今回は、「運営管理 ~R3-22 商業集積(8)SCの統計情報~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和3年度一次試験問題一覧~
令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
SCの統計情報・SCの定義 -リンク-
本ブログにて「SCの統計情報」「SCの定義」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
SCの統計情報
「ショッピングセンター(SC)」の発展を通じて、消費者の豊かな生活づくりと地域社会の振興に貢献することを目的として、1973年に設立された「一般社団法人日本ショッピングセンター協会」が、「全国のSC数・概況」「販売統計」に関する統計データを定期的に公表しています。
日本ショッピングセンター協会
「全国のSC数・概況」「販売統計」に関する統計データは、「一般社団法人日本ショッピングセンター協会」から定期的に公表されています。
今回、説明している内容は、令和3年に公表された情報に基づいているため、試験対策を実施する場合は、必ず最新の情報を確認するようにしてください。
SCの定義
「SC」とは、一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体で、駐車場を備えるもののことをいい、その立地、規模、構成に応じて、選択の多様性、利便性、快適性、娯楽性等を提供するなど、生活者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担うものと定義されています。
SC取扱い基準
「SC」は、ディベロッパーにより計画、開発されるものであり、次の条件を備えている必要があります。
- 小売業の店舗面積は、1,500㎡以上であること。
- キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。
- キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。但し、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1,500㎡以上である場合には、この限りではない。
- テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。
SC立地区分
「SC立地区分」については「2016年1月1日」に改定が行われています。
従来の「SC立地区分」では「中心地域」「周辺地域」「郊外地域」に区分されていましたが、改定により「中心地域」「周辺地域」の2種類に区分されるようになりました。
- 中心地域:人口15万人以上の都市で、商業機能が集積した中心市街地
- 周辺地域:上記中心地域以外の全ての地域
用語の定義
SC面積
「SC面積」とは、共用通路を含み、SC内の物品販売業、飲食業、サービス業等すべての売場に供している面積のことをいい、同一敷地内にあってSC来店客が利用可能な公共性の強い諸施設の面積も含んでいます。但し、ホテル・駐車場・バックヤードは含んでいません。
店舗面積
「店舗面積」とは、SC内の物品販売業、飲食業、サービス業それぞれの店舗区画の面積のことをいい、「店舗面積」には、店舗間の通路を含んでいません。
ディベロッパー
「ディベロッパー」とは、SCにかかる「所有」「開発」「管理」のうち、主として「開発」を担当するもののことをいいます。
テナント
「テナント」とは、原則として「ディベロッパー」との間に賃貸借契約を結んでいるもの(店舗)のことをいいますが、区分所有店舗、組合店舗、ディベロッパー直営店舗、委託店舗(消化仕入れ及び売上仕入れ店舗)等も便宜上テナントとして扱っています。
キーテナント及び業態:キーテナント
「キーテナント」とは、SCの商圏・客層を決定する大きな影響力を持つ大型小売店舗であり、業態を以下の通り分類しています。
略称 | 業態 |
Dpt | デパートメントストア = 百貨店 |
GMS | ゼネラルマーチャンダイズストア = 総合スーパー |
SS | スーパーストア = 衣料品中心の大型スーパー |
SM | スーパーマーケット = 食料品中心の大型スーパー |
HC | ホームセンター = 住関連商品を扱う大型店 |
DS | ディスカウントストア = 日用雑貨や衣料品、耐久財などを総合的に品揃えした低価格訴求型の大型店 |
Dgs | ドラッグストア = 医薬品を中心に日用雑貨を扱う大型店 |
専門店 | 単品種、同一用途品を扱う大型小売店 |
生協 | 生活協同組合 |
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和3年度 第22問】
わが国のショッピングセンター(SC)の現況(2020年末)について、一般社団法人日本ショッピングセンター協会が公表している『SC白書2021(デジタル版)』から確認できる記述として、最も適切なものはどれか。
ア 1SC当たりの平均テナント数は約300店舗である。
イ 1SC当たりの平均店舗面積は約10万㎡である。
ウ 1核SCの中で最も数が多いキーテナントは百貨店である。
エ キーテナント別SC数では1核SCの割合が最も低い。
オ ディベロッパーの業種別SC数で最も多い業種は小売業である。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
一般社団法人日本ショッピングセンター協会が公表している「全国のSC数・概況」に関する知識を問う問題です。
「全国のSC数・概況」「販売統計」に関する統計データは、「一般社団法人日本ショッピングセンター協会」から定期的に公表されています。
今回、説明している内容は、令和3年に公表された情報に基づいているため、試験対策を実施する場合は、必ず最新の情報を確認するようにしてください。
(ア) 不適切です。
2020年末時点における「SCの概況」を以下に示します。
SCの概況
総SC数 | 3,195 |
総テナント数 | 163,613店 |
1SC当たりテナント数 | 51店 |
総キーテナント数 | 2,927店 |
総店舗面積 | 53,991,842㎡ |
1SC当たり店舗面積 | 16,899㎡ |
総売上高(2020年推計) | 24兆9,016億円 |
したがって、1SC当たりの平均テナント数は約300店舗ではなく51店舗であるため、選択肢の内容は不適切です。
(イ) 不適切です。
2020年末時点における「SCの概況」を以下に示します。
SCの概況
総SC数 | 3,195 |
総テナント数 | 163,613店 |
1SC当たりテナント数 | 51店 |
総キーテナント数 | 2,927店 |
総店舗面積 | 53,991,842㎡ |
1SC当たり店舗面積 | 16,899㎡ |
総売上高(2020年推計) | 24兆9,016億円 |
したがって、1SC当たりの平均店舗面積は約10万㎡ではなく16,899㎡であるため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 不適切です。
2020年末時点における「キーテナント別SC数と構成比」を以下に示します。
キーテナント別SC数と構成比
キーテナントの 有無・業種 |
2020年 | |||
SC数 | 構成比 | |||
キーテナントなし | 783 | 24.5% | ||
キーテナントあり | 2,412 | 75.5% | ||
1核 | 1,957 | 61.3% | ||
百貨店 | 73 | 2.3% | ||
総合スーパー | 840 | 26.3% | ||
食品スーパー | 827 | 25.9% | ||
ホームセンター | 32 | 1.0% | ||
ディスカウントストア | 73 | 2.3% | ||
生協 | 42 | 1.3% | ||
専門店 | 64 | 2.0% | ||
その他 | 6 | 0.2% | ||
2核 | 401 | 12.6% | ||
百貨店+総合スーパー | 9 | 0.3% | ||
百貨店+食品スーパー | 2 | 0.1% | ||
総合スーパー+食品スーパー | 8 | 0.3% | ||
総合スーパー+ホームセンター | 36 | 1.1% | ||
総合スーパー+専門店 | 14 | 0.4% | ||
衣料・日用雑貨スーパー+食品スーパー | 12 | 0.4% | ||
食品スーパー+ホームセンター | 132 | 4.1% | ||
食品スーパー+ディスカウントストア | 16 | 0.5% | ||
食品スーパー+ドラッグストア | 22 | 0.7% | ||
食品スーパー+専門店 | 96 | 3.0% | ||
その他2核 | 54 | 1.7% | ||
3核 | 47 | 1.5% | ||
4核以上 | 7 | 0.2% | ||
総計 | 3,195 | 100.0% |
したがって、1核SCの中で最も数が多いキーテナントは百貨店ではなく総合スーパーであるため、選択肢の内容は不適切です。
(エ) 不適切です。
2020年末時点における「キーテナント別SC数と構成比」を以下に示します。
キーテナント別SC数と構成比
キーテナントの 有無・業種 |
2020年 | |||
SC数 | 構成比 | |||
キーテナントなし | 783 | 24.5% | ||
キーテナントあり | 2,412 | 75.5% | ||
1核 | 1,957 | 61.3% | ||
百貨店 | 73 | 2.3% | ||
総合スーパー | 840 | 26.3% | ||
食品スーパー | 827 | 25.9% | ||
ホームセンター | 32 | 1.0% | ||
ディスカウントストア | 73 | 2.3% | ||
生協 | 42 | 1.3% | ||
専門店 | 64 | 2.0% | ||
その他 | 6 | 0.2% | ||
2核 | 401 | 12.6% | ||
百貨店+総合スーパー | 9 | 0.3% | ||
百貨店+食品スーパー | 2 | 0.1% | ||
総合スーパー+食品スーパー | 8 | 0.3% | ||
総合スーパー+ホームセンター | 36 | 1.1% | ||
総合スーパー+専門店 | 14 | 0.4% | ||
衣料・日用雑貨スーパー+食品スーパー | 12 | 0.4% | ||
食品スーパー+ホームセンター | 132 | 4.1% | ||
食品スーパー+ディスカウントストア | 16 | 0.5% | ||
食品スーパー+ドラッグストア | 22 | 0.7% | ||
食品スーパー+専門店 | 96 | 3.0% | ||
その他2核 | 54 | 1.7% | ||
3核 | 47 | 1.5% | ||
4核以上 | 7 | 0.2% | ||
総計 | 3,195 | 100.0% |
したがって、キーテナント別SC数では1核SCの割合が最も低いのではなく最も高いため、選択肢の内容は不適切です。
(オ) 適切です。
2020年末時点における「ディベロッパー業種別SC数と構成比」を以下に示します。
ディベロッパー業種別SC数と構成比
業種 | 2020年 | ||
SC数 | 構成比 | ||
SC専業 | 548 | 17.2% | |
不動産業 | 951 | 29.8% | |
共同店舗管理業 | 120 | 3.8% | |
小売業 | 百貨店 | 43 | 1.3% |
総合スーパー | 742 | 23.2% | |
食品スーパー | 357 | 11.2% | |
ホームセンター | 36 | 1.1% | |
ディスカウントストア | 33 | 1.0% | |
専門店 | 33 | 1.0% | |
その他 | 34 | 1.1% | |
小計 | 1,278 | 40.0% | |
運輸業 | 71 | 2.2% | |
製造業 | 24 | 0.8% | |
その他 | 203 | 6.4% | |
総計 | 3,195 | 100.0% |
したがって、ディベロッパーの業種別SC数で最も多い業種は小売業であるため、選択肢の内容は適切です。
答えは(オ)です。
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