運営管理 ~R2-40 物流情報システム(9)GS1標準データキャリア~

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今回は、「運営管理 ~R2-40 物流情報システム(9)GS1標準データキャリア~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

GS1

「GS1」とは、世界の流通情報に関する標準化を推進する国際的な組織であり、「国際EAN協会」と「米UCC」が合併して2005年に発足しました。

ベルギーのブリュッセルに本部が設置され、世界110カ国以上の国や地域が加盟しています。

日本では「一般財団法人 流通システム開発センター(流通システム標準普及推進協議会)」が「GS1 Japan」として加盟しています。

 

GS1標準データキャリア

「データキャリア」とは、機械で読み取ることができる形式で表示した識別コードのことをいい、サプライチェーンの効率化を目的として「GS1」により標準化が進められています。

 

GS1標準データキャリアの種類

「GS1」で標準化されている「データキャリア」には、商品などに印刷された情報をリーダーで読み取る「一次元シンボル」「二次元シンボル」と、ICチップに書き込まれた情報を無線通信で読み取る「電子タグ(ICタグ/RFID)」があります。

 

一次元シンボル

「一次元シンボル」とは、横方向のみ(一次元)に情報が表示されているバーコードのことをいいます。

「GS1」で標準化されている「一次元シンボル」を以下に示します。

 

データキャリアの種類 書き込まれる識別情報 主に表示されるもの
JAN(EAN/UPC)シンボル GTIN-13
GTIN-12
GTIN-8
消費者購入単位の商品
ITFシンボル GTIN-14
GTIN-13
GTIN-12
企業間取引単位の商品(段ボール等)
GS1-128シンボル GS1識別コードと属性情報 企業間取引単位の商品、通い容器、資産、文書等
GS1データバー
標準型/標準二層型
GTIN 消費者購入単位の商品
GS1データバー
拡張型/拡張多層型
GTINと属性情報 消費者購入単位の商品
GS1データバー
限定型/二層型
GTIN 医療用医薬品

 

二次元シンボル

「二次元シンボル」は、横方向だけでなく縦方向にも(二次元)情報が表示されています。

「二次元シンボル」には、バーコードを縦に積み重ねて表示した「スタック型」と、セルと呼ばれる正方形や点を格子状に並べて表示した「マトリクス型」の2種類があります。

「GS1」で標準化されている「二次元シンボル」を以下に示します。

 

データキャリアの種類 書き込まれる識別情報 主に表示されるもの
GS1 データバー合成シンボル GTINと属性情報 医療用医薬品
GS1 データマトリックス GS1識別コードと属性情報 資産、通い容器、医療機器・材料、文書、モバイル等
GS1 QRコード GS1識別コードと属性情報 資産、通い容器、文書、モバイル等

 

電子タグ(ICタグ)

「電子タグ」は、データを格納するICチップと小型のアンテナで構成されており、無線通信の技術(RFID)を用いた非接触通信ができるため、複数の「電子タグ」を離れたところから一括して読み取ることができます。

「電子タグ」には、識別情報として「GS1識別コード」に「シリアル番号」を付加した「EPC(Electronic Product Code)」が書き込まれているため、同じ商品であっても、それぞれを個別に識別することができます。

「GS1」で標準化されている「電子タグ」を以下に示します。

 

データキャリアの種類 書き込まれる識別情報 主に表示されるもの
EPCタグ GS1識別コードとシリアル番号
(と属性情報)
アパレル商品、通い容器等

 

EPCの体系

「EPC(Electronic Product Code)」とは、「電子タグ」に書き込まれる識別コードのことをいい、「GS1識別コード」を基準として構成されています。

 

GS1識別コード EPC
モノ・製品 GTIN SGTIN
場所 GLN SGLN
輸送・梱包 SSCC SSCC
資産 GRAI GRAI
GIAI GIAI
サービス GSRN GSRN
ドキュメント GDTI GDTI
クーポン GCN SGCN
製品/構成品 CPID CPID

 

識別情報

「GS1標準データキャリア」に書き込まれる識別情報には「GS1識別コード」と「属性情報」があります。

 

GS1識別コード

「GS1識別コード」には、「商品・サービス」を識別する「GTIN」、「企業・事業所」を識別する「GLN」、「通い箱・通い容器」を識別する「GRAI」など用途に応じた識別コードがあります。

 

GTIN(Global Trade Item Number)

「GTIN」は、「GS1」で標準化されている「商品識別コード」であり、ハイフン以降の数字は、その桁数を表しています。

「GTIN」により「どの事業者のどの商品またはサービスか」を識別することができるため、「小売業」においては、POS システムを使った精算業務、受発注業務、在庫管理などで、また「物流センター」においては、入出庫管理、仕分け、棚卸、在庫管理などで活用されています。

「GTIN」では、「GS1事業者コード」により事業者を一意に識別して「商品アイテムコード」により商品やサービスを一意に識別します。

 

「GTIN」のコード体系

 

GLN(Global Location Number)

「GLN」は、「GS1」で標準化されている「企業・事業所識別コード」 であり、以下の3つの情報で構成された「13桁」の数字です。国内に限らず世界において企業や事業所等を一意に識別することができるため、EDI(企業間電子データ交換)で活用されています。

 

  • GS1事業者コード(9桁/7桁)
  • ロケーションコード(3桁/5桁)
  • チェックデジット(1桁)

 

GRAI(Global Returnable Asset Identifier)

「GRAI」は、「GS1」で標準化されている「リターナブル容器識別番号」であり、以下の情報で構成された「最大30桁」の数字です。パレット、オリコン、カゴ車、コンテナなど、企業間で繰り返し使用する資産(通い箱・通い容器)を管理するために活用されており、資産追跡やメンテナンス管理の向上などを実現することができます。

 

  • 備品コード(14桁/必須)
    • 固定値:0(1桁)
    • GS1事業者コード(9桁/7桁)
    • 資産種別コード(3桁/5桁)
    • チェックデジット(1桁)
  • シリアルナンバー(最大16桁/任意)

 

属性情報

「属性情報」には、製造年月日、品質保持期限日、ロット番号、シリアル番号など商品やサービス等に関連する様々な情報が含まれます。

情報の先頭に「GS1アプリケーション識別子(GS1 AI)」と呼ばれる識別コードを付加することで、「GS1アプリケーション識別子」以降に続くデータが何を示しているか分かるようにしています

なお、「GS1アプリケーション識別子(AI)」は、GS1が標準化した「情報の種類」と「その情報のフォーマット(データの内容、桁数、使用可能な文字)」を表す「2桁から4桁」の数字です。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第40問】

バーコードが普及し、その利便性が世界的に認識される一方で、商品コード以外にも表示文字やその種類を増やすことで、Webと連動した商品情報提供の実現などのニーズに対応するため、従来の1次元シンボルのJANコードに加えて2次元シンボルのGS1 QRコードが利用されている。

GS1 QRコードに関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

a GS1のデータキャリア標準として認められている2次元シンボルは、GS1 QRコードのみである。
b 1つのシンボルで比較すればGS1 QRコードの方がJANコードより情報量は大きいが、JANコードを複数表示することが可能であれば、GS1 QRコードと同様に商品情報サイトへの誘導も可能である。
c GS1 QRコードを活用すれば、同じブランドや同じメーカーのキャンペーンであっても、消費者を商品個別のサイトに誘導することが可能である。

 

[解答群]

ア a:正 b:正 c:正
イ a:正 b:正 c:誤
ウ a:正 b:誤 c:誤
エ a:誤 b:正 c:正
オ a:誤 b:誤 c:正

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「GS1標準データキャリア」に関する知識を問う問題です。

 

「データキャリア」とは、機械で読み取ることができる形式で表示した識別コードのことをいい、サプライチェーンの効率化を目的として「GS1」により標準化が進められています。

「GS1」で標準化されている「データキャリア」には、商品などに印刷された情報をリーダーで読み取る「一次元シンボル」「二次元シンボル」と、ICチップに書き込まれた情報を無線通信で読み取る「電子タグ(ICタグ/RFID)」があります。

 

(a) 不適切です。

「二次元シンボル」は、横方向だけでなく縦方向にも(二次元)情報が表示されています。

「二次元シンボル」には、バーコードを縦に積み重ねて表示した「スタック型」と、セルと呼ばれる正方形や点を格子状に並べて表示した「マトリクス型」の2種類があります。

「GS1」で標準化されている「二次元シンボル」を以下に示します。

 

データキャリアの種類 書き込まれる識別情報 主に表示されるもの
GS1 データバー合成シンボル GTINと属性情報 医療用医薬品
GS1 データマトリックス GS1識別コードと属性情報 資産、通い容器、医療機器・材料、文書、モバイル等
GS1 QRコード GS1識別コードと属性情報 資産、通い容器、文書、モバイル等

 

したがって、GS1のデータキャリア標準として認められている2次元シンボルは、「GS1 QRコード」だけでなく「GS1データマトリックス」や「GS1データバー合成シンボル」もあるため、選択肢の内容は不適切です

 

(b) 不適切です。

「JAN(EAN/UPC)シンボル」とは、商品のブランドを持つ事業者(商品の主体的な供給者)が、商品の消費者購入単位または最小取引単位に設定するコードであり、「どの事業者のどの商品か」を識別するために利用されるコードであるため、「JAN(EAN/UPC)シンボル」には「商品識別コード」である「GTIN-13」「GTIN-12」「GTIN-8」を書き込みます

一方、「GS1 QRコード」の用途は幅広く「GS1識別コード」「属性情報」を書き込むことができます。

 

  • GS1識別コード
    「GS1識別コード」には、「商品やサービス」を識別する「GTIN」、「企業や事業所」を識別する「GLN」、「通い箱/通い容器」を識別する「GRAI」など用途に応じた識別コードがあります。
  • 属性情報
    「属性情報」には、製造年月日、品質保持期限日、ロット番号、シリアル番号など商品やサービス等に関連する様々な情報が含まれます。

 

「商品情報サイト」に関する情報は属性情報に該当します。

「属性情報」を書き込むことができる「GS1 QRコード」の場合、「商品識別コードのAI(01)」と「エクステンドパッケージURLのAI(8200)」の情報を書き込めば、商品情報サイトに誘導することができますが、「JAN(EAN/UPC)シンボル」には属性情報を書き込むことができないため、商品情報サイトに誘導することができません

 

したがって、JANコードを複数表示できたとしても、GS1 QRコードのように商品情報サイトへ誘導することはできないため、選択肢の内容は不適切です

 

(c) 適切です。

「GS1 QRコード」の用途は幅広く「GS1識別コード」「属性情報」を書き込むことができます。

 

  • GS1識別コード
    「GS1識別コード」には、「商品やサービス」を識別する「GTIN」、「企業や事業所」を識別する「GLN」、「通い箱/通い容器」を識別する「GRAI」など用途に応じた識別コードがあります。
  • 属性情報
    「属性情報」には、製造年月日、品質保持期限日、ロット番号、シリアル番号など商品やサービス等に関連する様々な情報が含まれます。

 

「商品個別の情報サイト」に関する情報は属性情報に該当します。

「属性情報」を書き込むことができる「GS1 QRコード」の場合、「商品識別コードのAI(01)」と「エクステンドパッケージURLのAI(8200)」の情報を書き込めば、商品個別のサイトに誘導することができます

 

したがって、GS1 QRコードを活用すれば、同じブランドや同じメーカーのキャンペーンであっても、消費者を商品個別のサイトに誘導することが可能であるため、選択肢の内容は適切です

 

「a:誤 b:誤 c:正」であるため、答えは(オ)です。


 

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