今回は、「財務・会計 ~H27-2 本支店会計(1)本店集中計算制度~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成27年度一次試験問題一覧~
平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
本支店会計 -リンク-
本ブログにて「本支店会計」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
本支店会計
「本支店会計」は、本店と複数の支店や事業部などで構成される企業において、「本店」と「各支店(各事業部)」における取引の処理方法を明らかにする会計手順です。
「本支店会計」では、「本店」や「各支店(各事業部)」において財務諸表を作成してそれぞれの業績を明確にしたり、「本店」や「各支店(各事業部)」の財務諸表を合算した合併財務諸表(企業としての財務諸表)を作成していきます。
今回は、「本支店会計」の会計制度である「本店集中計算制度」と「支店分散計算制度」について説明していきます。
本店集中計算制度
支店間の取引も含め、すべての取引が本店を経由して行われるものとして管理する方法です。
各支店における企業内取引の仕訳ではすべて「本店勘定」が使用されます。
「本店」が「各支店」の取引を把握することができるため、各支店の経営状況を管理することができますが、本店側における日常の仕訳処理が煩雑となります。
仕訳事例(支店間の取引)
A支店からB支店に現金を100,000円を送付した。
本店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
B支店 | 100,000円 | A支店 | 100,000円 |
A支店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
本店 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
B支店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
現金 | 100,000円 | 本店 | 100,000円 |
支店分散計算制度
支店間の取引は、支店間で直接行われるものとして管理する方法です。
支店としては社内の取引先として「本店」と「各支店」があるため、各支店における企業内取引の仕訳では「本店勘定」や「各支店の勘定」が使用されます。
本店側における日常の仕訳処理が簡素化されるとともに、支店間の取引内容が明確となりますが、「本店」が支店間の取引を把握することができなくなります。
仕訳事例(支店間の取引)
A支店からB支店に現金を100,000円を送付した。
本店の仕訳
仕訳なし
A支店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
B支店 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
B支店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
現金 | 100,000円 | A支店 | 100,000円 |
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成27年度 第2問】
本支店会計において本店集中計算制度を採用している場合、A支店からB支店へ現金200,000円を送付したときのB支店の仕訳として、最も適切なものはどれか。
ア (借)B支店 200,000 (貸)A支店 200,000
イ (借)現金 200,000 (貸)A支店 200,000
ウ (借)現金 200,000 (貸)B支店 200,000
エ (借)現金 200,000 (貸)本店 200,000
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
本店集中計算制度を採用しているため、支店間の取引も含め、すべての取引が本店を経由して行われるものとして管理されます。
そのため、各支店における企業内取引の仕訳ではすべて「本店勘定」が使用されます。
この時点で、選択肢は(エ)しか残りませんが、念のため実際に仕訳していきます。
本店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
B支店 | 200,000円 | A支店 | 200,000円 |
A支店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
本店 | 200,000円 | 現金 | 200,000円 |
B支店の仕訳
借方 | 貸方 | ||
現金 | 200,000円 | 本店 | 200,000円 |
答えは(エ)です。
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