今回は、「運営管理 ~R1-13 作業研究(14)工程分析~」について説明します。
目次
運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~
令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
IE(Industrial Engineering:経営工学)
「IE」は「経営工学」と呼ばれ、生産性を向上させる技術として発展してきました。
その中で、工場の生産活動を対象とした改善の技術は「作業研究」と呼ばれ、工程や動作を分析して改善する「方法研究」と稼動状況や標準時間の設定を研究する「作業測定」で構成されています。
インダストリアルエンジニアリング、経営工学
経営目的を定め、それを実現するために、環境(社会環境及び自然環境)との調和を図りながら、人、物(機械、設備、原材料、補助材料及びエネルギー)、金及び情報を最適に設計し、運用し、統制する工学的な技術・技法の体系。(JISZ8141-1103)
方法研究
「方法研究」は、さらに「工程の分析を行う工程分析」と「作業の分析を行う動作研究」に分類されます。
「工程分析」とは、効率化のために工程を記号で把握して分析することであり、「動作研究」とは、作業の無駄を無くすために動作を分解して分析することです。
工程分析
工程分析では、「加工」「運搬」「停滞」「検査」の基本要素に区分して表現した作業活動を分析することにより、効率化を図っていきます。
工程図記号
「工程分析」では「工程図記号」を用いて工程図を作成していきます。
「工程図記号」には「基本図記号」と「補助図記号」があります。
基本図記号
「基本図記号」は、要素工程を図示するために使用される記号であり、「加工」「運搬」「貯蔵」「滞留」「数量検査」「品質検査」に分類されます。
基本図記号
補助図記号
「基本図記号」は、工程系列における系列の状態を図示するために使用される記号で、「流れ線」「区分」「省略」に分類されます。
補助図記号
複合記号
「複合記号」とは、一つの工程において、二つの機能または状態が発生している場合に「基本図記号」を組み合わせて図示される記号のことをいいます。
「複合記号」では、主として行う作業の「基本図記号」を外側に描写して、従となる作業の「基本図記号」を内側に描写します。
なお、「基本図記号」が似ている「加工」と「運搬」を明確に区別できるよう、「複合記号」においては「運搬」には「○(丸)」ではなく「⇨(矢印)」を使用します。
複合記号(参考例)
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【令和元年度 第13問】
工程分析に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 「加工」を表す工程分析記号は◇である。
イ 「加工」を主として行いながら「運搬」することを表す複合記号が存在する。
ウ 「検査」には「計量検査」と「計数検査」の2種類がある。
エ 「停滞」は「貯蔵」と「滞留」に分類されるが、相違点は停滞している時間の長さである。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「工程分析」に関する知識を問う問題です。
(ア) 不適切です。
「工程図記号」の「基本図記号」において「加工」を表す工程分析記号は「◇」ではなく「○」であるため、選択肢の内容は不適切です。
(イ) 適切です。
「複合記号」とは、一つの工程において、二つの機能または状態が発生している場合に「基本図記号」を組み合わせて図示される記号のことをいいます。
「複合記号」では、主として行う作業の「基本図記号」を外側に描写して、従となる作業の「基本図記号」を内側に描写します。
なお、「基本図記号」が似ている「加工」と「運搬」を明確に区別できるよう、「複合記号」においては「運搬」には「○(丸)」ではなく「⇨(矢印)」を使用します。
複合記号(参考例)
したがって、「加工」を主として行いながら「運搬」することを表す複合記号が存在するため、選択肢の内容は適切です。
(ウ) 不適切です。
「工程図記号」の「基本図記号」において「検査」は「計量検査」と「計数検査」ではなく「数量検査」と「品質検査」に分類されるため、選択肢の内容は不適切です。
(エ)不適切です。
「工程図記号」の「基本図記号」において「停滞」は「貯蔵」と「滞留」に分類されますが、その違いは「停滞している時間の長さ」ではなく、「計画に則った行動か計画に反した行動か」によるため、選択肢の内容は不適切です。
答えは(イ)です。
コメント