事例Ⅲ ~平成24年度 解答例(5)(第3問-設問2)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成24年度 解答例(5)(第3問-設問2)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成24年度試験問題一覧~

平成24年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

生産管理

「生産管理」とは、生産活動に関する「Q:品質」「C:コスト」「D:数量および納期」の最適化を図るため、「需要予測」「生産計画」「生産実施」「生産統制」を行うことをいいます。

 

生産管理のポイント

「生産管理」に関連する主なポイントは以下の通りです。

 

  • 営業部門が入手した需要予測または受注情報を製造部門に迅速に連携して、迅速に生産計画に反映されるべきです。
  • 生産計画は「大日程・中日程・小日程」に分割してできるだけ短い間隔で更新され、できるだけ短い期間を対象として作成されるべきです。
  • 生産計画は、全ての製品および全ての工程を対象にして立案されるべきです。
  • 生産計画に基づき、一元的に生産統制(進捗管理、現品管理、余力管理)されるべきです。

 

生産統制

「生産統制」とは、作成された生産計画にしたがって生産活動を実施できるように、生産活動の状況を把握して、計画に対する差異が発生した場合には、即座に対策を行って差異を解消させていくことをいいます。

 

生産計画と生産統制の関係

「生産統制」では「生産計画」と照らし合わせて「QCD」の観点から問題が発生していないかを管理していきますが、「生産統制」で管理する項目には「進捗管理」「現品管理」「余力管理」があります。

 

生産統制 生産計画 説明
進捗管理 日程計画 日々の作業の進行状況を把握して調整する管理活動
現品管理 材料・部材計画 在庫の品質を確保して、所在と数量を明確に把握して調整する管理活動
余力管理 工数計画 労働者や機械の能力(例えば最大生産量など)に対する負荷状況を把握して、能力と負荷のバランスを調整する管理活動

 

進捗管理(進度管理)

「進捗管理」とは、日々の作業の進行状況を把握して調整する管理活動のことをいいます。

「進捗管理」の一番の目的は納期を遵守することですが、生産計画よりも前倒しして作業を進めても、仕掛品・完成品を倉庫に保管するコストが増加してしまうなどの問題が発生するため、適切ではありません

「進捗管理」では、早過ぎず遅過ぎず計画通りの日程で作業が進行するよう管理する必要があります。

 

現品管理

「現品管理」とは、「資材」「仕掛品」「製品」などの在庫の品質を確保して、所在と数量を明確に把握して調整する管理活動のことをいいます。

 

状況 観点
外部業者からの受け入れ
(原材料・部品)
受け入れ数量の過不足確認
品質の確認(傷・変形・破損など)
運搬
(原材料・部品・仕掛品・完成品)
運搬数量の過不足確認
適正な運搬荷姿
- 現品の傷・変形・破損の防止
適正な運搬方法
- 現品の傷・変形・破損の防止
保管
(原材料・部品・仕掛品・完成品)
保管数量の過不足確認
適正在庫の維持
- 在庫の長期保管による品質劣化の防止
適正な保管方法
- 積み上げによる荷崩れ等の防止
- 温度管理等による品質劣化の防止
外部業者への受け渡し
(完成品)
受け渡し数量の過不足確認
品質の確認(傷・変形・破損など)

 

余力管理

「余力管理」とは、労働者や機械の能力(例えば最大生産量など)に対する負荷状況を把握して、能力と負荷のバランスを調整する管理活動のことをいいます。

 

第3問(設問2)

第3問(配点40点)

 

C社では新規事業として外食チェーンY社との取引を検討している。その計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問2)

Y社から要求されているセントラルキッチンとしての機能を果たすためには、C社の日常業務上どのような情報が必要になるか、100字以内で挙げよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第3問(設問2)では、Y社から要請されているセントラルキッチン業務を円滑に推進するために、C社に求められる生産や管理に必要な情報を分析する能力と提案する能力を問われています。

 

セントラルキッチン業務の流れを受注から出荷まで頭でイメージして、必要な情報を洗い出して解答を構成していきます。

実際の試験においては、与件文に採用できる情報がないかを探していくはずなので、なかなか参考となる情報が見つからずに、かなり焦ることになると思います。

 

受注から出荷までの一般的な流れである「顧客からの受注」⇒「生産計画の策定」⇒「生産統制(進捗管理、余力管理、現品管理)」⇒「製品の出荷」をベースに、Y社から求められている「製品のトレーサビリティは国産牛を使用することから個体管理すること」の特殊要件を追加して解答を考えていきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文の【生産概要】の最後の一段落と【新規事業】の最後の一段落に記述されています。

今回の問題では、セントラルキッチン業務の流れを受注から出荷まで頭でイメージして、必要な情報を洗い出していきますが、Y社から求められている特殊要件が記述されている箇所について確認していきます。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

 

  • また食品業界で強く要求されるトレーサビリティについては、主原料で使用する輸入牛肉、国産豚肉の両方とも購入時に付帯してくるロット番号で識別管理している。現在使用している牛肉は、すべて輸入牛であり、そのため個体管理は行っていない。
    ⇒現在は、ロット番号で識別管理しています。

 

  • 打ち合わせの過程でY社からは、全店で必要とする主力メニューの牛肉のスライス、味付け、野菜のカットなどについて盛り付け前までの事前加工を行うことを要求されている。加えて製品のトレーサビリティは国産牛を使用することから個体管理すること、前日発注・翌日全店直接配送を行うことなど、C社でセントラルキッチンとしての機能を持つよう要求されている。C 社では、Y社の要求内容に対応可能かどうか検討中である。
    ⇒Y社からは「製品のトレーサビリティは国産牛を使用することから個体管理すること」を要求されているため、原材料の受入から製品の出荷まで個体識別管理情報を管理する必要があると考えられます。

 

日常業務上において必要な情報

セントラルキッチンとしての機能を果たすために、日常業務上において必要な情報を以下に列挙していきます。

 

受注情報

受注した翌日には全ての店舗に直接配送するため「店舗別の受注情報」が必要です。
また、受注した翌日に配送するには、受注してから原材料を調達しても間に合わないため、「受注予測情報」に基づき、原材料を調達する必要があると考えられます。

 

  • 受注予測情報
  • 店舗別の受注情報

 

生産計画

顧客から受注したら「店舗別の受注情報」を即時に「生産計画」に反映する必要があります。

「生産計画」には、工場の設備や従業員数といった生産能力の充足を確認するための長期的な計画と、原材料の調達に使用するための中期的な計画と、顧客からの受注に対する納期を遵守するための短期的な計画が必要になると想定されるため「生産計画」とだけ記述しています。

 

  • 生産計画

 

生産統制

「生産計画」を策定したら、計画通りに製品を生産できるように「生産統制」を行います。
「生産統制」には「進捗管理」「余力管理」「現品管理」といった管理項目があります。

 

  • 各工程の進捗状況(進捗管理)
  • 設備と従業員の余力状況(余力管理)
  • 原材料の発注状況と有効在庫(現品管理)
  • 製品在庫(現品管理)

 

製品の出荷

全ての店舗に製品を直接配送するため、配送先と出荷数量を管理する必要があります。

 

  • 配送先情報と出荷数量

 

Y社から求められている特殊要件

今回の問題では、製品のトレーサビリティで個体管理するという要件があるため、原材料の受け入れから出荷先の情報まで「個体識別管理情報」が必要になると考えられます。

 

  • 受入から出荷までの個体識別管理情報

 

解答例

ここまでに整理してきた内容に基づき、100文字以内にまとめます。

 

必要な情報は、受注予測情報、店舗別の受注情報、生産計画、各工程の進捗状況、設備と従業員の余力状況、原材料の発注状況と有効在庫、製品在庫、配送先情報と出荷数量、受入から出荷までの個体識別管理情報である。(100文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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