事例Ⅲ ~平成30年度 解答例(2)(第1問)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成30年度 解答例(2)(第1問)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成30年度試験問題一覧~

平成30年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第1問

第1問(配点20点)

 

顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社の業績は維持されてきた。その理由を80字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第1問では、顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社が業績を維持してきた理由を分析する能力を問われています。

 

「事例Ⅲ」の第1問としてよくあるパターンの問題であり、与件文から該当する文言を抜き出して列挙していきます。与件文から該当する文言を抜き出すのはそれほど難しくありませんが、抜き出した内容を文字数内に収めるために取捨選択するのが難しい問題です。

 

与件文では、【C社の概要】の中盤に記述されています。

「1990年代後半から顧客企業の生産工場の海外移転に伴い量産品の国内生産は減少し」という文章から「近年、国内需要分の家電製品の生産が国内に戻る傾向があり」という文章の前の段落までに、その当時のC社の企業活動が記述されています。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

 

  • C社のプラスチック射出成形加工製品(以下「成形加工品」という)は、顧客企業で電気・電子部品に組み立てられ、その後、家電メーカーに納品されて家電製品の一部になる。主に量産する成形加工品を受注していたが、1990年代後半から顧客企業の生産工場の海外移転に伴い量産品の国内生産は減少し、主要顧客企業からの受注量の減少が続いた。
    ⇒「顧客企業の生産工場の海外移転に伴い量産品の国内生産は減少し、主要顧客企業からの受注量の減少が続いた。」という外部環境の変化について記述されているため、この辺りに、C社が業績を維持してきた理由が記述されていると考えられます。

 

  • こうした顧客企業の動向に対応した方策として、C社では金型設計と金型製作部門を新設し、製品図面によって注文を受け、金型の設計・製作から成形加工まで対応できる体制を社内に構築した。また、プラスチック成形や金型製作にかかる技能士などの資格取得者を養成し、さらにOJTによってスキルアップを図るなど加工技術力の強化を推進してきた。このように金型設計・製作部門を持ち、技術力を強化したことによって、材料歩留り向上や成形速度の改善など、顧客企業の成形加工品のコスト低減のノウハウを蓄積することができた。
    ⇒「こうした顧客企業の動向に対応した方策として」という文言から文章が始まっているため、この段落に記述されている内容が、顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境において、C社が業績を維持してきた理由であることが分かります。
    具体的には、「金型の設計・製作から成形加工まで対応できる体制を社内に構築して、加工技術力の強化を推進してきた結果、顧客企業の成形加工品のコスト低減のノウハウを蓄積することができた。」と記述されています。

 

  • C社が立地する工業団地の中小企業も大手電気・電子部品メーカーを顧客としていたため、C社同様工業団地に移転後、顧客企業の工場の海外移転に伴い経営難に遭遇した企業が多い。そこで工業団地組合が中心となり、技術交流会の定期開催、共同受注や共同開発の実施などお互いに助け合い、経営難を乗り越えてきた。C社は、この工業団地組合活動のリーダー的存在であった。
    ⇒「C社が立地する工業団地の中小企業も、顧客企業の工場の海外移転に伴い経営難に遭遇した企業が多いが、お互いに助け合い、経営難を乗り越えてきた。」と記述されているため、この段落に記述されている内容も、顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境において、C社が業績を維持してきた理由であることが分かります。
    具体的には、「C社がリーダー的存在として活動した工業団地組合が中心となり、技術交流会の定期開催、共同受注や共同開発の実施などお互いに助け合いを行った。」と記述されています。

 

C社が業績を維持してきた理由

顧客企業の生産工場の海外移転などの経営環境にあっても、C社が業績を維持してきた理由は以下の2つです。

 

  • 金型の設計・製作から成形加工まで対応できる体制を社内に構築して、加工技術力の強化を推進してきた結果、顧客企業の成形加工品のコスト低減のノウハウを蓄積することができたためである。
  • C社がリーダー的存在として活動した工業団地組合が中心となり、技術交流会の定期開催、共同受注や共同開発の実施などお互いに助け合ったためである。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容に基づき、80文字以内にまとめます。

 

理由は、金型設計・製作部門の社内構築と技術力強化の推進で蓄積した成形加工品のコスト低減のノウハウと、リーダー的存在として活動した工業団地組合による助け合いである。(80文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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