事例Ⅲ ~平成30年度 解答例(4)(第3問)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成30年度 解答例(4)(第3問)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成30年度試験問題一覧~

平成30年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

生産管理

「生産管理」とは、生産活動に関する「Q:品質」「C:コスト」「D:数量および納期」の最適化を図るため、「需要予測」「生産計画」「生産実施」「生産統制」を行うことをいいます。

 

生産管理のポイント

「生産管理」に関連する主なポイントは以下の通りです。

 

  • 営業部門が入手した需要予測または受注情報を製造部門に迅速に連携して、迅速に生産計画に反映されるべきです。
  • 生産計画は「大日程・中日程・小日程」に分割してできるだけ短い間隔で更新され、できるだけ短い期間を対象として作成されるべきです。
  • 生産計画は、全ての製品および全ての工程を対象にして立案されるべきです。
  • 生産計画に基づき、一元的に生産統制(進捗管理、現品管理、余力管理)されるべきです。

 

生産統制

「生産統制」とは、作成された生産計画にしたがって生産活動を実施できるように、生産活動の状況を把握して、計画に対する差異が発生した場合には、即座に対策を行って差異を解消させていくことをいいます。

 

生産計画と生産統制の関係

「生産統制」では「生産計画」と照らし合わせて「QCD」の観点から問題が発生していないかを管理していきますが、「生産統制」で管理する項目には「進捗管理」「現品管理」「余力管理」があります。

 

生産統制 生産計画 説明
進捗管理 日程計画 日々の作業の進行状況を把握して調整する管理活動
現品管理 材料・部材計画 在庫の品質を確保して、所在と数量を明確に把握して調整する管理活動
余力管理 工数計画 労働者や機械の能力(例えば最大生産量など)に対する負荷状況を把握して、能力と負荷のバランスを調整する管理活動

 

進捗管理(進度管理)

「進捗管理」とは、日々の作業の進行状況を把握して調整する管理活動のことをいいます。

「進捗管理」の一番の目的は納期を遵守することですが、生産計画よりも前倒しして作業を進めても、仕掛品・完成品を倉庫に保管するコストが増加してしまうなどの問題が発生するため、適切ではありません

「進捗管理」では、早過ぎず遅過ぎず計画通りの日程で作業が進行するよう管理する必要があります。

 

現品管理

「現品管理」とは、「資材」「仕掛品」「製品」などの在庫の品質を確保して、所在と数量を明確に把握して調整する管理活動のことをいいます。

 

状況 観点
外部業者からの受け入れ
(原材料・部品)
受け入れ数量の過不足確認
品質の確認(傷・変形・破損など)
運搬
(原材料・部品・仕掛品・完成品)
運搬数量の過不足確認
適正な運搬荷姿
- 現品の傷・変形・破損の防止
適正な運搬方法
- 現品の傷・変形・破損の防止
保管
(原材料・部品・仕掛品・完成品)
保管数量の過不足確認
適正在庫の維持
- 在庫の長期保管による品質劣化の防止
適正な保管方法
- 積み上げによる荷崩れ等の防止
- 温度管理等による品質劣化の防止
外部業者への受け渡し
(完成品)
受け渡し数量の過不足確認
品質の確認(傷・変形・破損など)

 

余力管理

「余力管理」とは、労働者や機械の能力(例えば最大生産量など)に対する負荷状況を把握して、能力と負荷のバランスを調整する管理活動のことをいいます。

 

在庫管理

「在庫管理」は「生産統制(現品管理)」で管理される項目ですが、「在庫管理」として解答を求められることが多いため、独立した項目として説明します。

「在庫管理」のポイントは、営業が入手する需要予測または受注情報に基づき、製品ごとに適正な在庫水準を設定して、生産量と出荷量のバランスを取りながら、適正な在庫水準を維持していくことです。

 

  • 在庫管理とは、適正な在庫水準を設定して維持することである

 

 

在庫管理

必要な資材を、必要なときに、必要な量を、必要な場所へ供給できるように、各種品目の在庫を好ましい水準に維持するための諸活動。
備考 在庫管理の方式として、定量発注方式と定期発注方式に大別される。(JISZ8141-7301)

 

第3問

第3問(配点20点)

 

C社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移(図1)を分析して、C社の生産計画上の問題点とその改善策を120字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第3問では、C社の生産計画策定方法と製品在庫数量の推移を分析して生産計画上の課題を把握し、その改善策を提案する能力を問われています。

 

与件文に「製品在庫数量の推移」の図が示されているということは、製品の「在庫管理」に問題があるということが推測できます。

事例Ⅲにおいて、「在庫管理」に関する問題が出題された場合は、改善策により「適正な在庫水準の維持」を提案するパターンが多いため、その方向で解答を構成していきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【生産概要】の全般と【図1 製品Aの在庫数量推移(2018年7月)】に記述されています。

 

「図1」において在庫数量の推移が示されているため、製品在庫の管理方法に問題があると推測しながら与件文を読んでいくと「過大な製品在庫」というキーワードが見つかります。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。
一段落が長いため、文章を細かく分割して確認していきます。

 

  • 主要な顧客企業の成形加工品は、繰り返し発注され、毎日指定の数量を納品する。
    C社の受注量の半数を占める顧客企業X社からの発注については、毎週末の金曜日に翌週の月曜日から金曜日の確定納品計画が指示される。
    ⇒特に問題はなさそうです。

 

  • C社の生産管理課ではX社の確定納品計画に基づき、それにその他の顧客企業の受注分を加え、毎週金曜日に翌週の生産計画を確定する。
    ⇒受注量の半数を占める顧客企業X社からの確定納品計画に基づき、確定納品計画でX社から指示を受けた日に、確定納品計画と同じ期間の生産計画を確定していると記述されているので、特に問題はなさそうです。

 

  • 日々の各製品の成形加工は、各設備の能力、稼働状況を考慮して原則週1回計画される。
    ⇒「成型加工は、各設備の能力、稼働状況を考慮して原則週1回計画される。」と記述されています。生産計画は、顧客からの受注量に基づき計画されるべきです。
    問題点は「各設備の能力、稼働状況を考慮して原則週1回計画される各製品の成形加工(生産計画)」であることが分かります。

 

  • また、生産ロットサイズは長時間を要するプラスチック射出成形機(以下「成形機」という)の段取り時間を考慮して決定される。
    ⇒「生産ロットサイズは長時間を要する成形機の段取り時間を考慮して決定される。」と記述されています。生産ロットサイズは、顧客からの受注量に基づき決定されるべきです。
    また、成型機の段取り時間は「第2問」で改善策を講じているため短縮されます。段取り時間がゼロになるわけではありませんが、生産ロットサイズを決定する際に成形機の段取り時間をそれほど考慮しなくてもよくなるはずです。

 

  • 生産効率を上げるために生産ロットサイズは受注量よりも大きく計画され、製品在庫が過大である。
    ⇒前の文章で記述されている「長時間を要する成形機の段取り時間を考慮して」という言葉が「生産効率を上げるために」という言葉にまとめられています
    問題点は「生産効率を上げるために受注量よりも大きく計画される生産ロットサイズによる過大な製品在庫」であることが分かります。

 

  • C社の主要製品で、最も生産数量が多いX社製品Aの今年7月2日(月)から7月31日(火)までの在庫数量推移を図1に示す。
    製品Aは、毎日600個前後の納品指定数であり、C社の生産ロットサイズは約3,000個で週1回の生産を行っている。
    ⇒「毎日600個前後の納品指定数」で安定しているのであれば、安全在庫を少なく設定することができます。
    また、週1回という周期で生産するのではなく、実在庫が安全在庫を下回った時点で生産する方法に変更すれば製品在庫量を管理することができます

 

 

  • 他の製品は、毎日の指定納品数量が少なく、変動することもあるため、製品A以上に在庫管理に苦慮している。
    ⇒「他の製品は、製品A以上に在庫管理に苦慮している。」と記述されています。
    それ以上の情報がありませんが、解答の中に他の製品の在庫管理についても何か一言入れておきたいところです。

 

生産計画上の問題点とその改善策

問題点が「過大な製品在庫」であるため、改善策の締めの言葉は「適正な製品在庫水準を維持する」とします

「解答の中に他の製品の在庫管理についても何か一言入れておきたい」とは書きましたが、文字数制限で書けそうにありません。

 

問題点

  • 各設備の能力、稼働状況を考慮して原則週1回計画される各製品の成形加工(生産計画)
  • 生産効率を上げるために受注量よりも大きく計画される生産ロットサイズによる過大な製品在庫

 

改善策

  • 週1回という周期で生産するのではなく、納品指定数が安定している製品Aの安全在庫を少なく設定して、製品Aの実在庫が安全在庫を下回った時点で生産する方法に変更して生産計画を策定する。
  • 顧客からの受注量に基づき生産ロットサイズを決定する。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容に基づき、120文字以内にまとめます。
「製品在庫に基づき策定する生産計画」という部分が私の意図した内容を伝えきれていない気がします。もっといい表現があればいいのですが。

 

問題点は生産能力に基づき策定される生産計画と生産効率を考慮して設定される受注量より大きい生産ロットサイズによる過大な製品在庫である。改善策は製品在庫に基づき策定する生産計画と受注量に基づく生産ロットサイズによる適正な製品在庫水準の維持である。(120文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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