経済学・経済政策 ~H27-4 主要経済理論(7)ライフサイクル仮説~

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今回は、「経済学・経済政策 ~H27-4 主要経済理論(7)ライフサイクル仮説~」について説明します。

 

目次

経済学・経済政策 ~平成27年度一次試験問題一覧~

平成27年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

絶対所得仮説・相対所得仮説・ライフサイクル仮説・恒常所得仮説 -リンク-

本ブログにて「絶対所得仮説」「相対所得仮説」「ライフサイクル仮説」「恒常所得仮説」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

消費関数論争(三大仮説)

「消費関数論争」とは「短期(ケインズ型消費関数)」と「長期(クズネッツ型消費関数)」で異なるそれぞれの消費関数について、どのような理論であれば矛盾なく説明することができるのかを主題とした論争のことをいいます。

「消費関数論争」の中で、それぞれの消費関数を矛盾なく説明する仮説として「相対所得仮説」「ライフサイクル仮説」「恒常所得仮説」という「三大仮説」が提唱されましたが、どの仮説が正しいということはなく、いずれの説も現実の私たちの行動を正しく説明できる部分があるとされています。

 

相対所得仮説

「相対所得仮説」とは、経済学者であるデューゼンベリーによって提唱された消費関数に関する仮説であり、個人の消費は、現在の所得により決定されるのではなく、過去の自分の消費習慣(時間)や他人の消費水準(空間)に影響を受けるという理論のことをいいます。

 

歯止め効果(ラチェット効果)

「歯止め効果(ラチェット効果)」とは、個人の消費は、過去の自分の消費習慣(時間)に影響を受けて決定されるため、所得が減少しても短期的には消費がそれほど減少しないとされています。

「歯止め効果(ラチェット効果)」は、所得が減少しても、それまでの自分の消費習慣を急に変えることができなかったり、長期契約などの制約によりすぐに消費を減らすことができないといった理由により発生します。

長期においては、減少した自分の所得に基づく消費習慣に慣れていき、消費を減少していきます。

 

デモンストレーション効果

「デモンストレーション効果」とは、個人の消費は、自分の所得だけでなく、他人の消費水準(空間)に影響を受けて決定されるため、所得が減少しても短期的には消費がそれほど減少しないとされています。

「デモンストレーション効果」とは、所得が減少しても、他人の目が気になりすぐには消費を減らすことができないといった理由により発生します。

長期においては、自分の所得だけが減少したのではなく、景気の悪化などにより他人の所得も減少したことに気が付き、消費を減少していきます。

 

ライフサイクル仮説

「ライフサイクル仮説」とは、経済学者であるモディリアーニ、ブルンバーグ、安藤によって提唱された消費関数に関する仮説であり、個人の消費は、現在の所得金額ではなく、生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)を、生涯を通じて全部使い切れるように決定されるという理論のことをいいます。

「ライフサイクル仮説」では、定期昇給などによって「生涯所得」が増加する見通しがあれば消費を増やしますが、宝くじなどによって一時的な所得である「変動所得」を得たとしても消費を増やさないとされています。

また、所得が消費を上回る青年期から壮年期にかけては将来のために貯蓄を増やし、所得が減少する老年期においてはその貯蓄を切り崩しながら生活水準を維持していくため、高齢化が進み、人口全体に占める労働から引退した高齢者の割合が大きくなると、経済全体における「貯蓄率」が減少して「平均消費性向(C÷Y)」が上昇します。

 

恒常所得仮説

「恒常所得仮説」とは、経済学者であるフリードマンによって提唱された消費関数に関する仮説であり、個人の消費は、過去に得た所得の平均値に基づき将来に得られると想定される所得金額である「恒常所得」と、一時的な所得である「変動所得」に区分した上で、「恒常所得」に基づいて消費が決定されるという理論のことをいいます。

「恒常所得仮説」では、定期昇給などによって「恒常所得」が増加する見通しがあれば消費を増やしますが、宝くじなどによって一時的な所得である「変動所得」を得たとしても消費を増やさないとされています。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成27年度 第4問】

ライフサイクルモデルの消費と貯蓄に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、生涯所得を一定とし、選択肢中にある貯蓄率とは所得に対する貯蓄の割合をさす。

 

ア 個人の各期の消費は、個人の年功所得にあわせて変化する。
イ 個人の各期の貯蓄は、生涯を通じて一定である。
ウ 労働から引退した高齢者の、人口全体に占める割合が大きくなれば、貯蓄率が低くなる。
エ 労働しない若年者の、人口全体に占める割合が大きくなれば、貯蓄率が高くなる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

ライフサイクルモデル(ライフサイクル仮説)に関する知識を問う問題です。

 

「ライフサイクル仮説」とは、経済学者であるモディリアーニ、ブルンバーグ、安藤によって提唱された消費関数に関する仮説であり、個人の消費は、現在の所得金額ではなく、生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)を、生涯を通じて全部使い切れるように決定されるという理論のことをいいます。

「ライフサイクル仮説」では、定期昇給などによって「生涯所得」が増加する見通しがあれば消費を増やしますが、宝くじなどによって一時的な所得である「変動所得」を得たとしても消費を増やさないとされています。

また、所得が消費を上回る青年期から壮年期にかけては将来のために貯蓄を増やし、所得が減少する老年期においてはその貯蓄を切り崩しながら生活水準を維持していくため、高齢化が進み、人口全体に占める労働から引退した高齢者の割合が大きくなると、経済全体における「貯蓄率」が減少して「平均消費性向(C÷Y)」が上昇します。

 

(ア) 不適切です。

「ライフサイクル仮説」とは、個人の消費は、現在の所得金額ではなく、生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)を、生涯を通じて全部使い切れるように決定されるという理論のことをいいます。

 

したがって、個人の各期の消費は、個人の年功所得ではなく生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)にあわせて変化するため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 不適切です。

「ライフサイクル仮説」とは、個人の消費は、現在の所得金額ではなく、生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)を、生涯を通じて全部使い切れるように決定されるという理論のことをいいます。

「ライフサイクル仮説」では、所得が消費を上回る青年期から壮年期にかけては将来のために貯蓄を増やし、所得が減少する老年期においてはその貯蓄を切り崩しながら生活水準を維持していくため、高齢化が進み、人口全体に占める労働から引退した高齢者の割合が大きくなると、経済全体における「貯蓄率」が減少して「平均消費性向(C÷Y)」が上昇します。

 

したがって、一人の各期の貯蓄は、生涯を通じて一定ではなく、所得が消費を上回る青年期から壮年期にかけては将来のために貯蓄を増やし、所得が減少する老年期においてはその貯蓄を切り崩しながら生活水準を維持していくため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 適切です。

「ライフサイクル仮説」とは、個人の消費は、現在の所得金額ではなく、生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)を、生涯を通じて全部使い切れるように決定されるという理論のことをいいます。

「ライフサイクル仮説」では、所得が消費を上回る青年期から壮年期にかけては将来のために貯蓄を増やし、所得が減少する老年期においてはその貯蓄を切り崩しながら生活水準を維持していくため、高齢化が進み、人口全体に占める労働から引退した高齢者の割合が大きくなると、経済全体における「貯蓄率」が減少して「平均消費性向(C÷Y)」が上昇します。

 

したがって、労働から引退した高齢者の、人口全体に占める割合が大きくなれば、貯蓄率が低くなるため、選択肢の内容は適切です

 

(エ) 不適切です。

「ライフサイクル仮説」とは、個人の消費は、現在の所得金額ではなく、生涯を通じて得られると想定される所得総額(生涯所得)を、生涯を通じて全部使い切れるように決定されるという理論のことをいいます。

「ライフサイクル仮説」では、所得が消費を上回る青年期から壮年期にかけては将来のために貯蓄を増やし、所得が減少する老年期においてはその貯蓄を切り崩しながら生活水準を維持していくため、高齢化が進み、人口全体に占める労働から引退した高齢者の割合が大きくなると、経済全体における「貯蓄率」が減少して「平均消費性向(C÷Y)」が上昇します。

 

したがって、労働しない若年者の、人口全体に占める割合が大きくなれば、貯蓄率が高くなるのではなく貯蓄率が低くなるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(ウ)です。


 

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