今回は、「運営管理 ~H28-28 商品在庫管理(4)商品回転率~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
商品回転率
「商品回転率」は、企業の「効率性」を示す財務指標です。企業の「効率性」を示す財務指標は、企業が保有する資産から効率的に収益を上げることができているかを確認することができます。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標であり、以下の公式により算出されます。
「商品回転率」は、その数値が高いほど「効率性」が高いことを示しています。
「商品回転率」が低い(商品の平均在庫残高が多い)場合は、商品を仕入れてから販売されるまでの期間が長く、売場や倉庫に商品が滞留していて売上に貢献していないことを表しており、その結果資金繰りが悪化したり、商品が陳腐化して売り物にならなくなるといった問題が発生します。
逆に言うと、「商品回転率」が高い方が、仕入れた商品が売場や倉庫に滞留しておらず、売上に貢献していることを示しているため、良好な状態であるということを表しています。
ただし、「商品回転率」が高すぎると、商品が売場や倉庫にあまりストックされていないことを示しているため、一次的な需要の急増等に対応できず品切れを起こす危険性があります。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第28問】
小売店の商品管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ある期間の商品回転率が6である場合、当該期間の売上高は期末在庫高の6倍である。
イ 売上高が減った場合でも、平均在庫高を一定に保てば商品回転率は維持できる。
ウ 売場に商品を補充する際、先入れ先出しをすると必ず商品回転率が高まる。
エ 売れ筋商品の品ぞろえを増やして売上高が増加すれば、平均在庫高が増えたとしても必ず商品回転率が高まる。
オ 需要期後に売れ残った季節商品を値引きや廃棄して処分すると、その処分をしないよりも商品回転率は高まる。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「商品回転率」に関する知識を問う問題です。
「商品回転率」は、企業の「効率性」を示す財務指標です。企業の「効率性」を示す財務指標は、企業が保有する資産から効率的に収益を上げることができているかを確認することができます。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標であり、以下の公式により算出されます。
(ア) 不適切です。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標です。
「商品回転率」が「6」である場合、当該期間の「売上高」が「平均在庫高」の「6倍」であることを示しており、「期末在庫高」の「6倍」とは限らないため、選択肢の内容は不適切です。
(イ) 不適切です。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標です。
「売上高」が減少して「平均在庫高」が一定だった場合、「商品回転率」は低下するため、選択肢の内容は不適切です。
(ウ) 不適切です。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標です。
「先入れ先出し」とは、売場に商品を補充する際、仕入れた時期の古いものから順番に商品を店頭に並べていく方法ですが、「先入れ先出し」にしても「平均在庫高」は増減せず「商品回転率」も変化しないため。選択肢の内容は不適切です。
(エ) 不適切です。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標です。
売れ筋商品の品揃えを増やして「売上高」が増加しても、「平均在庫高」が「売上高」の増加率以上に増加した場合、「商品回転率」は低下するため、選択肢の内容は不適切です。
(オ) 適切です。
「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標です。
需要期後に売れ残った季節商品を値引きや廃棄して処分した方が、処分をせずに売場や倉庫に置きっぱなしにするよりも「平均在庫高」が低下して「商品回転率」は高まるため、選択肢の内容は適切です。
答えは(オ)です。
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