財務・会計 ~H28-5-1 株式の発行(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H28-5-1 株式の発行(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

株式発行による増資

大規模な設備投資を行ったり新規事業を展開するなどの理由で資金が必要となった場合、その資金を調達する手段はいくつかありますが、金融機関からの借り入れは定期的に返済が必要になるなど資金繰りが厳しくなります

一方で、「株式発行による増資」ができれば、返済不要な資金を調達することができるため、資金繰りが楽になり、財務基盤も強化することができます

 

株式発行における資本金への計上額

企業が株式を発行して資金を調達する場合、資本金に計上すべき金額は「会社法」によって以下の通り定められています。

 

原則 払込金額の全額を資本金とする。
容認 払込金額の2分の1以上を資本金とし、残額は資本準備金(株式払込剰余金)とする。

 

上表の通り、株主から払い込まれたすべての資金を資本金として計上する必要はありません。
例えば、資本金が大きくなると、中小企業の優遇税制が受けられなくなるなどのデメリットがあるため、資本金ではなく資本準備金に計上するケースも考えられます。
ちなみに、資本準備金とは、会社の業績が悪化した場合に発生した欠損金の填補などに使用されます。

 

「創立費」と「株式交付費」

企業が株式を発行して資本金を調達する場合にかかった費用を計上する勘定科目として、「創立費」と「株式交付費」の2種類があります。

 

「創立費」と「株式交付費」の違い

株式を発行して資本金を調達するタイミングによって、「創立費」と「株式交付費」の勘定科目を使い分けます。

 

勘定科目 説明
創立費 会社の設立前にかかった費用を計上する勘定科目です。
会社の設立のためにかかった費用の一部として、株式の発行に関する費用(株式募集のための広告費・金融機関の手数料など)が含まれます。
株式交付費 企業を設立した後、株式の発行による増資にかかった費用を計上する勘定科目です。
株式募集のための広告費・金融機関の手数料などが該当します。

 

「創立費」と「株式交付費」の処理方法

「創立費」と「株式交付費」は、原則として営業外費用として一括して処理するよう定められていますが、金額が巨額となることが多いため、繰延資産に計上して毎期一定額で償却する方法を選択することも認められています

 

原則 支出した期に営業外費用として処理する。
容認 繰延資産に計上して毎期償却を行う。

 

繰延資産としての処理方法

「創立費」と「株式交付費」を繰延資産として計上する場合の処理方法を以下に示します。
繰延資産には、他にも「開業費」「開発費」「社債発行費等」などの勘定科目もありますので、ご注意ください。(またどこかで説明します。)

 

勘定科目 償却期間 償却方法
創立費 5年以内 定額法
株式交付費 3年以内 定額法

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成28年度 第5問】

次の資料に基づいて、下記の設問に答えよ。

[資料]

(期首)純資産の部 (単位:千円)
Ⅰ 株主資本
1. 資本金 80,000
2. 資本剰余金
(1)資本準備金 1,000
(2)その他資本剰余金 100
3. 利益剰余金
(1)利益準備金 5,000
(2)その他利益剰余金
繰越利益剰余金 1,200
87,300

 

期中取引(発生順)

  1. 増資にあたり、株式300株を1株当たり70千円の価格で発行し、払込金は当座預金とした。
    なお、会社法が定める最低額を資本金とした。また、株式募集のための費用150千円を小切手を振出して支払った。
  2. 株主総会が開催され、繰越利益剰余金の分配を次のように決定した。
    ① 利益準備金 会社法が定める最低額
    ② 配当金 800千円
    ③ 別途積立金 180千円

 

(設問1)

期中取引が終わった時点の資本金の金額として、最も適切なものはどれか。

ア 90,500 円
イ 90,650千円
ウ 101,000千円
エ 101,150千円

 

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問1)

株式発行における資本金への計上額

企業が株式を発行して資本金を調達する場合、資本金に計上すべき金額は「会社法」によって以下の通り定められています。

 

原則 払込金額の全額を資本金とする。
容認 払込金額の2分の1以上を資本金とし、残額は資本準備金(株式払込剰余金)とする。

 

今回の問題では、「会社法が定める最低額を資本金とした」との条件が与えられているため、「資本金」と「資本準備金」に払込金額を2分の1ずつ計上することとなります。

 

仕訳

また、株式募集のためにかかった費用は「株式交付費」として計上する必要があります。
「株式交付費」は「資本金」や「資本準備金」と相殺せずに計上する必要があるため、株式の発行による増資の仕訳は以下の通りとなります。

借方 貸方
当座預金
株式交付費
20,850
150
資本金
資本準備金
10,500
10,500

 

純資産の部(設問1の結果反映)

株式の発行による増資を行った結果、貸借対照表の「純資産の部」は以下の通りとなります。

(期首)純資産の部 (単位:千円)
Ⅰ 株主資本
1. 資本金 90,500
2. 資本剰余金
(1)資本準備金 11,500
(2)その他資本剰余金 100
3. 利益剰余金
(1)利益準備金 5,000
(2)その他利益剰余金
繰越利益剰余金 1,200
108,300

 

答えは(ア)です。


 

コメント

  1. y.shirai より:

    誤記ありました
    (株式発行における資本金への計上額)

    例えば、資本金が大きくなると、中小企業の優遇税制が’受けられなる’

    • 資格とるなら.tokyo 管理者 より:

      コメントありがとうございます。
      ご指摘いただいた箇所を修正しました。
      今後も、引き続きよろしくお願いいたします。

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