事例Ⅳ ~平成30年度 解答例(6)(予想損益計算書の作成)~

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平成30年度の事例Ⅳの「第3問(設問1)」に関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

目次

事例Ⅳ ~平成30年度試験問題一覧~

平成30年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第3問(設問1)

第3問(配点30点)

 

D社は営業拠点として、地方別に計3カ所の支店または営業所を中核となる大都市に開設している。広域にビジネスを展開している多くの顧客企業による業務委託の要望に応えるために、D社はこれまで営業拠点がない地方に営業所を1カ所新たに開設する予定である。

今年度の売上原価と販売費及び一般管理費の内訳は次のとおりである。以下の設問に答えよ。

 

(単位:百万円)


売上原価 1,014
外注費 782
その他 232
販売費及び一般管理費 33
1,047


売上原価 126
販売費及び一般管理費 312
支店・営業所個別費 99
給料及び手当 79
賃借料 16
その他 4
本社費・共通費 213
438

 

(設問1)

来年度は外注費が7%上昇すると予測される。また、営業所の開設により売上高が550百万円、固定費が34百万円増加すると予測される。その他の事項に関しては、今年度と同様であるとする。
予測される以下の数値を求め、その値を(a)欄に、計算過程を(b)欄に記入せよ。
①変動費率(小数点第3位を四捨五入すること)
②営業利益(百万円未満を四捨五入すること)

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方(第3問 設問1)

「外注費(変動費)の上昇」や「営業所の開設による売上高や固定費の増加」といった予測に基づき、来年度の「変動費率」と「営業利益」を算出していきます。

 

あまり難しい問題ではなりませんが、来年度の売上高が増加すると、今年度の「変動費率」をベースとして、来年度の「変動費」が増加するという点に注意する必要があります。

 

売上高

「売上高」については、営業所の開設により「550百万円」増加すると予測されています。

 

(単位:百万円)
今年度(実績) 来年度(予測)
売上高 1,503 2,053

 

変動費

変動費については、外注費が7%上昇すると予測されており、それ以外の項目については特に記述されていませんが、それ以外の科目についても売上高の増減に合わせて変動するため、各科目ごとに考えていきます。

 

売上原価

「売上原価」は「外注費」と「その他」の科目に区分されています。

 

外注費

来年度の外注費は、今年度と比較して7%上昇します。

 

  • 外注費(来年度)
    = 売上高(来年度)× 変動費率(今年度)× 7%上昇(来年度予測)
    =売上高(来年度)× 外注費(今年度)÷ 売上高(今年度)× 7%上昇(来年度予測)

 

その他
  • その他(来年度)
    = 売上高(来年度)× 変動費率(今年度)
    = 売上高(来年度)× その他(今年度)÷ 売上高(今年度)

 

販売費及び一般管理費
  • 販売費及び一般管理費(来年度)
    = 売上高(来年度)× 変動費率(今年度)
    = 売上高(来年度)× 販売費及び一般管理費(今年度)÷ 売上高(今年度)

 

変動費全体

実際に計算する際には、各科目ごとで計算すると端数処理の関係で数値がずれてくる可能性があるので、全体をまとめて計算します。

 

  • 変動費(来年度)
    =( 外注費(今年度)× 7%上昇(来年度予測) + その他(今年度)+ 販売費及び一般管理費(今年度))÷ 売上高(今年度)× 売上高(来年度)
    =( 782百万円 × 1.07 + 232百万円 + 33百万円 )÷ 1,503 百万円 × 2,053百万円
    = 1504.9050・・・百万円 ≒ 1504.91 百万円(小数点第3位を四捨五入)

 

参考ですが、今年度と来年度の変動費は以下の通りとなります。

(単位:百万円)
今年度(実績) 来年度(予測)


売上原価 1,014 1,459.83
外注費 782 1,142.93
その他 232 316.90
販売費及び一般管理費 33 45.08
1,047 1,504.91

 

固定費

「固定費」については、営業所の開設により「34百万円」増加すると予測されています。

「変動費」については「外注費」などの各科目ごとに金額を算出しましたが、「固定費」については、全体で「34百万円」増加すると記述されているため、各項目に分割して算出する必要はありません

 

(単位:百万円)
今年度(実績) 来年度(予測)
固定費 438 472

 

変動費率の算出

「変動費(来年度)」の算出式が若干厄介ですが、「変動費率(来年度)」の算出式を以下に示します。

 

  • 変動費(来年度)
    =( 外注費(今年度)× 7%上昇(来年度予測) + その他(今年度)+ 販売費及び一般管理費(今年度))÷ 売上高(今年度)× 売上高(来年度)
    =( 782百万円 × 1.07 + 232百万円 + 33百万円 )÷ 1,503 百万円 × 2,053百万円
    = 1,504.9050・・・百万円 ≒ 1,504.91 百万円(小数点第3位を四捨五入)

 

  • 変動費率(来年度)
    変動費(来年度) ÷ 売上高(来年度)
    = 1,504.91 百万円 ÷ 2,053 百万円 × 100%
    = 73.3029・・・% ≒ 73.30%(小数点第3位を四捨五入)

 

営業利益の算出

「営業利益(来年度)」の算出式を以下に示します。

  • 営業利益(来年度)
    売上高(来年度)- 変動費(来年度)- 固定費(来年度)
    = 2,053 百万円 - 1,504.91 百万円 - 472 百万円
    = 76.09 百万円 ≒ 76 百万円(百万円未満を四捨五入)

 

損益計算書(参考)

参考として、「今年度(実績)」と「来年度(営業所を開設した場合の予測値)」の損益計算書を以下に示します。

 

(単位:百万円)
今年度(実績) 来年度(予測) 備考欄
売上高 1,503.00 2,053.00 550百万円増加


売上原価 1,014.00 1,459.83
外注費 782.00 1,142.93 7%UP
その他 232.00 316.90
販売費及び一般管理費 33.00 45.08
1,047.00 1,504.91
固定費 438.00 472.00 34百万円増加
営業利益 18.00 76.09

 

解答(第3問 設問1)

来年度の「変動費率」と「営業利益」は以下の通りです。

(a) (b)
73.30% 変動費 =( 外注費:782百万円 × 1.07 + その他:232百万円 + 販売費及び一般管理費:33百万円 )÷ 売上高(今年度):1,503 百万円 × 売上高(来年度):2,053百万円 = 1,504.9050・・・百万円 ≒ 1,504.91 百万円
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高= 1,504.91 百万円 ÷ 2,053 百万円 × 100% = 73.3029・・・% ≒ 73.30%(小数点第3位を四捨五入)
76 百万円 営業利益 = 売上高:2,053 百万円 - 変動費:1,504.91 百万円 - 固定費:472 百万円 = 76.09 百万円 ≒ 76 百万円(百万円未満を四捨五入)

 


明日も、引き続き「事例Ⅳ ~平成30年度 解答例(7)(営業レバレッジ)~」として「第3問(設問2)」について説明します。

コメント

  1. 鈴木 深詠 より:

    お世話になっております。鈴木深詠と申します。
    いつも読ませて頂き大変お勉強になっております、心より感謝いたします。

    上記H30年事例Ⅳの第3問の設問1の①について、来年度の変動費の計算が以下のように記載されておりますが、
    変動費(来年度)
    =( 外注費(今年度)× 7%上昇(来年度予測) + その他(今年度)+ 販売費及び一般管理費(今年度))÷ 売上高(今年度)× 売上高(来年度)
    =( 782百万円 × 1.07 + 232百万円 + 33百万円 )÷ 1,503 百万円 × 2,053百万円
    = 1,504.9050・・・百万円 ≒ 1,504.91 百万円(小数点第3位を四捨五入)

    この中、外注費が来年度予測、その他と販管費が今年度の費用を使って合計して、売上高に比例して来年度の変動費を計算されていると思いますが、どうもうん?と思ってしまいます。なぜなら、外注費もその他及び販管費はすべて今年度の費用の合計なら理解できますが、一部は来年の予測、一部は今年度の費用を使って売上高と比例して来年度の変動費を計算するのはどうも納得できません。
    私の理解では、外注費を除く変動費を売り上げの増加分から算出し直し、外注費だけは現状から単純に7%増加すると読み取るのが自然です。
    つまり、今年度の「その他と販管費」合わせて265で、この265だけは売上高に比例して来年度の「その他と販管費」を計算します。来年度の売上高は2,053ですので、すると、来年度の「その他と販管費」=265×2053÷1503(今年度の売上高)=361.97となります。
    そして外注費は7%増ですので、来年度の外注費は782×1.07=836.74となります。
    従って来年度の変動費は=836.74+361.97=1198.71となり、
    変動費率は=1198.71÷2053=58.39%となります。
    いかがでしょうか。
    お忙しいところ申し訳ありませんが、ご教示頂ければ幸甚です。
    よろしくお願いいたします。

    • 資格とるなら.tokyo 管理者 より:

      コメントをいただきましてありがとうございます。
      また、返信が遅くなりまして大変申し訳ありません。

      確かに改めて問題文を読んでみると、単純に、「外注費」は今年度( 782百万円 )から7%増加する( 782百万円 × 1.07 = 836.74百万円 )という風にも読み取れてしまいますが、ここで「変動費」の定義を思い出してみます。

      「変動費」とは「製品の生産量」に比例して増減する費用のことをいい、条件が変化しなければ「売上高」に比例して増減する費用のことをいいます。

      鈴木様からのコメントにおいても、「売上高」に比例するという前提で、来年度の「外注費以外の変動費(その他と販管費)」を算出されているように、「外注費」についても「売上高」に比例して増減するという考え方をする必要があります。
      したがって、「外注費」についても「その他と販管費」と同様に、「売上高(来年度)× 変動費率(今年度)」で算出した金額に対して、「来年度は外注費が7%上昇すると予測される」という条件を加味して、以下の計算式で算出することとなります。

      「売上高(来年度)× 変動費率(今年度)× 7%上昇(来年度予測)」

      簡単な例を以下に示します。

      ・昨年度は、製品1個当たりの外注費用は100円であり、生産数量(=販売数量)は1,000個であった。
       ○:外注費用= 100円/個 × 1,000個 = 100,000円

      ・今年度は、生産数量(=販売数量)は1,200個であった。ただし、外注費用は昨年度より10%上昇した。
       ○:外注費用= 100円/個 × 110% × 1,200個 = 132,000円
       ×:外注費用= 100円/個 × 110% × 1,000個 = 110,000円

      どうでしょうか。「うん?」は解消できそうでしょうか。

      今後とも、引き続きよろしくお願いいたします。

      • 鈴木深詠 より:

        いつもお世話になっております。
        上記ご回答いただき誠にありがとうございます。
        回答頂いたことにずっと気づかずに、大変失礼いたしました。
        昨年2次試験不合格でしたから、今年再挑戦したいと思いますので、
        いま再びこのページを拝読させて頂き、気づきました。
        丁寧ご説明くださり本当に感謝いたします。
        よく理解できました。

        一年以上にも返信せず大変申し訳ありませんでした。
        とても恥ずかしいですが、改めてお詫び申し上げます。
        今後ともよろしくお願いいたします。

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