運営管理 ~R2-22 環境保全(1)環境マネジメントシステム~

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今回は、「運営管理 ~R2-22 環境保全(1)環境マネジメントシステム~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

環境マネジメントシステム(EMS)

「環境マネジメント」とは、企業などの組織や事業者が、その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取り組みを進めるにあたり、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくことをいいます。

「環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)」とは、企業などの組織や事業者が「環境マネジメント」を推進するために、工場や事業所内に構築された体制や手続きなどの仕組みのことをいいます。

また、このような自主的な「環境マネジメント」の取り組み状況について、客観的な立場からチェックを行うことを「環境監査」といいます。

「環境マネジメント」や「環境監査」は、事業活動を環境にやさしいものに変えていてくために効果的な手法であり、幅広い組織や事業者が積極的に取り組んでいくことが期待されています。

「環境マネジメントシステム」には、国際規格である「ISO14001」や、環境省が策定した「エコアクション21」があります。他にも、地方自治体、NPO、中間法人等が策定した「環境マネジメントシステム」があり、全国規模のものには「エコステージ」や「KES・環境マネジメントシステム・スタンダード」があります。

 

ISO14001

「ISO14001」とは、「環境マネジメントシステム」の仕様を定めた規格のことをいいます。

「ISO14001」は、「ISO(国際標準化機構)」が定めている「環境マネジメント」に関わる様々な規格である「ISO14000シリーズ」の中核に位置しています。

「ISO14000シリーズ」は、「環境マネジメントシステム」を中心として「環境監査」「環境パフォーマンス評価」「環境ラベル」「ライフサイクルアセスメント」など環境マネジメントを支援する様々な手法に関する規格から構成されています。

なお、「ISO(国際標準化機構)」は、各国で実施する施策がバラバラとならないよう、基本的な部分を世界で共通化することを目的としているため、定められた規格に法的な拘束力はなく、規格に沿った取り組みをするかどうかは、企業などの組織や事業者の自主的な判断に委ねられています

 

ISO14001の概要

「ISO14001」は、「環境マネジメントシステム」の仕様を定めた規格であり、規格に沿った「環境マネジメントシステム」を構築する際に遵守すべき項目が記述されています

「ISO14001」は、最高経営層の責任者が関与して方針を策定するなど、トップダウン型の管理の下で、PDCAサイクルを繰り返すことにより「環境マネジメント」のレベルを継続的に改善していくという考え方で構成されています。

 

審査登録制度

「ISO14001」の規格に基づいた「環境マネジメントシステム」を構築すれば、そのことを自ら宣言する(自己宣言)か、外部の機関に証明してもらう(第三者認証)ことができます。

「第三者認証」については「財団法人日本適合性認定協会(JAB)」を中心とした「審査登録制度」が整備されており、それぞれの企業などの組織や事業者が「第三者認証」を取得する場合は、JABが認定した「審査登録機関(様々な団体がある)」による審査を受ける必要があります

「第三者認証」を取得するために審査登録を受けるか否か、また審査登録を受ける場合にどの「審査登録機関」に依頼するかについては、それぞれの企業などの組織や事業者が、自らの状況、目的、特性に応じて選択することができます。

 

エコアクション21

「エコアクション21」とは、中小事業者等の幅広い事業者に対して、自主的に環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる簡易な方法を提供することを目的として、環境省が策定した日本独自の「環境マネジメントシステム」です。

「エコアクション21」は、「環境マネジメントシステム」「環境パフォーマンス評価」「環境報告」をひとつに統合したものであり、中小事業者でも自主的かつ積極的な環境配慮に対する取り組みが展開することができ、その取り組み結果を「環境活動レポート」として取りまとめて公表できるように工夫されています

 

環境会計

「環境会計」とは、企業などの組織や事業者が、持続可能な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちながら、環境保全への取り組みを効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動において環境保全のために要したコストとその活動により得られた効果を認識して、可能な限り定量的(貨幣単位または物量単位)に測定して公表する仕組みのことをいいます。

 

環境会計の機能と役割

「環境会計」の機能は「内部機能」と「外部機能」に分類されます。

 

内部機能

「内部機能」とは、企業などの組織や事業者の環境情報システムの一環として、環境保全対策に要したコストとその効果を評価すること、および環境保全活動が事業活動に与える影響を把握することにより、適切な経営判断を通じて、環境保全対策をより効率的かつ効果的に推進することを促す機能のことをいいます。

 

外部機能

「外部機能」とは、環境報告書を通じて、企業などの組織や事業者による環境保全への取り組み状況について定量的に測定した結果や、環境保全への取り組み姿勢や具体的な対応などを併せて公表することによって、外部の利害関係者に伝達して、外部の利害関係者が適切な評価を行えるようにする機能のことをいいます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第22問】

環境保全に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア ISO14001の基本的な構造は、環境マネジメントを継続的に改善していくためのPDCAサイクルで、トップが定めた方針に基づいた現場における取り組みを重視し、ボトムアップ型のマネジメントを想定している。

イ エコアクション21とは、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価および環境報告を1つに統合したもので、中小事業者でも環境配慮に対する取り組みが展開でき、その結果を「環境活動レポート」として取りまとめて公表できるようにするための仕組みである。

ウ 環境会計とは、物品等の調達に当たって価格や品質などとともに環境という視点を加えて、環境負荷の低減に努めている事業者から購入する活動を促進するため、各製品の環境負荷に対する影響を可能な限り定量的に測定し公表する仕組みである。

エ 環境マネジメントシステムとは、環境保全に関する取り組みを進めるに当たり、国が定めた環境に関する方針や目標の達成のために、工場や事業所内に構築された組織の計画・体制・プロセスのことである。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「環境マネジメントシステム」に関する知識を問う問題です。

「ISO14001」は有名なので知っていますが、「エコアクション21」「環境会計」はあまり馴染みがないですね。

 

(ア) 不適切です。

「ISO14001」は、「環境マネジメントシステム」の仕様を定めた規格であり、規格に沿った「環境マネジメントシステム」を構築する際に遵守すべき項目が記述されています

「ISO14001」は、最高経営層の責任者が関与して方針を策定するなど、トップダウン型の管理の下で、PDCAサイクルを繰り返すことにより「環境マネジメント」のレベルを継続的に改善していくという考え方で構成されています。

 

したがって、ISO14001の基本的な構造は、環境マネジメントを継続的に改善していくためのPDCAサイクルで、トップが定めた方針に基づいた現場における取り組みを重視し、ボトムアップ型ではなくトップダウン型のマネジメントを想定しているため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

「エコアクション21」とは、中小事業者等の幅広い事業者に対して、自主的に環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる簡易な方法を提供することを目的として、環境省が策定した日本独自の「環境マネジメントシステム」です。

「エコアクション21」は、「環境マネジメントシステム」「環境パフォーマンス評価」「環境報告」をひとつに統合したものであり、中小事業者でも自主的かつ積極的な環境配慮に対する取り組みが展開することができ、その取り組み結果を「環境活動レポート」として取りまとめて公表できるように工夫されています

 

したがって、エコアクション21とは、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価および環境報告を1つに統合したもので、中小事業者でも環境配慮に対する取り組みが展開でき、その結果を「環境活動レポート」として取りまとめて公表できるようにするための仕組みであるため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

「環境会計」とは、企業などの組織や事業者が、持続可能な発展を目指して、社会との良好な関係を保ちながら、環境保全への取り組みを効率的かつ効果的に推進していくことを目的として、事業活動において環境保全のために要したコストとその活動により得られた効果を認識して、可能な限り定量的(貨幣単位または物量単位)に測定して公表する仕組みのことをいいます。

 

したがって、環境会計とは、物品等の調達などの業務に限定するのではなく、全ての事業活動において環境保全のために要したコストやその活動により得られた効果を認識し、可能な限り定量的に測定し公表する仕組みであるため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「環境マネジメント」とは、企業などの組織や事業者が、その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取り組みを進めるにあたり、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくことをいいます。

「環境マネジメントシステム(EMS:Environmental Management System)」とは、企業などの組織や事業者が「環境マネジメント」を推進するために、工場や事業所内に構築された体制や手続きなどの仕組みのことをいいます。

 

したがって、環境マネジメントシステムとは、環境保全に関する取り組みを進めるに当たり、国が定めたものではなく、自らが定めた環境に関する方針や目標の達成のために、工場や事業所内に構築された組織の計画・体制・プロセスのことであるため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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