運営管理 ~R3-16 その他生産管理(4)職務設計~

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今回は、「運営管理 ~R3-16 その他生産管理(4)職務設計~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和3年度一次試験問題一覧~

令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

職務設計

「職務」とは従業員が分担する業務のことをいい、「職務設計」とは従業員に分担させる職務内容を設計することをいいます。

単なる業務の効率化だけでなく、従業員の欲求を満足させてモチベーションを高めるように「職務設計」を行うことにより、従業員のモラールを向上できれば、従業員が働きがいをもって積極的に業務に取り組み、能力を最大限に発揮するようになるため、生産性が向上します

「職務設計」においては、従業員のモラール向上が重要であるため、従業員の心理的要因を十分考慮した上で「仕事を人に合わせる」というアプローチが必要とされます

「職務設計」の考え方には、従業員に分担させる業務の種類を増やす「職務拡大」と、従業員に単なる作業だけでなく計画や統制といった管理業務まで任せる「職務充実」と、計画的に従業員を様々な職務に配置転換する「ジョブローテーション」などがあります。

 

職務設計(job design)

作業者の欲求を満足させ、勤労意欲を高揚させるために、作業者に分担させる仕事の内容を、計画する行為。

備考 職務設計の考え方には、職務の幅を広げる職務拡大(job enlargement)、計画と統制のような管理的要素を含めて、職務遂行を作業者の自主性に任せる職務充実(job enrichment)、種々の職務に配置転換して、多くの知識と経験を積ませるとともに、同一職務の繰返しによる単調感を防ぐことを目的とするジョブローテーション(job rotation、職務交替制)などがある。(JISZ8141-5112)

 

職務拡大

「職務拡大」とは、従業員に分担させる業務の種類を増やすなど職務内容の幅を水平的に拡大することをいいます。例として、1人の従業員が複数の工程を受け持つ「多能工化」があります。

従業員に分担させる業務の種類を増やすことにより、幅広い知識や能力を有する人財を育成するとともに、職務内容の単調化や定型化により従業員が感じる単調感や疎外感を防ぐことを通じて、従業員のモラールを向上させます。

 

職務充実

「職務充実」とは、従業員に分担させる職務の範囲を単なる作業だけでなく計画や統制といった管理業務まで任せるなど職務の権限や責任の範囲を垂直的に拡大することをいいます。

従業員に計画や統制といった管理業務まで任せることにより、作業者の職務遂行に対するモチベーションや業務改善意識の向上などを通じて、従業員のモラールを向上させます。

 

ジョブローテーション

「ジョブローテーション」とは、計画的に従業員を様々な職務に配置転換することをいいます。

従業員に様々な職務を経験させることにより、幅広い知識や能力を有する人財を育成するとともに、同一職務の繰返しにより従業員が感じる単調感を防ぐことを通じて、従業員のモラールを向上させます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和3年度 第16問】

職務設計に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 職務設計においては、高生産性と同時に作業者のモラールの向上が実現されるように、作業者に分担させる仕事の内容を計画しなければならない。
イ 職務設計においては、作業者の心理的要因を十分考慮し、「仕事を人に合わせる」という考え方ではなく「仕事に人を合わせる」というアプローチが必要とされる。
ウ 多工程持ちは変種変量生産への対応において効果的な方策であるが、作業者には負担感が大きく、モラールを低下させる1つの要因となる。
エ フォードシステムを導入することにより、流れ作業と分業化によって作業の効率化が進められると同時に、職務拡大や職務充実が図られる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「職務設計」に関する知識を問う問題です。

 

「職務」とは従業員が分担する業務のことをいい、「職務設計」とは従業員に分担させる職務内容を設計することをいいます。

 

(ア) 適切です。

「職務」とは従業員が分担する業務のことをいい、「職務設計」とは従業員に分担させる職務内容を設計することをいいます。

単なる業務の効率化だけでなく、従業員の欲求を満足させてモチベーションを高めるように「職務設計」を行うことにより、従業員のモラールを向上できれば、従業員が働きがいをもって積極的に業務に取り組み、能力を最大限に発揮するようになるため、生産性が向上します

 

したがって、職務設計においては、高生産性と同時に作業者のモラールの向上が実現されるように、作業者に分担させる仕事の内容を計画しなければならないため、選択肢の内容は適切です

 

(イ) 不適切です。

「職務設計」においては、従業員のモラール向上が重要であるため、従業員の心理的要因を十分考慮した上で「仕事を人に合わせる」というアプローチが必要とされます

 

したがって、職務設計においては、作業者の心理的要因を十分考慮し、「仕事を人に合わせる」という考え方ではなく「仕事に人を合わせる」というアプローチが必要とされるのではなく、職務設計においては、作業者の心理的要因を十分考慮し、「仕事に人を合わせる」という考え方ではなく「仕事を人に合わせる」というアプローチが必要とされるため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

「職務拡大」とは、従業員に分担させる業務の種類を増やすなど職務内容の幅を水平的に拡大することをいいます。例として、1人の従業員が複数の工程を受け持つ「多能工化」があります。

従業員に分担させる業務の種類を増やすことにより、幅広い知識や能力を有する人財を育成するとともに、職務内容の単調化や定型化により従業員が感じる単調感や疎外感を防ぐことを通じて、従業員のモラールを向上させます。

 

したがって、多工程持ちは変種変量生産への対応において効果的な方策であるが、作業者には負担感が大きく、モラールを低下させる1つの要因となるのではなく、作業者は単調感や疎外感を感じにくくなり、モラールを高める1つの要因となるため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「フォードシステム」とは、H.フォードが20世紀の初めに創始したフォード・モーター社で実現した生産の標準化とコンベヤーによる流れ作業を活用した大量生産方式のことをいいます。

コンベヤーによる流れ作業を導入するために、コンベヤーを流れていく部品に合わせて短時間で作業を実施できるよう、作業が細かく分業化され、1人の作業者が行う作業は単純化されています。

「フォードシステム」は、コストの大幅な削減と生産性の飛躍的な向上を実現することができるため多方面で導入されるようになりましたが、その一方で「フォードシステム」の導入に伴う極度の分業と標準化により、単調な作業を繰り返し要求される従業員のモチベーションが低下して生産性が低下するという問題が顕在化してきました

 

したがって、フォードシステムを導入することにより、流れ作業と分業化によって作業の効率化が進められるが、職務拡大や職務充実は図られないため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(ア)です。


 

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