今回は、「運営管理 ~R2-4 製品設計(3)品質機能展開~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~
令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
品質機能展開(QFD:Quality Function Deployment)
「品質機能展開(QFD)」とは、市場における顧客ニーズとそれを実現するために必要な技術特性から、市場の顧客ニーズを満足させる「設計品質」を設定して、その意図を製造工程まで展開することを目的とした品質設計手法のことをいいます。
「品質機能展開(QFD)」では、市場における顧客ニーズのことを「要求品質」、顧客ニーズを実現するために必要な技術特性のことを「品質特性」といい、以下の手順で「設計品質」を分析していきます。
- 顧客ニーズ(原始データ)の把握
- 原始データから要求項目への変換
- 要求項目から要求品質への変換
- 要求品質展開表の作成
- 品質特性展開表の作成
- 品質表の作成
- 重要度と企画品質の設定
- 設計品質の設定
品質機能展開(QFD)の流れ
品質表
「品質表」とは、市場における顧客ニーズである「要求品質(表の左)」と、顧客ニーズを実現するために必要な技術特性である「品質特性(表の上)」の相関関係を明確化して表す二元表のことをいいます。
「要求品質(表の左)」と「品質特性(表の上)」の相関関係を明確化した後、表の右にある「重要度」「企画品質」に基づき、製品としての品質の狙いを具体化していきます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和2年度 第4問】
品質表に関する以下の文章において、空欄A~Cに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
下表は、スマートフォンについて作成した品質表である。この表において表側 a は[ A ]、表頭 b は[ B ]を表す。それらの対応関係は、◎と○で示される。
新製品を開発する状況において、[ A ]に重要度を付けて[ B ]に変換する場合、◎を5点、○を3点とすると、最も重要な[ B ]は[ C ]となる。
b データ容量 充電性 形状寸法 質量 重要度 a いろいろな用途に使える ○ 1 操作しやすい ○ 4 長時間楽しめる ○ ◎ ○ 3 運びやすい ○ ◎ 2 頑丈である ◎ ○ 5
[解答群]
ア A:品質特性 B:要求品質 C:形状寸法
イ A:品質特性 B:要求品質 C:充電性
ウ A:要求品質 B:品質特性 C:形状寸法
エ A:要求品質 B:品質特性 C:質量
オ A:要求品質 B:品質特性 C:充電性
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「品質機能展開(QFD)」の「品質表」に関する知識を問う問題です。
「品質機能展開(QFD)」とは、市場における顧客ニーズとそれを実現するために必要な技術特性から、市場の顧客ニーズを満足させる「設計品質」を設定して、その意図を製造工程まで展開することを目的とした品質設計手法のことをいいます。
「品質機能展開(QFD)」では、市場における顧客ニーズのことを「要求品質」、顧客ニーズを実現するために必要な技術特性のことを「品質特性」といいます。
「品質表」とは、市場における顧客ニーズである「要求品質(表の左)」と、顧客ニーズを実現するために必要な技術特性である「品質特性(表の上)」の相関関係を明確化して表す二元表のことをいいます。
品質機能展開(QFD)の流れ
したがって、スマートフォンについて作成した「品質表」において、表側 a(表の左)は「要求品質」を、表頭 b(表の上)は「B:品質特性」を示しています。
最も重要な品質特性の特定
「品質表」の一番右側の列にある「重要度」とは「要求品質の重要度」を示しており、「要求品質の重要度」の数値が高い方が、市場の顧客ニーズ満足させるために重きを置くべき品質であることを示しています。
「要求品質の重要度」×「◎を5点、○を3点」として「品質特性の重要度」を計算すると、それぞれの「品質特性」の点数は以下の通りとなります。
- データ容量:1×3点 + 3×3点 = 12点
- 充電性:3×5点 = 15点
- 形状寸法:4×3点 + 2×3点 + 5×5点 = 43点
- 質量:3×3点 + 2×5点 + 5×3点 = 34点
上記の計算結果を品質表に表すと以下の通りです。
b | データ容量 | 充電性 | 形状寸法 | 質量 | 重要度 |
a | |||||
いろいろな用途に使える | ○ | 1 | |||
操作しやすい | ○ | 4 | |||
長時間楽しめる | ○ | ◎ | ○ | 3 | |
運びやすい | ○ | ◎ | 2 | ||
頑丈である | ◎ | ○ | 5 | ||
品質特性の重要度 | 12 | 15 | 43 | 34 |
したがって、スマートフォンの顧客ニーズに応えるために最も重要な「品質特性」は「形状寸法」です。
穴埋め文章
上述の内容に基づき、問題文を穴埋めすると以下の文章となります。
—
下表は、スマートフォンについて作成した品質表である。この表において表側 a は要求品質、表頭 b は品質特性を表す。それらの対応関係は、◎と○で示される。
新製品を開発する状況において、要求品質に重要度を付けて品質特性に変換する場合、◎を5点、○を3点とすると、最も重要な品質特性は形状寸法となる。
—
答えは(ウ)です。
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