運営管理 ~R3-19 生産性(3)生産システムの評価~

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今回は、「運営管理 ~R3-19 生産性(3)生産システムの評価~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和3年度一次試験問題一覧~

令和3年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

システムの信頼性/保守性/可用性

システムの「信頼性」「保守性」「可用性」を示す指標について説明していきます。

 

信頼性:MTBF(Mean Time Between Failure)

「MTBF」は「平均故障間隔」といい「システムの信頼性」を示す指標です。

「MTBF」は、故障が復旧してから次の故障が発生するまでの平均時間であり、数値が大きいほど「信頼性」の高いシステムであることを示しています。

 

 

MTBFの算出例

 

  • MTBF =( 120時間 + 90時間 + 90時間 )÷ 3回 = 100時間

 

保守性:MTTR(Mean Time To Repair)

「MTTR」は「平均修復時間」といい「システムの保守性」を示す指標です。

「MTTR」は、故障が発生してから故障が復旧するまでの平均時間であり、数値が小さいほど「保守性」の高いシステムであることを示しています。

 

 

MTTRの算出例

 

  • MTTR =( 3時間 + 1時間 + 2時間 )÷ 3回 = 2時間

 

可用性:稼働率

「稼働率」は、システムを利用できる時間の割合であり、「システムの可用性」を示す指標です。

信頼性の指標である「MTBF」の数値が高く、保守性の指標である「MTTR」の数値が低いほど、「稼働率」の数値が高くなり総合的に信頼性が高いシステムであると評価されます。

 

 

稼働率の算出例

 

  • 稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)= 100時間 ÷(100時間 + 2時間)= 98.039…%

 

複数システムで構成されるシステム全体の稼働率

複数のシステムで構成されるシステム全体の稼働率の計算方法を以下に示します。

 

直列システムの稼働率

複数のシステムが「直列」に接続されているシステム全体の稼働率は以下の計算式により算出します。

 

 

直列システムの構成図

 

並列システムの稼働率

複数のシステムが「並列」に接続されているシステム全体の稼働率は以下の計算式により算出します。

 

 

並列システムの構成図

 

信頼性と可用性の違いについて

「信頼性」と「可用性」が示す内容の違いについて説明します。
一言でいうと、「信頼性」とは「故障の発生しにくさ」を示しており、「可用性」は「システムを利用できる時間の割合」を示しています。

 

以下の特徴を有する2つのシステムで、その違いについて考えていきます。

  • システムA:900時間運転すると故障が発生して復旧までに100時間かかる。
  • システムB:99時間運転すると故障が発生して復旧までに1時間かかる。

 

「信頼性」と「可用性」の観点から「システムA」と「システムB」を比較すると、「信頼性」が高いのは「システムA」であり「可用性」が高いのは「システムB」という結果となります。

 

システムA システムB
信頼性 MTBF 900時間 ÷ 1回 = 900時間 99時間 ÷ 1回 = 99時間
可用性 稼働率 900 ÷(900+100)= 90% 99 ÷(99+1)= 99%

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和3年度 第19問】

初期導入された設備AとBを240時間利用したときの稼働および故障修復について、下図のような調査結果が得られた。この2台の設備に関する記述a~cの正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

a MTBF(平均故障間隔)は設備Bのほうが長い。
b MTTR(平均修復時間)は設備Bのほうが長い。
c アベイラビリティ(可用率)は設備Bのほうが高い。

 

[解答群]

ア a:正 b:正 c:誤
イ a:正 b:誤 c:正
ウ a:正 b:誤 c:誤
エ a:誤 b:正 c:正
オ a:誤 b:正 c:誤

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

システムの「信頼性」「保守性」「可用性」を示す指標に関する知識を問う問題です。

 

「アベイラビリティ(可用率)」のことを「稼働率」として説明していますので、必要に応じて読み替えてください。

 

信頼性:MTBF(Mean Time Between Failure)

「MTBF」は「平均故障間隔」といい「システムの信頼性」を示す指標です。

「MTBF」は、故障が復旧してから次の故障が発生するまでの平均時間であり、数値が大きいほど「信頼性」の高いシステムであることを示しています。

 

 

「設備A」と「設備B」の「MTBF」は以下の通りです。

 

  • 設備A:( 40時間+50時間+50時間+40時間 )÷ 3 = 60時間
  • 設備B:( 20時間+50時間+80時間+50時間 )÷ 3 ≒ 66.7時間

 

「設備B」の方が「設備A」よりも数値が大きく(長く)なっています

ちなみに、「MTBF」は数値が大きいほど「信頼性」の高いシステムであることを示しているため、「設備B」の方が「設備A」よりも信頼性が高いことを表しています。

 

保守性:MTTR(Mean Time To Repair)

「MTTR」は「平均修復時間」といい「システムの保守性」を示す指標です。

「MTTR」は、故障が発生してから故障が復旧するまでの平均時間であり、数値が小さいほど「保守性」の高いシステムであることを示しています。

 

 

「設備A」と「設備B」の「MTTR」は以下の通りです。

 

  • 設備A:(30時間+10時間+20時間)÷3 = 20時間
  • 設備B:(10時間+10時間+20時間)÷3 ≒ 13.3時間

 

「設備A」の方が「設備B」よりも数値が大きく(長く)なっています

ちなみに、「MTTR」は数値が小さいほど「保守性」の高いシステムであることを示しているため、「設備B」の方が「設備A」よりも「保守性」が高いことを表しています。

 

可用性:稼働率

「稼働率」は、システムを利用できる時間の割合であり、「システムの可用性」を示す指標です。

信頼性の指標である「MTBF」の数値が高く、保守性の指標である「MTTR」の数値が低いほど、「稼働率」の数値が高くなり総合的に信頼性が高いシステムであると評価されます。

 

 

「設備A」と「設備B」の「稼働率(可用率)」は以下の通りです。

 

  • MTBF ÷( MTBF + MTTR )で算出した場合
    設備A:60時間÷(60時間+20時間)× 100% = 75%
    設備B:66.7時間÷(66.7時間+13.3時間)×100% ≒ 83.3%
  • システムの稼働時間 ÷( システムの稼働時間 + 故障時間 )で算出した場合
    設備A:( 40時間+50時間+50時間+40時間 )÷ 240 × 100% = 75%
    設備B:( 20時間+50時間+80時間+50時間 )÷ 240時間 × 100% ≒ 83.3%

 

「設備B」の方が「設備A」よりも数値が高くなっています

ちなみに、「稼働率(可用率)」は数値が高いほど「可用性」の高いシステムであることを示しているため、「設備B」の方が「設備A」よりも「可用性」が高いことを表しています。

 

したがって、「MTBF(平均故障間隔)」は「設備B」の方が長く(正)、「MTTR(平均修復時間)」は「設備A」の方が長く(誤)、「アベイラビリティ(可用率)」は「設備B」の方が高く(正)なっています

 

選択肢の内容は「信頼性」「保守性」「可用性」の高さや低さではなく、「MTBF」「MTTR」の長さや「アベイラビリティ(可用率)」の高さについて問われているので勘違いしないようご注意ください。
「MTTR」は数値が小さい(短い)ほど「保守性」の高いシステムであることを示しています。

 

「a:正 b:誤 c:正」であるため、答えは(イ)です。


 

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