経済学・経済政策 ~完全競争市場・独占市場(供給独占)・独占的競争市場のまとめ~

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今回は、「経済学・経済政策」の「完全競争市場」「独占市場(供給独占)」「独占的競争市場」に関する記事のまとめです。

 

目次

    1. 完全競争市場・独占市場(供給独占)・独占的競争市場 -リンク-
    2. 財市場の分類
    3. 完全競争市場
      1. 完全競争市場における需要曲線
      2. 完全競争市場の各企業が直面する需要曲線
      3. 限界収入(MR:Marginal Revenue)
      4. 限界費用(MC:Marginal Cost)
      5. 利潤を最大化させる生産量の決定
      6. 利潤を最大化させる生産量における総収入・総費用・利潤の大きさ
        1. 総収入/平均収入
        2. 総費用/平均費用
        3. 可変費用/平均可変費用
        4. 固定費用/平均固定費用
        5. 利潤/平均利潤
      7. 利潤を最大化させる生産量における企業の収支状況(短期)
        1. 財の価格が平均費用(AC)よりも高い場合
        2. 財の価格が平均費用(AC)と等しい場合=損益分岐点
        3. 財の価格が平均費用(AC)より低く平均可変費用(AVC)より高い場合
        4. 財の価格が平均可変費用(AVC)と等しい場合=操業停止点
        5. 財の価格が平均可変費用(AVC)より低い場合
    4. 独占(供給独占)
      1. 独占企業の直面する需要曲線(D)
      2. 限界収入(MR:Marginal Revenue)
      3. 利潤を最大化させる生産量の決定(MR=MC)
      4. ラーナーの独占度
      5. 利潤を最大化させる生産量における総収入・総費用・利潤の大きさ
        1. 総収入/平均収入
        2. 総費用/平均費用
        3. 利潤/平均利潤
      6. 余剰分析(独占市場(供給独占))
    5. 独占的競争市場
      1. 独占的競争市場における各企業が直面する需要曲線
      2. 独占的競争企業の均衡
        1. 独占的競争企業の短期均衡
        2. 独占的競争企業の長期均衡

完全競争市場・独占市場(供給独占)・独占的競争市場 -リンク-

本ブログにて「完全競争市場」「独占市場(供給独占)」「独占的競争市場」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

財市場の分類

財市場は「完全競争市場」と「不完全競争市場」に分類され、さらに「不完全競争市場」は「独占市場(供給独占)」「複占市場」「寡占市場」などに分類されます。

本ページでは「完全競争市場」「独占市場(供給独占)」「独占的競争(製品差別化)」について説明しています。

財市場の分類

 

完全競争市場

「完全競争市場」とは、財を提供する供給者と需要者が多数存在しており、財が差別化されておらず同質である市場のことをいいます。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「完全競争市場」においては、財が差別化されておらず同質であるため、各企業は市場全体で決定した価格を受容する「プライステイカー」として、自らの利潤を最大化させるように生産量を決定します。

 

完全競争市場における需要曲線

「完全競争市場」においては、財の価格が上昇するとその需要量が減少し、財の価格が下落するとその需要量が増加するため、「需要曲線(D)」は右下がりの曲線となります。

また、右下がりの曲線である「需要曲線(D)」と右上がりの曲線である「供給曲線(S)」が均衡する「交点(E)」で、財の「価格(P0)」と「生産量(Q0)」が決定します。

 

完全競争市場の需要曲線(D)と供給曲線(S)

 

完全競争市場の各企業が直面する需要曲線

「完全競争市場」の各企業が直面する「需要曲線(d)」の考え方は「独占企業」が直面する「需要曲線(D)」の考え方とは異なります。

 

「完全競争市場」において「需要曲線(D)」と「供給曲線(S)」が均衡する「交点(E)」における価格が「P0」であった場合、市場全体で決定した価格を受容する「プライステイカー」である各企業においては、「生産量」を増減しても財の価格は変動せず「価格(P0)」で固定されるため、各企業が直面する「需要曲線(d)」は水平となります

「完全競争市場」における「需要曲線(D)」が右下がりの曲線であるのに対して、各企業の「需要曲線(d)」が水平となるのは「生産量」の規模が大きく異なるためであり、仮に「完全競争市場」に参入している1つの企業が「生産量(q)」を大量に増やしたとしても、市場全体の「生産量(Q)」には影響を与えない程度であるということを表しています。

 

完全競争市場の各企業が直面する需要曲線(d)

 

各企業が直面する需要曲線は「d」で表されます。
なお、市場全体の需要曲線を表す場合は「D」と表記されます。
各企業の生産量は「q」で表されます。
なお、市場全体の生産量を表す場合は「Q」と表記されます。

 

限界収入(MR:Marginal Revenue)

「完全競争市場」の各企業における「限界収入曲線(MR)」の考え方は「独占企業」の「限界収入曲線(MR)」の考え方とは異なります。

 

「限界収入(MR)」とは、生産量を1単位増加したときの総収入の増加分のことをいいます。

「完全競争市場」の各企業は、各企業が直面する「需要曲線(d)」は水平であり、財の「生産量」に関わらず「価格(P0)」で販売できるため、「生産量」を1単位増加すると収入が「価格(P0)」だけ増加します。

したがって、「限界収入(MR)=価格(P0)」となるため、「完全競争市場」において各企業が直面する「限界収入曲線(MR)」は「需要曲線(d)」と同じく水平(MR=d)となります。

 

完全競争市場の各企業が直面する限界収入曲線(MR)

 

限界費用(MC:Marginal Cost)

「限界費用(MC)」とは、生産量を1単位増加したときの総費用の増加分のことをいいます。

 

 

「限界費用(MC)」は生産量を1単位増加したときの総費用の増加分であるため、「総費用曲線(TC曲線)」の傾き(総費用関数を生産量で微分)として求めることができます。

以下に示す図の通り、「限界費用曲線(MC曲線)」は「U字型」となります

 

総費用曲線(上)と限界費用曲線(下)

 

利潤を最大化させる生産量の決定

各企業は、利潤を最大化させるように「生産量(q)」を決定します。

利潤を最大化させる生産量は「限界収入(MR)」から「限界費用(MC)」を控除した「限界利益(MR-MC)」で考えていきます。

「限界利益(MR-MC)」とは、生産量を1単位増加したときの利潤の増加分であるため、「限界利益(MR-MC)」が「プラス」であれば、企業が財を生産すればするほどその利潤は大きくなりますが、「限界利益(MR-MC)」が「マイナス」であれば、企業が財を生産すればするほどその利潤は小さくなってしまいます

これまでに説明した「限界収入曲線(MR)」と「限界費用曲線(MC)」を組み合わせて「限界利益(MR-MC)」のイメージを図にすると以下のようになります。

 

完全競争市場の各企業における利潤の最大化

 

「限界利潤(MR-MC)」が「ゼロ」となる「生産量(Q0)」までは、生産量を1単位増加する度に、企業の利潤は増加していきますが、「生産量(Q0)」を超えると「限界利潤(MR-MC)」が「マイナス」となり、生産量を1単位増加する度に、企業の利潤が減少してしまうことが分かります。

したがって、「完全競争市場」の各企業は利潤を最大化させる生産量として「限界利潤(MR-MC)」が「ゼロ(MR=MC)」となる「交点E」の「生産量(Q0)」に決定します

 

利潤を最大化させる生産量における総収入・総費用・利潤の大きさ

利潤を最大化させる生産量における「総収入(平均収入)」「総費用(平均費用)」「可変費用(平均可変費用)」「固定費用(平均固定費用)」「利潤(平均利潤)」の大きさについて説明していきます。

 

総収入/平均収入

利潤を最大化させる「生産量(q)」における「平均収入」は縦軸の高さ(P)として「総収入」は「平均収入(P)」に「生産量(q)」を乗じた面積として表されます。

 

完全競争市場の各企業における平均収入と総収入

 

総費用/平均費用

利潤を最大化させる「生産量(q)」における「平均費用」は縦軸の高さ(CACとして「総費用」は「平均費用(CAC)」に「生産量(q)」を乗じた面積として表されます。

 

完全競争市場の各企業における平均費用と総費用

 

可変費用/平均可変費用

利潤を最大化させる「生産量(q)」における「平均可変費用」は縦軸の高さ(CAVCとして「可変費用」は「平均可変費用(CAVC)」に「生産量(q)」を乗じた面積として表されます。

 

完全競争市場の各企業における平均可変費用と可変費用

 

固定費用/平均固定費用

利潤を最大化させる「生産量(q)」における「平均固定費用」は「平均費用(CAC)」から「平均可変費用(CAVC)」を控除した縦軸の高さ(CAC-CAVCとして「固定費用」は「平均固定費用(CAC-CAVC)」に「生産量(q)」を乗じた面積として表されます。

 

完全競争市場の各企業における平均固定費用と固定費用

利潤/平均利潤

利潤を最大化させる「生産量(q)」における「平均利潤」は「平均収入(P)」から「平均費用(CAC)」を控除した縦軸の高さ(P-CACとして「利潤」は「平均利潤(P-CAC)」に「生産量(q)」を乗じた面積として表されます。

 

完全競争市場の各企業における平均利潤と利潤

 

利潤を最大化させる生産量における企業の収支状況(短期)

完全競争市場の各企業においては、市場全体で決定した価格に基づき、利潤を最大化( MR=MC )する生産量に決定しますが、利潤を最大化させる生産量であったとしても、完全競争市場において決定される価格によって、企業における収支の状況は異なります

 

財の価格が平均費用(AC)よりも高い場合

完全競争市場において財の価格が「P1」であった場合、企業が利潤を最大化( MR=MC )する生産量は「q1」となり、「MR=MC」の交点(E1)は「AC」よりも高くなります

「MR=MC」の交点(E1)が「AC」よりも高くなるということは、総収入が総費用を上回っており、企業が生産活動により利潤を得られる状態であることを示しています。

 

財の価格が平均費用(AC)よりも高い場合

 

財の価格が平均費用(AC)と等しい場合=損益分岐点

完全競争市場において財の価格が「P2」であった場合、企業が利潤を最大化( MR=MC )する生産量は「q2」となり、「MR=MC」の交点(E2)は「AC」と等しくなります

「MR=MC」の交点(E2)が「AC」と等しくなるということは、総収入と総費用が等しく、企業が生産活動により得られる利潤が「ゼロ」となる状態であることを示しています。

価格が「P2」である場合の「MR=MC=AC」の交点(E2)のことを「損益分岐点」といいます。

 

財の価格が平均費用(AC)と等しい場合

 

財の価格が平均費用(AC)より低く平均可変費用(AVC)より高い場合

完全競争市場において財の価格が「P3」であった場合、企業が利潤を最大化( MR=MC )する生産量は「q3」となり、「MR=MC」の交点(E3)は「AC」よりも低く「AVC」よりも高くなります

「MR=MC」の交点(E3)が「AC」よりも低く「AVC」よりも高くなるということは、固定費用の一部を回収できない状態であることを示しています。

企業の得られる利潤が「マイナス」とはなりますが、少しでも固定費用を回収できているため、企業は生産活動を継続します

 

財の価格がACより低くAVCより高い場合

 

財の価格が平均可変費用(AVC)と等しい場合=操業停止点

完全競争市場において財の価格が「P4」であった場合、企業が利潤を最大化( MR=MC )する生産量は「q4」となり、「MR=MC」の交点(E4)は「AVC」と等しくなります

「MR=MC」の交点(E4)が「AVC」と等しくなるということは、可変費用については回収できているが、固定費用については全く回収できていない状態であることを示しているため、企業は生産活動を停止して、完全競争市場から退出します

価格が「P4」である場合の「MR=MC=AVC」の交点(E4)のことを「操業停止点」といいます。

 

財の価格が平均可変費用(AVC)と等しい場合

 

財の価格が平均可変費用(AVC)より低い場合

完全競争市場において財の価格が「P5」であった場合、企業が利潤を最大化( MR=MC )する生産量は「q5」となり、「MR=MC」の交点(E5)は「AVC」よりも低くなってしまいます

「MR=MC」の交点(E5)が「AVC」よりも低くなるということは、固定費用だけでなく、可変費用の一部すら回収できない状態であることを示しているため、企業は生産活動を停止して、完全競争市場から退出します

 

財の価格が平均可変費用(AVC)より低い場合

 

独占(供給独占)

「独占(供給独占)」とは、供給者が1社であり財が差別化されている市場のことをいいます。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「独占市場(供給独占)」においては、財が差別化されており市場への新規参入も不可能であるため、「独占企業」が価格支配力を有する「プライスメイカー」として、自らの利潤を最大化させるように価格を設定することができます。

 

独占企業の直面する需要曲線(D)

「独占企業」の直面する「需要曲線(D)」の考え方は「完全競争市場」の各企業における「需要曲線(d)」の考え方とは異なります。

 

「独占市場(供給独占)」においては、市場における供給者が1社しか存在しておらず、全ての需要者は唯一の供給者である「独占企業」から供給される財を需要するため、「独占企業」の直面する需要曲線は、市場全体の需要曲線と同じく右下がりの曲線となります。

したがって、「独占企業」は、財の「生産量」を減らしてその価格を高く設定したり、財の価格を低く設定して「生産量」を増やすことができます。

ちなみに、「完全競争市場」においては、各企業は市場全体で決定した価格を受容する「プライステイカー」であるため、各企業が直面する需要曲線は水平となります

「完全競争市場」の各企業が直面する水平な需要曲線(以下左図)と「独占企業」の直面する右下がりの需要曲線(以下右図)を以下に示します。

 

完全競争市場と独占市場(供給独占)の需要曲線

 

各企業が直面する需要曲線は「d」で表され、市場全体の需要曲線を表す場合は「D」と表されますが、市場を独占する企業の直面する需要曲線は、市場全体の需要曲線と同一であるため「D」と表されます

各企業の生産量は「q」で表され、市場全体の生産量を表す場合は「Q」と表されますが、市場を独占する企業の生産量は、市場全体の生産量と同一であるため「Q」と表されます

 

限界収入(MR:Marginal Revenue)

「独占企業」の「限界収入曲線(MR)」の考え方は「完全競争市場」の各企業における「限界収入曲線(MR))」の考え方とは異なります。

 

「限界収入(MR)」とは、生産量を1単位増加したときの総収入の増加分のことをいいます。

「完全競争市場」においては、各企業の「需要曲線(d)」が水平の曲線であったため「限界収入曲線(MR)」は「需要曲線(d)」と同じく水平(MR=d)でしたが、「独占市場(供給独占)」においては「需要曲線(D)」が右下がりの曲線であるため「限界収入曲線(MR)」と「需要曲線(D)」は異なる曲線(MR≠D)となります。

 

完全競争市場と独占市場(供給独占)の限界収入曲線(MR)

 

「限界収入曲線(MR)」と「需要曲線(D)」が異なる曲線(MR≠D)であることを数式から確認していきます。

 

右下がりの曲線(直線)である「需要曲線(D)」は、Y軸との切片を「a」、傾きを「-b」、生産量(横軸)を「Q」とした場合、以下の関数により表すことができます。

 

  • 需要曲線(D)
    D = abQ

 

「総収入(TR)」は「価格」に「生産量」を乗じることにより算出できるため、「価格」を「P」とした場合「総収入(TR)= P × Q」として求めることができます。また、「価格(P)」は「需要曲線(D)」上の点であるため「P=D」の関係が成立します。

 

  • 総収入(TR)= 価格(需要曲線上の点)× 生産量
    TR = P × Q = D × Q =( a-bQ )× Q = aQ-bQ²

 

「限界収入曲線(MR)」は「生産量を1単位増加したときの総収入の増加分」であるため「総収入(TR)」の関数を「生産量(Q)」で微分することにより算出することができます。

 

  • 限界収入曲線(MR)
    ⊿TR ÷ ⊿Q = a2bQ

 

「需要曲線(D)」と「限界収入(MR)」の関数を比較すると、どちらもY軸の切片は「a」ですが、傾きは「需要曲線(D)」では「-b」であり、「限界収入曲線(MR)」では「-2b」となっていることが分かります。

したがって、「独占企業」の「限界収入曲線(MR)」は「需要曲線(D)」とY軸の切片が同じで傾きが2倍の曲線となります。

 

独占企業の需要曲線(D)と限界収入曲線(MR)

 

利潤を最大化させる生産量の決定(MR=MC)

「独占企業」において利潤を最大化させる条件(MR=MC)は「完全競争市場」の各企業において利潤を最大化させる条件(MR=MC)と同じです。

 

「独占企業」は、利潤を最大化させる「限界収入曲線(MR)」と「限界費用曲線(MC)」の交点において「生産量(Qm)」を決定するため、財の価格は「生産量(Qm)」における「需要曲線(D)」の高さ(Pm)で決定します。

なお、「生産量(Qm)」における「需要曲線(D)」上の点のことを「クールノーの点(M)」といいます。

 

独占市場(供給独占)における利潤の最大化

 

ラーナーの独占度

「ラーナーの独占度」とは「独占企業」の価格支配力の強さを表す指標であり、以下の公式により求めることができます。

「ラーナーの独占度」の数値が大きいほど「限界収入(MR)」が大きく当該企業による独占度が高いことを表しています。

なお、「完全競争市場」においては「価格(P)= 限界収入(MR)」であり、利潤を最大化させる条件が「限界収入(MR)= 限界費用(MC)」であるため、「ラーナーの独占度」の分子である「価格(P)- 限界費用(MC)」はゼロとなります

 

 

また、「ラーナーの独占度」は「需要の価格弾力性」の逆数という関係があります。(需要の価格弾力性については別途説明します)

 

 

利潤を最大化させる生産量における総収入・総費用・利潤の大きさ

「独占企業」の「利潤を最大化させる生産量における総収入・総費用・利潤の大きさ」の考え方は「完全競争市場」の考え方と同じです。

 

利潤を最大化させる「生産量(Qm)」における「独占企業」の「総収入(平均収入)」「総費用(平均費用)」「利潤(平均利潤)」の大きさについて説明していきます。

 

総収入/平均収入

利潤を最大化させる「生産量(Qm)」における「独占企業」の「平均収入」は縦軸の高さ(Pmとなり、「総収入」は「平均収入(Pm)」に「生産量(Qm)」を乗じた面積となります。

 

独占企業の平均収入と総収入

 

総費用/平均費用

利潤を最大化させる「生産量(Qm)」における「独占企業」の「平均費用」は縦軸の高さ(CACとなり、「総費用」は「平均費用(CAC)」に「生産量(Qm)」を乗じた面積となります。

 

独占企業の平均費用と総費用

 

利潤/平均利潤

利潤を最大化させる「生産量(Qm)」における「独占企業」の「平均利潤」は「平均収入(Pm)」から「平均費用(CAC)」を控除した縦軸の高さ(Pm-CACとなり、「利潤」は「平均利潤(Pm-CAC)」に「生産量(Qm)」を乗じた面積となります。

 

独占企業の平均利潤と利潤

 

余剰分析(独占市場(供給独占))

「独占市場(供給独占)」の「余剰(利益)」について考えていきます。

 

「独占市場(供給独占)」においては「限界収入曲線(MR)」は「需要曲線(D)」と異なり、Y軸の切片が同じで傾きが2倍の曲線となります。

「独占市場(供給独占)」においては「プライスメーカー」である「独占企業」が利潤を最大化させる「限界収入曲線(MR)」と「限界費用曲線(MC)」の交点で「生産量(Qm)」を決定するため、財の価格は「生産量(Qm)」における「需要曲線(D)」の高さ(Pm)で決定します。

 

独占市場(供給独占)の余剰分析

 

「消費者余剰」は、価格の上昇と生産量(消費量)の減少により「完全競争市場」の場合よりも減少します

「生産者余剰」は、価格の上昇により増加する分と生産量(供給量)の減少により減少する分があるため、「完全競争市場」と比較したとき、一概に増加するか減少するかを判断することはできません

「消費者余剰」と「生産者余剰」を重ね合わせた「社会的総余剰」は「完全競争市場」の場合よりも減少しますが、減少してしまう「余剰」のことを「余剰の損失(死荷重)」といいます。

 

独占的競争市場

「独占的競争市場」とは、財を提供する供給者が多数存在しているため競争的ではあるものの財に対してある程度の差別化がなされている市場のことをいいます。

「完全競争市場」は「供給者が多数存在しており財が同一であること」という条件に基づいた市場で、「独占(供給独占)」は「供給者が1社であり財が差別化されていること」という条件に基づいた市場ですが、「独占的競争市場」はその中間に位置する市場というイメージです。

 

完全競争市場 独占的競争市場 独占(供給独占)
供給者 多数 多数 1社
市場で扱う財 同一 ある程度差別化 差別化
価格支配力 なし あり あり
市場への参入と退出 長期的には可能 長期的には可能 不可能

 

「独占的競争市場」においては、財がある程度差別化されているため「完全競争市場」とは異なり、各企業が価格支配力を有する「プライスメイカー」として、自らの利潤を最大化させるように価格を設定することができます。

 

独占的競争市場における各企業が直面する需要曲線

「独占的競争市場」においては、財がある程度差別化されているため「完全競争市場」とは異なり、各企業が直面する「需要曲線(d)」は右下がりの曲線となります。したがって、「独占的競争市場」の各企業は、財の「生産量」を減らしてその価格を高く設定したり、財の価格を低く設定して「生産量」を増やすことができます。

ちなみに、「完全競争市場」においては、各企業は市場全体で決定した価格を受容する「プライステイカー」であるため、各企業が直面する需要曲線は水平となります

「完全競争市場」の各企業が直面する水平な需要曲線(以下左図)と「独占的競争市場」の各企業が直面する右下がりの需要曲線(以下右図)を以下に示します。

 

完全競争市場と独占的競争市場の需要曲線(d)

 

各企業が直面する需要曲線は「d」で表されます。
なお、市場全体の需要曲線を表す場合は「D」と表記されます。
各企業の生産量は「q」で表されます。
なお、市場全体の生産量を表す場合は「Q」と表記されます。

 

独占的競争企業の均衡

「独占的競争市場」における各企業の「短期均衡」と「長期均衡」について説明します。

ここでいう「短期」とは、労働量を増減させることはできるものの資本量を増減させることができない程度の短い期間のことをいい、「長期」とは、労働量だけでなく資本量も増減させることができる長い期間のことをいいます。

「独占的競争市場」は「市場への参入と退出」を自由に行うことができる市場ではありますが、市場に参入するには新たな設備投資を行うなど資本量の増加が伴い、市場から退出するには設備の処分を行うなど資本量の減少が伴うため、「短期均衡」においては「市場への参入と退出」ができない前提で、「長期均衡」においては「市場への参入と退出」ができる前提で、財の価格と生産量の均衡について考えていきます

 

独占的競争企業の短期均衡

「短期均衡」においては、「独占(供給独占)」の企業と同様の手順により、利潤を最大化させる財の価格と生産量を決定します。

 

右下がりの「需要曲線(d)」と、「需要曲線(d)」とY軸の切片が同じで傾きが2倍の「限界収入曲線(MR)」と、「U字型」の「限界費用曲線(MC)」と「費用曲線(AC)」を描画します。

 

「独占的競争市場」における企業は、利潤を最大化させる「限界収入曲線(MR)」と「限界費用曲線(MC)」の交点において「生産量(qm)」を決定するため財の価格は「生産量(qm)」における「需要曲線(d)」の高さ(Pm)で決定します。

なお、「生産量(qm)」における「需要曲線(d)」上の点のことを「供給点」といいます。

「独占的競争市場」における企業の短期均衡のイメージ図を以下に示します。

 

独占的競争市場(短期均衡)

 

この場合、「生産量(qm)」における「需要曲線(d)」の「点M(価格)と「平均費用曲線(AC)」の「点G(平均費用)」の差が「平均利潤」を表しているため、「平均利潤(点M-点G)」に「生産量(qm)」を乗じた面積が、企業の「利潤」となります。

 

短期均衡における企業の利潤

 

独占的競争企業の長期均衡

「独占的競争市場」は「市場への参入と退出」を自由に行うことができる市場であるため、短期均衡において「正の利潤」を得ることができるのであれば、その利潤を獲得するために新たな企業が参入してきます

新たな企業は、その利潤が「ゼロ」になるまで参入し続けてくるため、長期においては企業の利潤が「ゼロ」となる点で均衡します

 

「需要曲線(d)」と「平均費用曲線(LAC)」が接するまで「需要曲線(d)」が左方にシフトして、その接点において財の「価格(Pm’)」と「生産量(qm’)」が決定します。

この場合、「生産量(qm’)」における「需要曲線(d)」と「平均費用曲線(LAC)」の接点である「点M’」では「価格=平均費用となるため、「平均利潤」および企業の「利潤」が「ゼロ」となります

「独占的競争市場」における各企業の長期均衡のイメージ図を以下に示します。

 

独占的競争市場(長期均衡)

 


 

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