運営管理 ~R4-18 評価と更新(4)設備総合効率~

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今回は、「運営管理 ~R4-18 評価と更新(4)設備総合効率~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和4年度一次試験問題一覧~

令和4年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

設備総合効率 -リンク-

本ブログにて「設備総合効率」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

設備総合効率

「設備総合効率」とは、生産設備の稼働効率を示す指標であり、その数値が高いほど生産設備の稼働効率が優れていることを表しています。

「設備総合効率」は「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つの指標から構成されています。

 

  • 時間稼働率
    設備を利用できる時間(負荷時間)のうち、設備が稼働していた時間(稼働時間)の割合を表す指標
  • 性能稼働率
    設備が稼働していた時間(稼働時間)のうち、実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)の割合を表す指標
  • 良品率
    実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)のうち、良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)の割合を表す指標

 

 

時間の定義

  • 負荷時間
    設備を利用できる時間(操業時間からあらかじめ計画された設備停止時間を控除して算出)
  • 稼働時間
    設備が稼働していた時間(負荷時間から計画外の設備停止時間を控除して算出)
  • 正味稼働時間
    実際に製品を加工した稼働時間(稼働時間からチョコ停・空転・速度低下などにより製品を加工していなかった時間を控除して算出)
  • 価値稼働時間
    良品を生産した稼働時間(正味稼働時間から不適合品の加工に要した時間を控除して算出)

 

設備総合効率の算出方法

「設備総合効率」は「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つの指標を乗じて算出します。

 

 

「設備総合効率」は「設備を利用できる時間(負荷時間)」に対する「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」の割合を表しているため、以下の公式により算出することもできます。

「価値稼働時間」は良品を生産した稼働時間であるため、製品が産出される時間間隔である「基準サイクルタイム」に「良品数量」を乗じて算出します。

 

 

「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の算出方法は後述しますが、上述した2つの公式を変換する流れを以下に示します。

 

 

設備の効率化を阻害する7大ロスとの関係

生産の効率化を阻害するロスとして全部で16種類が定義されており、そのうち「設備の効率化を阻害するロス」は7種類とされています。

「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」と「設備の効率化を阻害する7大ロス」の関係を以下に示します。

 

 

時間稼働率

「時間稼働率」とは「設備を利用できる時間(負荷時間)」のうち「設備が稼働していた時間(稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「設備が稼働していた時間(稼働時間)」は「設備を利用できる時間(負荷時間)」から「計画外の設備停止時間(停止ロス)」を控除した時間を表しています。

 

 

性能稼働率

「性能稼働率」とは「設備が稼働していた時間(稼働時間)」のうち「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」は「設備が稼働していた時間(稼働時間)」から「チョコ停・空転・速度低下などにより設備が稼働してはいたが製品を加工していなかった時間(性能ロス)」を控除した時間を表しています。

「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」は、製品1個を加工するための時間である「基準サイクルタイム」に製品の「加工数量」を乗じて算出します。

 

 

良品率

「良品率」とは「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」のうち「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」は「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」から「不適合品の加工に要した時間(不良ロス)」を控除した時間を表しています。

「良品率」は、時間を用いて算出するのではなく、「加工数量」に対する「良品数量(加工数量 - 不良数量)」の割合として算出します。

 

 

不適合品率

「不適合品」とは、既定の要求事項を満たしていない製品(不良品)のことをいいます。

「不適合品率」は、「加工数量」に対する既定の要求事項を満たしていないと判断された製品(不良品)の数である「不良数量」の割合として算出します。

 

 

「良品率」と「不適合品率」には以下の関係が成立します。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和4年度 第18問】

ある設備について、1,000時間の負荷時間内での設備データを収集したところ下表が得られた。

 

基準サイクルタイム 5分/個
稼働時間 800時間
加工数量(不適合品を含む) 6,720個
不適合品率 20%

 

以下の改善施策を、期待される設備総合効率の高い順に並べたものとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。ただし、負荷時間は同じで、その他の条件も変わらないものとする。

 

a 不適合の原因を検討して、不適合品率を20%から15%にする。
b 速度低下の原因を改善して、加工数量を6,720個から7,680個にする。
c 段取作業を改善して、停止時間を半減させ、稼働時間を800時間から900時間にする。

 

[解答群]

ア a-b-c
イ b-a-c
ウ b-c-a
エ c-a-b
オ c-b-a

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「設備総合効率」に関する知識を問う問題です。

 

「設備総合効率」とは、生産設備の稼働効率を示す指標であり、その数値が高いほど生産設備の稼働効率が優れていることを表しています。

「設備総合効率」は「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」の3つの指標を乗じて算出します。

 

 

生産の効率化を阻害するロスとして全部で16種類が定義されており、そのうち「設備の効率化を阻害するロス」は7種類とされています。

「時間稼働率」「性能稼働率」「良品率」と「設備の効率化を阻害する7大ロス」の関係を以下に示します。

 

 

今回の問題で与えられた改善施策による効果を以下に示します。

 

改善施策 改善内容 効果
(a) 不適合品率の低下 良品率の向上
(b) 速度低下の改善(加工数量の増加) 性能稼働率の向上
(c) 段取作業の改善(稼働時間の増加) 時間稼働率の向上

 

改善施策(a)→ 良品率の向上

改善施策(a)により、不適合の原因を検討して不適合品率を低下させることができれば「良品率」を向上させることができます。

「良品率」とは「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」のうち「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「良品を生産した稼働時間(価値稼働時間)」は「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」から「不適合品の加工に要した時間(不良ロス)」を控除した時間を表しています。

「良品率」は、時間を用いて算出するのではなく、「加工数量」に対する「良品数量(加工数量 - 不良数量)」の割合として算出します。

 

 

「不適合品」とは、既定の要求事項を満たしていない製品(不良品)のことをいいます。

「不適合品率」は、「加工数量」に対する既定の要求事項を満たしていないと判断された製品(不良品)の数である「不良数量」の割合として算出します。

 

 

「良品率」と「不適合品率」には以下の関係が成立します。

 

 

改善する前の不適合品率(20%)と改善した後の不適合品率(15%)における「良品率」を算出します。

 

改善前後の良品率

  • 改善前:100% - 20% = 80%
  • 改善後:100% - 15%85%

 

改善施策(b)→ 性能稼働率の向上

改善施策(b)により、速度低下の原因を改善して加工数量を増加させることができれば「性能稼働率」を向上させることができます。

「性能稼働率」とは「設備が稼働していた時間(稼働時間)」のうち「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」は「設備が稼働していた時間(稼働時間)」から「チョコ停・空転・速度低下などにより設備が稼働してはいたが製品を加工していなかった時間(性能ロス)」を控除した時間を表しています。

「実際に製品を加工した稼働時間(正味稼働時間)」は、製品1個を加工するための時間である「基準サイクルタイム」に製品の「加工数量」を乗じて算出します。

 

 

速度低下の原因を改善する前の加工数量(6,720個)と改善した後の加工数量(7,680個)における「性能稼働率」を算出します。

 

改善前後の性能稼働率

  • 改善前:( 5分/個 × 6,720個 )÷( 800時間 × 60分 )× 100% = 70%
  • 改善後:( 5分/個 × 7,680個 )÷( 800時間 × 60分 )× 100% = 80%

 

改善施策(c)→ 時間稼働率の向上

改善施策(c)により、段取作業を改善して停止時間を半減させ稼働時間を増加させることができれば「時間稼働率」を向上させることができます。

「時間稼働率」とは「設備を利用できる時間(負荷時間)」のうち「設備が稼働していた時間(稼働時間)」の割合を表す指標のことをいいます。

「設備が稼働していた時間(稼働時間)」は「設備を利用できる時間(負荷時間)」から「計画外の設備停止時間(停止ロス)」を控除した時間を表しています。

 

 

段取作業を改善する前の稼働時間(800時間)と改善した後の稼働時間(900時間)における「時間稼働率」を算出します。

 

改善前後の時間稼働率

  • 改善前:800時間÷1,000時間×100%=80%
  • 改善後:900時間÷1,000時間×100%=90%

 

改善施策による設備総合効率の変化

改善する前の設備総合効率とそれぞれの改善施策により期待される設備総合効率を算出します。

 

項目 設備総合効率
(時間稼働率×性能稼働率×良品率)
改善効果
改善前の状態 80% × 70% × 80% = 44.8%
改善施策(a)を実施した場合 80% × 70% × 85% = 47.6% 3位
改善施策(b)を実施した場合 80% × 80% × 80% = 51.2% 1位
改善施策(c)を実施した場合 90% × 70% × 80% = 50.4% 2位

 

したがって、改善施策を期待される設備総合効率の高い順に並べると「b → c → a」となります。

 

「b-c-a」であるため、答えは(ウ)です。


 

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