運営管理 ~R2-32 商品予算計画(2)商品予算計画~

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今回は、「運営管理 ~R2-32 商品予算計画(2)商品予算計画~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

GMROI・交差主義比率(交差比率)・商品回転率 -リンク-

本ブログにて「GMROI」「交差主義比率(交差比率)」「商品回転率」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

商品予算計画

「商品予算計画」とは、財務的な側面からマーチャンダイジング活動を推進するための目標を設定することをいいます。

「商品予算計画」では、具体的な商品の品揃えや数量を定めるのではなく、「売上総利益(粗利益)」に影響を与える要素について目標を設定することであり、売上高予算、在庫高予算、減価予算、値入高予算、仕入高予算から構成されます。

これらの予算は、独立して目標を設定するのではなく、企業が目標とする「GMROI(商品投下資本粗利益率)」などの基礎数値に基づき、各予算の関連性を確認しながら設定していきます。

それぞれの予算目標を設定するための基礎数値となる代表的な指標には「GMROI(商品投下資本粗利益率)」「交差主義比率(交差比率)」「商品回転率」などが挙げられます。

「GMROI(商品投下資本粗利益率)」は「原価基準」で、「交差主義比率(交差比率)」は「売値基準」で投下資本に対する効率性を示す指標です。

 

 

代表的な指標の特徴

指標 特徴
GMROI
  • 原価基準で収益性を示す指標であり、商品に投下した資本に対する利益獲得能力を表している。
  • その数値が高い方が効率的に利益を獲得できており、良好であることを示している。
  • 数値を算出する際に「平均在庫高(原価)」を使用する。
交差主義比率
(交差比率)
  • 売値基準で商品への在庫投資がどれだけの粗利益をあげているかを示す指標であり、商品に投下した資本を回収する速さという観点で見た資本効率を表している。
  • その数値が高い方が効率的に利益を獲得できており、良好であることを示している。
  • 数値を算出する際に「平均在庫高(売価)」を使用する。
商品回転率
  • 企業の「効率性」を示す財務指標であり、企業が保有する資産から効率的に収益を上げることができているかを表している。
  • 「売上高」を「平均在庫高」で除した指標であり、その数値が高いほど「効率性」が高い。
  • ただし、その数値が高すぎると、商品が売場や倉庫にあまりストックされていないことを示しているため、一次的な需要の急増等に対応できず品切れを起こす危険性がある。

 

GMROI(商品投下資本粗利益率)

「GMROI(商品投下資本粗利益率)」とは、小売業を生業とする企業において原価基準で収益性を示す代表的な指標であり、商品に投下した資本に対する利益獲得能力を表しています。

「GMROI(商品投下資本粗利益率)」は、その数値が高い方が効率的に利益を獲得できており、良好であることを示しています。

「GMROI(商品投下資本粗利益率)」は以下の公式により算出することができます。

「GMROI(商品投下資本粗利益率)」を算出するために「平均在庫高(原価)」を使用する点が「交差主義比率(交差比率)」とは異なっています。

 

 

交差主義比率(交差比率)

「交差主義比率(交差比率)」とは、商品への在庫投資がどれだけの粗利益をあげているかを売値基準で示す指標であり、商品に投下した資本を回収する速さという観点で見た資本効率を表しています。

「交差主義比率(交差比率)」は、その数値が高い方が効率的に資本を回収できており、良好であることを示しています。

「交差主義比率(交差比率)」は以下の公式により算出することができます。

「交差主義比率(交差比率)」を算出するために「平均在庫高(売価)」を使用する点が「GMROI(商品投下資本粗利益率)」とは異なっています。

 

 

商品回転率

「商品回転率」は、企業の「効率性」を示す財務指標です。企業の「効率性」を示す財務指標は、企業が保有する資産から効率的に収益を上げることができているかを確認することができます。

「商品回転率」は「売上高」を「平均在庫高」で除した指標であり、以下の公式により算出されます。

 

 

「商品回転率」は、その数値が高いほど「効率性」が高いことを示しています。

「商品回転率」が低い(商品の平均在庫残高が多い)場合は、商品を仕入れてから販売されるまでの期間が長く、売場や倉庫に商品が滞留していて売上に貢献していないことを表しており、その結果資金繰りが悪化したり、商品が陳腐化して売り物にならなくなるといった問題が発生します。

逆に言うと、「商品回転率」が高い方が、仕入れた商品が売場や倉庫に滞留しておらず、売上に貢献していることを示しているため、良好な状態であるということを表しています。

ただし、「商品回転率」が高すぎると、商品が売場や倉庫にあまりストックされていないことを示しているため、一次的な需要の急増等に対応できず品切れを起こす危険性があります。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第32問】

以下は、土産物店の店主X氏と中小企業診断士(以下、「診断士」という。)との間で行われた会話である。
会話の中の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

X氏:「私が経営する店舗の商品在庫は適切なのでしょうか。」

診断士:「商品在庫量を管理する指標はいくつかあります。売上と在庫の関係を表すものに[ A ]があります。数値が大きいほど在庫の効率が良いということになります。」

X氏:「同じ売上で在庫が少なければ、[ A ]が高まるということですね。それでは、もっと在庫を減らすほうが良いですね。」

診断士:「単純に在庫を減らせば良いということではありません。在庫が少なすぎると欠品が起こりやすくなり、販売機会ロスが発生してしまいます。適度な商品在庫を維持することが必要です。」

X氏:「[ A ]以外に、どのような指標を参考にすれば良いでしょうか。」

診断士:「商品に投下した資本がどれだけ効率的に粗利益を出すことができたかをみる指標に[ B ]があります。これは、期間中の粗利益額を原価の平均在庫高で除した数値で、Xさんの店の前期の数値を算出すると、業界として適正な水準にあると思います。また、期間中の粗利益額を売価の平均在庫高で除した数値を[ C ]といい、販売面での生産性を評価する指標です。」

 

[解答群]

ア A:GMROI B:交差比率 C:商品回転率
イ A:交差比率 B:GMROI C:商品回転率
ウ A:交差比率 B:商品回転率 C:GMROI
エ A:商品回転率 B:GMROI C:交差比率
オ A:商品回転率 B:交差比率 C:GMROI

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「商品予算計画」に関する知識を問う問題です。

 

「商品予算計画」とは、財務的な側面からマーチャンダイジング活動を推進するための目標を設定することをいいます。

「商品予算計画」では、具体的な商品の品揃えや数量を定めるのではなく、「売上総利益(粗利益)」に影響を与える要素について目標を設定することであり、売上高予算、在庫高予算、減価予算、値入高予算、仕入高予算から構成されます。

それぞれの予算目標を設定するための基礎数値となる代表的な指標には「GMROI(商品投下資本粗利益率)」「交差主義比率(交差比率)」「商品回転率」などが挙げられます。

 

代表的な指標の特徴

GMROI
  • 原価基準で収益性を示す指標であり、商品に投下した資本に対する利益獲得能力を表している。
  • その数値が高い方が効率的に利益を獲得できており、良好であることを示している。
  • 数値を算出する際に「平均在庫高(原価)」を使用する。
交差主義比率
(交差比率)
  • 売値基準で商品への在庫投資がどれだけの粗利益をあげているかを示す指標であり、商品に投下した資本を回収する速さという観点で見た資本効率を表している。
  • その数値が高い方が効率的に利益を獲得できており、良好であることを示している。
  • 数値を算出する際に「平均在庫高(売価)」を使用する。
商品回転率
  • 企業の「効率性」を示す財務指標であり、企業が保有する資産から効率的に収益を上げることができているかを表している。
  • 「売上高」を「平均在庫高」で除した指標であり、その数値が高いほど「効率性」が高い。
  • ただし、その数値が高すぎると、商品が売場や倉庫にあまりストックされていないことを示しているため、一次的な需要の急増等に対応できず品切れを起こす危険性がある。

 

X氏と診断士との間で行われた会話に当てはめていくと、[A]には、売上と在庫の関係を表す指標である「商品回転率」が入ります。また、[B]は原価基準(期間中の粗利益額を原価の平均在庫高で除した数値)であり、[C]は売価基準(期間中の粗利益額を売価の平均在庫高で除した数値)であるため、[B]には「GMROI」が、[C]には「交差比率」が入ります。

 

穴埋め文章

上述の内容に基づき、問題文を穴埋めすると以下の文章となります。

 

—-

X氏:「私が経営する店舗の商品在庫は適切なのでしょうか。」

診断士:「商品在庫量を管理する指標はいくつかあります。売上と在庫の関係を表すものに商品回転率があります。数値が大きいほど在庫の効率が良いということになります。」

X氏:「同じ売上で在庫が少なければ、商品回転率が高まるということですね。それでは、もっと在庫を減らすほうが良いですね。」

診断士:「単純に在庫を減らせば良いということではありません。在庫が少なすぎると欠品が起こりやすくなり、販売機会ロスが発生してしまいます。適度な商品在庫を維持することが必要です。」

X氏:「商品回転率以外に、どのような指標を参考にすれば良いでしょうか。」

診断士:「商品に投下した資本がどれだけ効率的に粗利益を出すことができたかをみる指標にGMROIがあります。これは、期間中の粗利益額を原価の平均在庫高で除した数値で、Xさんの店の前期の数値を算出すると、業界として適正な水準にあると思います。また、期間中の粗利益額を売価の平均在庫高で除した数値を交差比率といい、販売面での生産性を評価する指標です。」

—-

 

「A:商品回転率」「B:GMROI」「C:交差比率」であるため、答えは(エ)です。


 

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