このブログでは二次試験(事例Ⅲ/事例Ⅳ)についても説明していますので、参考としてください。

経済学・経済政策 ~R2-15 代替効果と所得効果(1)代替効果と所得効果~

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今回は、「経済学・経済政策 ~R2-15 代替効果と所得効果(1)代替効果と所得効果~」について説明します。

 

経済学・経済政策 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

代替効果と所得効果 -リンク-

一次試験に向けた「代替効果と所得効果」について説明しているページを以下に示しますので、アクセスしてみてください。

 

 

効用

消費者は、財を消費することによって「効用」を得ることができます。
「効用」とは「財の消費によって消費者が得られる満足度」のことをいいます。

 

無差別曲線

「無差別曲線」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、縦軸に「Y財の消費量」を、横軸に「X財の消費量」を取ったグラフで表されるある消費者が等しい効用水準を得られる2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

消費が増加すると効用が高まる一般的な2つの財の「無差別曲線」は以下の図のようになります。

「無差別曲線」では、「同一の無差別曲線上においてはどの点を取っても効用水準は等しい」という特徴を理解しておくことが重要です。

 

 

また、もう一つ、「無差別曲線」は以下の図のように「3本」しかないわけではなく無数に存在するという特徴も理解しておくことが重要です。

 

 

予算制約線

「予算制約線」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、「X財の消費量X」と「Y財の消費量Y」のグラフで表される「予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを結んだ曲線」のことをいいます。

 

 

最適消費点

「最適消費点」とは、社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、「X財の消費量X」と「Y財の消費量Y」の2軸のグラフで表される限られた予算の中で、ある消費者の効用を最大化する2財の消費の組み合わせを示す点」のことをいいます。

ある消費者が等しい効用を得られる2財の消費の組み合わせを表す「無差別曲線」と、予算を全て使い切った2財の消費の組み合わせを表す「予算制約線」の接点が「最適消費点」となります。

 

 

予約制約線の変化による最適消費点のシフト

予約制約線の変化によって「最適消費点」がどのようにシフトするのかについて確認するため「X財の価格が下落した場合」を例として以下に説明します。

 

  1. X財の価格が下落すると「X財の消費量がゼロである場合のY財の消費量(Y軸の切片)」は変わらずに「Y財の消費量がゼロである場合のX財の消費量」が大きくなるため「予算制約線」が右方に拡大します。
  2. 拡大した「予算制約線」は、X財の価格が下落する前の「予約制約線」と接していた「無差別曲線」よりも効用が高い「無差別曲線」と接することとなるため、この新たな「無差別曲線」との接点が、X財の価格が下落した場合の「最適消費点」となります。(無差別曲線がシフトするわけではありません。もともと無差別曲線は無数に存在しています。)

 

 

価格効果(全部効果)

社会に2つの財しか存在しないという仮定の「2財モデル」において、財の価格変動が「最適消費点」に与える効果のことを「価格効果(全部効果)」といいます。

「価格効果(全部効果)」は、効用水準が一定という条件の下で2財の相対価格比の変化が「最適消費点」に与える効果である「代替効果」と、2財の相対価格比が一定という条件の下で実質取得の変化が「最適消費点」に与える効果である「所得効果」を掛け合わせた効果として表されます。

 

代替効果 効用水準が一定という条件の下で、2財の相対価格比の変化が最適消費点に与える効果
所得効果 2財の相対価格比が一定という条件の下で、実質取得の変化が最適消費点に与える効果

 

代替効果

「代替効果」とは、効用水準が一定という条件の下で、2財の相対価格比の変化が「最適消費点」に与える効果のことをいいます。

言葉の定義が難しいですが、X財の価格が下落すると、X財の方がY財より相対的に価格が安くなるため、Y財よりX財を購入するようになるという感覚だと理解すれば大丈夫だと思います。

 

「代替効果」は、同一の「無差別曲線」に接する(効用水準が一定)ように「予算制約線」の傾きを変えながらシフトさせた(2財の相対価格比の変化)場合の「最適消費点」のシフトとして表されます。

 

「代替効果」のイメージ

 

所得効果

「所得効果」とは、2財の相対価格比が一定という条件の下で、実質取得の変化が最適消費点に与える効果のことをいいます。

言葉の定義が難しいですが、X財の価格の下落により「実質所得」が増加する(財を消費できる量が増加する)ため、2財を消費する量を増やすという感覚だと理解すれば大丈夫だと思います。

 

「所得効果」は、財の価格が変動した後の「予算制約線」を、傾きを変えず(2財の相対価格比が一定)に平行シフトさせた(実質取得の変化)場合の「最適消費点」のシフトとして表されます。

 

「所得効果」のイメージ

 

スルツキー分解

「価格効果(全部効果)」を「代替効果」と「所得効果」に分解することを「スルツキー分解」といいます。

 

X財の価格が下落すると「予算制約線」がシフトして「最適消費点」もシフトします。
この「最適消費点のシフト(赤→青)」は、財の価格変動が「最適消費点」に与える効果である「価格効果(全部効果)」を表しています。

 

 

財の価格が変動した後の「予算制約線」を、傾きを変えず(2財の相対価格比が一定)に、X財の価格が下落する前の「予算制約線」が接していた「無差別曲線」と接する点(緑)まで平行シフト(実質取得の変化)します。

 

 

財の価格変動が「最適消費点」に与える効果である「価格効果(全部効果)」を、同一の「無差別曲線」に接する(効用水準が一定)ように「予算制約線」の傾きを変えながらシフトさせた(2財の相対価格比の変化)場合の「最適消費点」のシフトとして表される「代替効果(赤→緑)」と、財の価格が変動した後の「予算制約線」を、傾きを変えず(2財の相対価格比が一定)に平行シフトさせた(実質取得の変化)場合の「最適消費点」のシフトとして表される「所得効果(緑→青)」に分解することができました。

 

 

実際の問題では「スルツキー分解」が終わった後の図が示され、どれが「代替効果」と「所得効果」を表しているかという形で出題されます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第15問】

働くことにより得られる所得と余暇のバランスを考えることは重要である。下図は、家計の所得と余暇の組み合わせについて、予算制約線と無差別曲線を用いて示したものである。賃金の上昇に伴う点Eから点Fへの移動に関する記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア 点Eから点Gへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が増加する部分であり、「所得効果」という。
イ 点Eから点Gへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。
ウ 点Gから点Fへの変化は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少する部分であり、「所得効果」という。
エ 点Gから点Fへの変化は、賃金の上昇によって、時間の配分が労働から余暇に切り替えられた部分であり、「代替効果」という。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

代替効果と所得効果に関する知識を問う問題です。

 

賃金の上昇に伴い、所得と余暇のバランスを示す「最適消費点」がどのようにシフトしていくのかを確認していきます。

 

 

  • 賃金の上昇に伴い「所得」が「A」から「A’」に増加するため「予算制約線(AB)」が「予算制約線(A’B)」にシフトします。
  • 「最適消費点」は「予算制約線(A’B)」が「無差別曲線(U1)」と接する「点F」にシフトします。(無差別曲線がシフトするわけではありません。もともと無差別曲線は無数に存在しています。)

 

続いて、賃金の上昇に伴う「価格効果(全部効果)」を「代替効果」と「所得効果」に分解します。

 

 

  • 賃金の上昇によりシフトした「予算制約線(A’B)」を、賃金が上昇する前の「予算制約線(AB)」が接していた「無差別曲線(U0)」と接するまで平行に下方シフトします。
  • 平行に下方シフトした「予算制約線」と「無差別曲線(U0)」の接点を「点G」とします。
  • 賃金の上昇に伴う「価格効果(全部効果)(E → F)」を「代替効果(E → G)」と「所得効果(G → F)」に分解することができました。

 

「選択肢(ア)」と「選択肢(エ)」は「代替効果」と「所得効果」を表す点のシフトに関する記述が間違っているため、正解は「選択肢(イ)」と「選択肢(ウ)」のどちらかに絞ることができます。

 

続いて、「代替効果」と「所得効果」に関する説明内容について確認していきます。

 

代替効果 効用水準が一定という条件の下で、2財の相対価格比の変化が最適消費点に与える効果
所得効果 2財の相対価格比が一定という条件の下で、実質取得の変化が最適消費点に与える効果

 

(イ) 適切です。

「代替効果」は「無差別曲線(U0)」における「最適消費点(E)」から「最適消費点(G)」へのシフトとして表され、その変化は、賃金の上昇により余暇が減少している(時間の配分が余暇から労働に切り替えられた)と読み取ることができます。

 

したがって、点Eから点Gへの変化(代替効果)は、賃金の上昇によって、時間の配分が余暇から労働に切り替えられた部分であるため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

「所得効果」は、賃金の上昇によりシフトした「予算制約線(A’B)」を平行シフトした「予算制約線」と「無差別曲線(U0)」の接点である「最適消費点(G)」から、賃金の上昇によりシフトした「予算制約線(A’B)」と「無差別曲線(U1)」の接点である「最適消費点(F)」へのシフトとして表され、その変化は、実質所得の増加によって余暇が増加している(正常財としての余暇の需要が増加する)と読み取ることができます。

 

したがって、点Gから点Fへの変化(所得効果)は、実質所得の増加によって、正常財としての余暇の需要が減少する部分ではなく増加する部分であるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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