働として停止37%、空転15%となっている。停止は、刃物、治具の交換や加工前後の製品運搬、機械調整などの段取り作業を主な要因として生じている。また空転は、加工が終了し製品を脱着する必要があるとき、作業員の作業遅れによって設備が待っている状態により生じている。
    機械加工工程がネック工程となっているのは設備稼働率が低いためであり、その要因は「刃物、治具の交換」「加工前後の製品運搬」「機械調整などの段取り作業」「製品脱着作業の遅れ」であることが分かります。

 

問題点と改善策

鋳造工程への設備投資によって生じているC社の生産工程に関する課題と改善策について考えていきます。

 

問題点

問題点は、与件文から抜粋した以下の内容そのままです。

  • 機械加工工程の設備稼働率が低いため、機械加工工程がネック工程となっており、日常的に残業が生じています。

 

改善策

問題点として取り上げている、「機械加工工程がネック工程となっていること」および「日常的に残業が生じていること」は、いずれも「機械加工工程の設備稼働率が低いこと」に起因しているため、機械加工工程の設備稼働率を高めるための改善策を講じれば、問題を解決できると考えられます。

与件文において、機械加工工程の設備稼働率が低い要因は「刃物、治具の交換」「加工前後の製品運搬」「機械調整などの段取り作業」「製品脱着作業の遅れ」と記述されているため、この4点について改善策を検討します。

 

  • 刃物、治具の交換
    ⇒「刃物、治具の交換」については、回数が多すぎるのか、作業時間が長すぎるのか、もしくは、これ以上改善することができない作業なのかという詳細に関する記述がないため、改善策を提案することができません
  • 加工前後の製品運搬
    ⇒設備稼働率が低い要因として「加工前後の製品運搬」が列挙されていますが、「第1問-設問1」「第3問」の中で講じる納期遅延に関する対策によって解決することができるため、この問題では改善策を提案しないこととします。
  • 機械調整などの段取り作業
    機械調整などの段取り作業に要する時間を、外段取り化などの手段により短縮することによって、設備の停止時間を短縮することを提案します。
  • 製品脱着作業の遅れ
    ⇒「作業員の作業遅れによって」との記述があるため、短い時間で作業を完了させるための最適な手順が整理されていないと考えられます。したがって、製品の脱着に関する作業手順の標準化・マニュアル化・教育の実施により、作業員による作業遅れを防止することによって、空転時間を短縮することを提案します。

 

これらを整理して、改善策は以下の通りとします。

  • 機械調整作業の外段取り化により停止時間を短縮する。
  • 製品着脱作業の標準化・マニュアル化・教育の実施により空転時間を短縮する。

 

加工前後の製品運搬

「加工前後の製品運搬」については、【改善チームによる調査結果】の2段落目に詳細が記載されており、解答に取り入れたくなりますが、この段落は「納期遅延が生じる原因」を説明しているため、「第1問-設問1」「第3問」の中で解答していくこととなります。この辺りが、平成27年度「事例Ⅲ」の難しさです。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容を100文字以内にまとめます。

 

問題点は、機械加工工程の設備稼働率が低いため、ネック工程となり日常的に残業が生じていることである。改善策は、機械調整作業の外段取り化による停止時間の短縮と製品脱着作業の標準化による空転時間の短縮である。(100文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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