今回は、「運営管理 ~R1-27 商業集積(5)商店街空き店舗実態調査~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~
令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
商店街空き店舗実態調査報告書(平成29年3月)
商店街等において、空き店舗の増加・常態化が全国的な課題として顕在しており、商店街に空き店舗が目立つようになると、商店街全体の魅力を損ない、商店街自体の集客力の低下、ひいては商店街の衰退に繋がります。
空き店舗を放置することは、店舗の有効活用が図られないことによる損失だけでなく、地域経済に大きな損失を与えることになりかねないため、「商店街空き店舗実態調査報告書」では、空き店舗(店舗として利用可能でありながら、利用の予定がないままに空き状態になっている店舗)について、商店街に対する認識調査を行うことで、空き店舗に係る実態を把握し、有効な空き店舗対策の検討に役立てることで、全国の商店街の活性化につなげることを目的としています。
調査結果
調査結果は、「商店街の概要」「現在の空き店舗の状況について」「ディスインセンティブ策について」に分けて構成されています。
商店街の概要
- 商店街の主な来客者層
- 商店街における最近の景況
現在の空き店舗の状況について
- 商店街内における空き店舗数の5年前との比較
- 商店街の空き店舗数・属性
- 空き店舗の商店街内の立地
- 空き店舗になってからの経過年数
- 空き店舗のうち、所有者を把握している数
- 空き店舗の賃貸・売却意向
- 空き店舗になる前の入居業種
- 空き店舗が生じた原因
- 空き店舗状態が続いている原因
- 空き店舗があることの悪影響
- 空き店舗に入ってほしい業種
- 空き店舗の借り手のニーズが高いと思われる業種
- 過去3年間で空き店舗が解体・撤去されたことがあるか
- 解体・撤去後の利用状況
- 今後の空き店舗数の予測
- 実施している空き店舗対策とその効果
- 空き店舗所有者への利用策の提案の有無
- 利用策に同意を得られたことがあるか
- 空き店舗対策として効果的だと思う施策:商店街
- 空き店舗対策として効果的だと思う施策:行政
ディスインセンティブ策について
- 住宅特例の適用除外が効果的だと思うか
- 跡地の利用方法として望ましいもの
- 特例措置の適用除外以外のディスインセンティブ策を効果的だと思うか
- 空き店舗の問題・対策に対する意見
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和元年度 第27問】
商店街では、空き店舗の増加および常態化が全国的な課題である。そのため、空き店舗の実態を把握し、有効な空き店舗対策を講じることが期待されている。中小企業庁が調査し、平成29年に公表している『商店街空き店舗実態調査報告書』に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、この報告書では、空き店舗とは、「従前は店舗であったものが、店舗として利用可能な状態でありながら利用の予定がない(所有者の利用の意志がない場合も含む)建物」と定義されている。
ア 空き店舗が生じた原因では、「商店主の高齢化・後継者の不在」よりも、「大型店の進出、撤退の影響を受けたため」の方が回答の割合が高い。
イ 空き店舗になってからの経過年数を、「1年未満」、「1年以上~3年未満」、「3年以上~5年未満」、「5年以上」に分類した場合、最も回答の割合が高いものは「5年以上」である。
ウ 空き店舗の所有者の把握を、「所有者を把握している(連絡も取れる)」、「所有者を把握している(連絡は取れない)」、「所有者を把握していない」に分類した場合、最も回答の割合が高いものは「所有者を把握していない」である。
エ 過去3年間に空き店舗が解体・撤去されたもののうち、その後の利用状況として最も回答の割合が高いものは、「新しい店舗」である。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
中小企業庁が空き店舗の実態を調査した「商店街空き店舗実態調査報告書」に関する知識を問う問題です。
(ア) 不適切です。
空き店舗が生じた原因は、「大型店の進出、撤退の影響を受けたため(22.1%)」よりも、「商店主の高齢化・後継者の不在(67.7%)」の方が回答の割合が高いため、選択肢の内容は不適切です。
「空き店舗が生じた原因」の順位は以下の通りです。
- 商店主の高齢化・後継者の不在(67.7%)
- 経営不振のため廃業・撤退(62.3%)
- 大型店の進出、撤退の影響を受けたため(22.1%)
(イ) 適切です。
空き店舗になってからの経過年数を、「1年未満」、「1年以上~3年未満」、「3年以上~5年未満」、「5年以上」に分類した場合、最も回答の割合が高いものは「5年以上」であるため、選択肢の内容は適切です。
「空き店舗になってからの経過年数」の順位は以下の通りです。
- 5年以上(38.8%)
- 3年以上~5年未満(19.0%)
- 1年以上~3年未満(18.8%)
(ウ) 不適切です。
空き店舗の所有者の把握状況を、「所有者を把握している(連絡も取れる)」、「所有者を把握している(連絡は取れない)」、「所有者を把握していない」に分類した場合、最も回答の割合が高いものは「所有者を把握していない」ではなく「所有者を把握している(連絡も取れる)」であるため、選択肢の内容は不適切です。
「空き店舗のうち、所有者を把握している数」の順位は以下の通りです。
- 所有者を把握している(連絡も取れる)(74.9%)
- 所有者を把握している(連絡は取れない)(13.7%)
- 所有者を把握していない(11.4%)
(エ) 不適切です。
過去3年間に空き店舗が解体・撤去されたもののうち、その後の利用状況として最も回答の割合が高いものは「新しい店舗」ではなく「駐車場」であるため、選択肢の内容は不適切です。
「解体・撤去後の利用状況」の順位は以下の通りです。
- 駐車場(40.9%)
- 空き地のまま(39.4%)
- 住宅(30.8%)
答えは(イ)です。
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