財務・会計 ~H22-2-7 工事契約(4)~

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今回は、「財務・会計 ~H22-2-7 工事契約(4)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~

平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

工事契約 -リンク-

「工事契約」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

工事契約の会計処理

工事契約の会計処理は「工事契約に関する会計基準」によって定められており、工事契約における工事収益及び工事原価に関して施工者における会計処理及び開示について規定しています。

「工事契約」とは、請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うものと規定されています。また、受注制作のソフトウェアについても適用されます。

 

工事契約に係る認識基準

「工事契約に係る認識基準」において、工事収益及び工事原価を認識するための基準として「工事進行基準」と「工事完成基準」が定義されています。

工事契約に関して、工事が完成していない段階でも、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には「工事進行基準」を適用し、この要件を満たさない場合には「工事完成基準」を適用します。

以下に示す3つの要素について信頼性をもって見積もることができる場合にのみ、成果の確実性が認められ「工事進行基準」を適用することができます。

 

  1. 工事収益総額
  2. 工事原価総額
  3. 決算日における工事進捗度

 

2017年7月20日に、企業会計基準委員会(ASBJ)から「収益認識基準」の草案が公開されました。

「収益認識基準」には、「財またはサービスを顧客に移転することにより、履行義務を充足した時点で収益を認識する」と記載されているため、この基準が適用された場合は、「工事契約」で規定された「工事進行基準」を適用できなくなる可能性がありますので、ご注意ください。(2018年1月現在)

 

工事進行基準

「工事進行基準」とは、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積もることができる場合、これに応じて各年度の工事収益及び工事原価を認識する方法をいいます。

「決算日における工事進捗度」は、原則として原価比例法で見積もります。
原価比例法とは「工事原価総額」に対する「当該年度の工事原価」の割合で工事進捗度を測定する方法です。

 

工事完成基準

「工事完成基準」とは、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積もることができないため、工事が完成して目的物の引渡しを行った時点で、工事収益及び工事原価を認識する方法をいいます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成22年度 第2問】

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

 

収益の認識は、一般に、商品等の販売または役務の給付によって①実現したことをもって行われるとされている。しかし、長期の未完成請負工事等については、工事[ A ]基準とともに、工事[ B ]基準が認められてきた。
工事契約に係る収益(工事収益)およびその原価(工事原価)に関して定めた②企業会計基準第15号「工事契約に係る会計基準」では、工事の進行途上においても、その進捗部分について[ C ]の確実性が認められる場合には、工事[ B ]基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事[ A ]基準を適用するとされる。

 

(設問3)

文中の下線部②の企業会計基準第15号の適用範囲に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

a 工事契約とは、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約をいう。
b 工事契約とは、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うものをいう。
c 工事契約に関して、施工者における工事原価および工事収益の会計処理に適用される。
d 工事契約に関して、施工者における工事収益の会計処理ならびに開示に適用される。
e 受注制作のソフトウェアについても、工事契約に準じて適用する。

 

[解答群]

ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとe
オ dとe

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答(設問3)

工事契約の会計処理は「工事契約に関する会計基準」によって定められており、工事契約における工事収益及び工事原価に関して施工者における会計処理及び開示について規定しています。

「工事契約」とは、請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うものと規定されています。また、受注制作のソフトウェアについても適用されます。

 

(a)不適切です。

「工事契約に関する会計基準」において、「工事契約」とは、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うものと規定されているため、選択肢の内容は不適切です

 

(b)適切です。

「工事契約に関する会計基準」において、「工事契約」とは、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造等、基本的な仕様や作業内容を顧客の指図に基づいて行うものと規定されているため、選択肢の内容は適切です

 

(c)不適切です。

「工事契約に関する会計基準」では、工事契約における工事収益及び工事原価に関して施工者における会計処理及び開示について規定しています。

選択肢では「会計処理」だけが記述されていますが、「工事契約に関する会計基準」では「開示」についても規定されているため、選択肢の内容は不適切です

 

(d)不適切です。

「工事契約に関する会計基準」では、工事契約における工事収益及び工事原価に関して施工者における会計処理及び開示について規定しています。

選択肢では「工事収益」だけが記述されていますが、「工事契約に関する会計基準」では「工事原価」についても規定されているため、選択肢の内容は不適切です

 

(e)適切です。

「工事契約に関する会計基準」は、受注制作のソフトウェアについても工事契約に準じて適用するとされているため、選択肢の内容は適切です

 

選択肢(b)と(e)が適切なため、答えは(エ)です。


 

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