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事例Ⅳ ~限界利益と貢献利益による分析(5)(貢献利益)~

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今回は、「限界利益と貢献利益による分析(5)(貢献利益)」について説明します。

 

限界利益と貢献利益による分析

「限界利益と貢献利益による分析」に関連する記事は、以下のページに整理しています。

 

限界利益と貢献利益

管理会計において、企業全体の利益を増やしていくために、製品や事業部門の採算性を分析するには、「限界利益」と「貢献利益」という指標を活用します。

「限界利益」は、限られた経営資源で、企業の利益を最大限にするために、販売する製品の最適な販売比率(最適セールスミックス)を求めるために活用され、「貢献利益」は、製品ラインナップや事業部門の採算性を見極め、企業全体の利益に貢献していない製品の生産を中止したり、事業部門を廃止する判断をするために活用されます。

「限界利益」は「売上高」から「変動費」を控除した金額「貢献利益」は「限界利益」から「個別固定費」を控除した金額となります。

「個別固定費」と「共通固定費」の違いについては、「限界利益と貢献利益による分析(2)(変動費と固定費)」で説明していますので、そちらを参照してください。

 

企業収支の費用分解

売上高
 変動費
限界利益
 個別固定費
貢献利益
 共通固定費
営業利益

 

損益分岐点分析では「限界利益 = 貢献利益」と捉えて、「貢献利益 = 売上高 - 変動費」として考えます。

 

貢献利益

「貢献利益」は「売上高」から「変動費」と「個別固定費」を控除して算出します。

「貢献利益」は「共通固定費を回収して全社の利益獲得に貢献する度合いを示す利益」を表しており、製品ラインナップや事業部門の採算性を見極め、企業全体の利益に貢献していない製品の生産を中止したり、事業部門を廃止する判断をするために活用されます。

  • 「貢献利益」がマイナスとなっている製品は製造を中止した方がよい。
  • 「貢献利益」がマイナスとなっている店舗は閉店した方がよい。
  • 「貢献利益」がマイナスとなっている事業部門は廃止した方がよい。

 

 

貢献利益は理解するのが難しいので、もう少し詳細に説明します。


企業は、継続的に利益を出していくことが絶対的な命題であるため、ある製品を販売する以上は、少なくともその製品を生産するための費用(「変動費」「個別固定費」)を回収して利益を上げることができなければ、その製品を販売すること自体に意味がありません。(販売しない方がまだましです。)

また、企業は製品を生産するための費用以外に、会社を運営するための管理機能を持っています。例えば、社長の給与や本社ビルの建物経費や総務・財務部門といった管理部門のスタッフの給与などがそれに該当しており、これらの会社運営を維持するために発生する「共通固定費」も製品の販売により回収しなければ、企業全体として利益を上げることができません

つまり、ある製品の販売により「共通固定費」の回収にどの程度貢献できているかを金額で表しているのが「貢献利益」です。

「貢献利益」がプラスであれば「共通固定費」の回収に貢献できているため製品の生産を継続すべきであることを示し、「貢献利益」がマイナスであれば、その製品を生産するための費用すら回収できていないので生産を中止した方がよいことを意味しています。


 

【例題】貢献利益分析による製品の生産中止

「貢献利益」について理解を深めるため、製品の生産中止に関する考え方を例題で説明していきます。

 

【例題1】生産を中止する製品の選択

D社は事業を縮小するため、いずれかの製品の生産を中止しなければならない状況にある。
生産を中止する製品の選定にあたっては、生産を中止しても営業利益への影響が一番少ない製品を選択したいと考えている。どの製品を生産中止とすべきか求めよ。

 

前提条件
  • D社では「製品X」「製品Y」「製品Z」を生産している。
  • 共通固定費は「480万円」であり、売上高の比率によって各製品に按分される。

 

製品別収支状況一覧
製品X 製品Y 製品Z 合計
売上高 1,500 1,600 1,700 4,800
変動費 600 800 1020 2,420
限界利益 900 800 680 2,380
個別固定費 600 620 400 1,620
貢献利益 300 180 280 760
共通固定費 150 160 170 480
営業利益 150 20 110 280

 

生産を中止する製品の選択

各製品の生産を中止した場合、D社の営業利益がどのように変化するかについて確認していきます。

 

製品Xの生産を中止した場合
製品X 製品Y 製品Z 合計
売上高 1,600 1,700 3,300
変動費 800 1020 1,820
限界利益 800 680 1,480
個別固定費 600 400 1,000
貢献利益 200 280 480
共通固定費 233 247 480
営業利益 ▲33 33 0

 

製品Yの生産を中止した場合
製品X 製品Y 製品Z 合計
売上高 1,500 1,700 3,200
変動費 600 1020 1,620
限界利益 900 680 1,580
個別固定費 600 400 1,000
貢献利益 300 280 580
共通固定費 225 255 480
営業利益 75 25 100

 

製品Zの生産を中止した場合
製品X 製品Y 製品Z 合計
売上高 1,500 1,600 3,100
変動費 600 800 1,400
限界利益 900 800 1,700
個別固定費 600 600 1,200
貢献利益 300 200 500
共通固定費 232 248 480
営業利益 68 ▲48 20

 

いずれの製品の生産を中止したとしても、D社の営業利益は現状より減少してしまいますが、「製品Y」の生産を中止した場合の「営業利益」が一番大きくなる(影響が一番少ない)ことが分かります。

 

営業利益

  • 製品Y:100万円 > 製品Z:20万円 > 製品X:0万円

 

それでは、「製品Y」の生産を中止した場合の「営業利益」が一番大きくなるのはなぜでしょうか。

それは「製品Y」の「貢献利益」が一番小さいからです。

 

貢献利益

  • 製品X:300万円 > 製品Z:280万円 > 製品Y:180万円

 

解答

生産を中止しても営業利益への影響が一番少ない「製品Y」の生産を中止する。

 

【例題2】営業利益がマイナスの製品の生産

D社では「製品X」「製品Y」「製品Z」を販売しているが「製品Y」の営業利益がマイナスとなっている。「製品Y」の生産を中止すべきか求めよ。

 

前提条件
  • D社では「製品X」「製品Y」「製品Z」を生産している。
  • 共通固定費は「480万円」であり、売上高の比率によって各製品に按分される。

 

製品別収支状況一覧
製品X 製品Y 製品Z 合計
売上高 1,500 1,600 1,700 4,800
変動費 600 800 1020 2,420
限界利益 900 800 680 2,380
個別固定費 600 900 400 1,900
貢献利益 300 ▲100 280 480
共通固定費 150 160 170 480
営業利益 150 ▲260 110 0

 

製品Yの生産を中止した場合

製品Yの生産を中止した場合の営業利益を以下に示します。

製品X 製品Y 製品Z 合計
売上高 1,500 1,700 3,200
変動費 600 1020 1,620
限界利益 900 680 1,580
個別固定費 600 400 1,000
貢献利益 300 280 580
共通固定費 225 255 480
営業利益 75 25 100

 

「製品Y」の生産を中止すると、D社の営業利益は現状より増加して「100万円」となることが分かります。

それでは、「製品Y」の生産を中止した場合、D社の営業利益がなぜ「100万円」増加するのでしょうか。

それは「製品Y」の「貢献利益」がマイナスだからです。

 

製品の生産中止に伴う営業利益の変動について

今回の問題のように、「共通固定費」が増減しない条件の下では、会社全体の営業利益が生産を中止する製品の貢献利益分だけ増減します。

  • 生産を中止する製品の貢献利益がプラスの場合:営業利益が減少する。
  • 生産を中止する製品の貢献利益がマイナスの場合:営業利益が増加する。

 

 

 

解答

営業利益が現状より「100万円」増加するため「製品Y」の生産を中止すべきである。

 

覚えておきたいポイント

ここで、覚えておきたいポイントは

 

リソース等の要因により製品の生産を中止する場合は、貢献利益が小さい製品を選択した方が営業利益への影響が少ない。

 

貢献利益がマイナスとなっている製品については、生産を中止すべきであり、生産を中止すると営業利益は増加する。

 

ということです。

 


明日は、「限界利益と貢献利益による分析(6)(事業部門の廃止)」について説明します。

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