今回は、「財務・会計 ~R2-18 超過収益率(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~令和2年度一次試験問題一覧~
令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
超過収益率
「超過収益率」とは、「ポートフォリオのリターン」と「ベンチマークのリターン」の差のことをいい、「アクティブリターン」「超過リターン」とも呼ばれます。
「ベンチマークのリターン」とは、通常の投資運用で想定されるリターンであり、投資資産のリスクに見合ったリターンです。
「ポートフォリオのリターン」が「ベンチマークのリターン」を上回った状態のことを「アウトパフォーム」、下回った状態のことを「アンダーパフォーム」といいます。
- プラスの状態:アウトパフォーム
- マイナスの状態:アンダーパフォーム
また、「超過収益率」のバラツキを示す指標(標準偏差)のことを「トラッキングエラー」といいます。
「トラッキングエラー」の値が小さい場合は、「超過収益率」のバラツキ(標準偏差)が小さいため、「ポートフォリオのリターン」が「ベンチマークのリターン」と連動していることを表しており、「トラッキングエラー」の値が大きい場合は、「超過収益率」のバラツキ(標準偏差)が大きいため、「ポートフォリオのリターン」が「ベンチマークのリターン」と異なる動きをしていることを表しています。
「パッシブ運用」のように「ベンチマーク」と連動した投資運用を目的としている投資家にとっては、「トラッキングエラー」が小さい方が優れた「ポートフォリオ」であると判断することができます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和2年度 第18問】
ある企業において、業績が良くなると判断される新情報が市場に流れた場合(t=0)、投資家が合理的に行動するならば、この企業の株式の超過収益率をグラフにしたものとして、最も適切なものはどれか。
(ア)
(イ)
(ウ)
(エ)
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「株式の超過収益率」に関する知識を問う問題です。
市場に株式を発行している企業の業績が良くなると判断される新情報が流れた場合、この企業の株価は想定される「期待収益」を上回る価格に推移するため、投資家にとって「超過収益率」がプラスに上振れる状態となりますが、その後、業績が良くなると判断される情報を反映した株価が、この企業の想定される「期待収益」となるため、「超過収益率」がプラスに上振れる状態から解消されます。
したがって、投資家が合理的に行動するならば、業績が良くなると判断される新情報が市場に流れた場合「 t = 0 」においては「超過収益率」が「プラス」となり、それ以外の状況「 t <> 0 」においては「超過収益率」が「±0 付近」で推移する「選択肢(ア)」のグラフが、この企業の株式の「超過収益率」を示しています。
答えは(ア)です。
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