今回は、「運営管理 ~H30-25 商業集積(2)地域商店街活性化法~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成30年度一次試験問題一覧~
平成30年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
地域商店街活性化法
「地域商店街活性化法」とは、商店街が「地域コミュニティの担い手」として行う地域住民の生活の利便を高める取組を支援することにより、地域と一体となったコミュニティづくりを促進し、商店街の活性化や、商店街を担う人材対策の強化を推進するための法律です。
「地域商店街活性化法」の正式名称は「商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律」といい、「2009年7月15日」に公布され「2009年8月1日」に施行されました。
法律の趣旨
「地域商店街活性化法」の趣旨は以下の通りです。
- ソフト事業も含めた商店街活動への支援を強化
- 取組事例
- 地域への貢献:高齢者・子育て支援、宅配サービス
- 地域の魅力発信:地域イベント、商店街ブランド開発
- 取組事例
- 地域のニーズに沿った空き店舗利用を支援
- 商店街の意欲ある人材を育成・確保
- 関係省庁・地方公共団体と連携した支援
商店街活性化事業
商店街の組合が「商店街活性化事業」に関する事業計画を策定して「各ブロックの経済産業局」に申請すると、「各ブロックの経済産業局」は「地元自治体」に意見聴取を行った後、その結果を踏まえて「商店街活性化事業」に関する事業計画を認定します。
商店街の組合が行う「商店街活性化事業」には、以下の3つの条件を満たすことが求められています。
- 地域住民の需要に応じた商店街活性化のための事業で、次のいずれにも該当するもの
住民の需要地域住民を対象にしたアンケート調査や地域住民等からの要望書等により把握した地域住民の商店街に対するニーズを十分に踏まえた事業であること。 - 商店街の活性化の効果
商店街への来訪者の増加、空き店舗数の減少等、商店街活性化の効果が具体的な指標により定量的に見込まれること。 - 参考となり得る事業
事業内容の新規性や、実施体制や実施方法に創意工夫が認められることなど、他の商店街が商店街活性化事業に取り組むに当たって参考となり得る事業であること。
支援内容
「商店街活性化事業計画」が認定されると以下に示すような各種支援が行われます。
なお、「商店街活性化事業計画」の認定とは別に、補助金を申請する必要があります。
- 認定された事業を行う場合、補助金(地域・まちなか商業活性化支援事業)の採択が優先されます。
- 認定された事業を行う商店街等に土地を譲渡した者に対して、15,000千円を上限に譲渡所得の特別控除を行います。
- 小規模企業等設備導入資金等助成法の特例により、認定された事業を行う「小規模企業者(商業・サービス業:従業員5人以下)」に対し、設備資金貸付(無利子)の貸付割合の引き上げ(1/2以内→2/3以内)を行います。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成30年度 第25問】
地域商店街活性化法および同法に基づく商店街活性化事業に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 商店街活性化事業の成果として、商店街への来訪者の増加に着目している。
イ 商店街活性化事業は、第1に地域住民の需要に応じて行う事業であること、第2に商店街活性化の効果が見込まれること、第3に他の商店街にとって参考となり得る事業であること、以上の3点を満たす必要がある。
ウ 商店街活性化事業は、ハード事業のみによる振興を基本的な目的にしている。
エ 商店街は、地域コミュニティの担い手としての役割を発揮することを期待されている。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「地域商店街活性化法」と同法に基づく「商店街活性化事業」に関する知識を問う問題です。
(ア) 適切です。
「商店街活性化事業」に求められている条件の1つを以下に示します。
- 商店街の活性化の効果
商店街への来訪者の増加、空き店舗数の減少等、商店街活性化の効果が具体的な指標により定量的に見込まれること。
「商店街活性化事業」の成果として、商店街への来訪者の増加に着目しているため、選択肢の内容は適切です。
(イ) 適切です。
「商店街活性化事業」には、以下の3つの条件を満たすことが求められています。
- 地域住民の需要に応じた商店街活性化のための事業で、次のいずれにも該当するもの
住民の需要地域住民を対象にしたアンケート調査や地域住民等からの要望書等により把握した地域住民の商店街に対するニーズを十分に踏まえた事業であること。 - 商店街の活性化の効果
商店街への来訪者の増加、空き店舗数の減少等、商店街活性化の効果が具体的な指標により定量的に見込まれること。 - 参考となり得る事業
事業内容の新規性や、実施体制や実施方法に創意工夫が認められることなど、他の商店街が商店街活性化事業に取り組むに当たって参考となり得る事業であること。
「商店街活性化事業」は、第1に地域住民の需要に応じて行う事業であること、第2に商店街活性化の効果が見込まれること、第3に他の商店街にとって参考となり得る事業であること、以上の3点を満たす必要があるため、選択肢の内容は適切です。
(ウ) 不適切です。
「地域商店街活性化法」は、「地域への貢献:高齢者・子育て支援、宅配サービス」や「地域の魅力発信:地域イベント、商店街ブランド開発」といったソフト事業も含めた商店街活動への支援を強化することを趣旨としているため、選択肢の内容は不適切です。
(エ) 適切です。
「地域商店街活性化法」とは、商店街が「地域コミュニティの担い手」として行う地域住民の生活の利便を高める取組を支援することにより、地域と一体となったコミュニティづくりを促進し、商店街の活性化や、商店街を担う人材対策の強化を推進するための法律です。
商店街は、「地域コミュニティの担い手」としての役割を発揮することを期待されているため、選択肢の内容は適切です。
答えは(ウ)です。
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