財務・会計 ~R2-1 売上原価の計算(6)商品勘定~

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今回は、「財務・会計 ~R2-1 売上原価の計算(6)商品勘定~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~令和2年度一次試験問題一覧~

令和2年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

売上原価の計算 -リンク-

本ブログにて「売上原価の計算」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

棚卸資産の評価 -リンク-

「棚卸資産の評価」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

商品勘定による売上原価の算出

「当期に販売された商品の価額」である売上原価は、商品勘定において「期首における商品残高」と「当期に仕入れた商品の価額」の合計金額から、「期末における商品残高」を差し引いて求めることができます。

 

 

棚卸資産(期末における商品)の評価

「商品」は棚卸資産に区分され、期末の棚卸において「実際の在庫の数量(実地数量)」や「在庫の価値(正味売却価額)」により算出した価額が「帳簿上の価額(簿価切下前)」よりも低くなっている場合は、「実際の在庫の数量(実地数量)」や「在庫の価値(正味売却価額)」により算出した価額を「商品(棚卸資産)」の貸借対照表価額とし(低価法)、その差額は、「棚卸減耗費」と「商品評価損」という勘定科目に計上して、費用として処理を行います。

 

 

棚卸減耗費と商品評価損

「棚卸減耗費」と「商品評価損」の説明を、以下に示します。

 

  • 棚卸減耗費
    「棚卸減耗費」は、数量不一致を表しており、帳簿上の商品の数量(帳簿数量)と実際の商品の数量(実地数量)の差分で求められます。
  • 商品評価損
    「商品評価損」は、商品の価値低下を表しており、実際に存在する商品の貸借対照表価額(簿価切下前)と正味売却価額の差分で求められます。

 

棚卸減耗費と商品評価損のイメージ図

「棚卸減耗費」と「商品評価損」については、以下の図で覚えておくことをお薦めします。

全体の大きな四角が、「貸借対照表価額(簿価切下前)」を示しており、「棚卸資産減耗費(赤色四角)」と「商品評価損(緑色四角)」で評価した結果が、「貸借対照表価額(切り下げ後)(青色四角)」となります。

 

 

棚卸減耗費と商品評価損の表示区分

損益計算書における「棚卸減耗費」と「商品評価損」の表示区分を以下に示します。
若干の言葉の定義は異なりますが、「棚卸減耗費」と「商品評価損」共に、毎期発生するような一般的な理由によるか、突発的に発生するような臨時的な理由によるかで、表示区分が異なってきます

 

項目 条件 損益計算書の
表示区分
棚卸減耗費 原価性あり
(毎期発生するような正常な範囲)
売上原価
販売費
原価性なし
(臨時の事象により発生した異常な範囲)
営業外費用
特別損失
商品評価損 原則 売上原価
臨時の事象に起因し、かつ多額な場合
(重要な事業部門の廃止、災害損失の発生)
(簿価切下額の戻入れは不可)
特別損失

 

棚卸減耗費と商品評価損の仕訳

「棚卸減耗費」と「商品評価損」を計上する場合の仕訳を以下に示します。
貸方の「棚卸資産」には、貸借対照表価額を「正味売却価額」に変更する勘定科目が入ります。

 

借方 貸方
棚卸減耗費
商品評価損
10,000
20,000
棚卸資産(商品、製品、仕掛品など) 30,000

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和2年度 第1問】

以下の資料に基づき、当期の売上原価として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

【資 料】

期首商品棚卸高 100,000円
当期商品純仕入高 750,000円
期末商品棚卸高

帳簿棚卸数量 実地棚卸数量 原価 正味売却価額
A商品 120 個 110 個 @ 1,200 円 @ 1,000 円
B商品 80 個 70 個 @ 1,000 円 @ 1,100 円

なお、棚卸減耗損および商品評価損はすべて売上原価に含める。

 

[解答群]

ア 626,000円
イ 648,000円
ウ 663,000円
エ 670,000円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

商品勘定により売上原価を算出する問題です。

 

商品勘定による売上原価の算出

「当期に販売された商品の価額」である売上原価は、商品勘定において「期首における商品残高」と「当期に仕入れた商品の価額」の合計金額から、「期末における商品残高」を差し引いて求めることができます。

問題で期末商品の「実地棚卸数量」や「正味売却価額」が与えられているということは「棚卸減耗費」や「商品評価損」が発生すると想定されますが、「棚卸減耗損および商品評価損はすべて売上原価に含める」と記述されているため、「棚卸減耗費」や「商品評価損」を実際に算出しなくても「期末における商品残高」さえ算出できれば「売上原価」を求めることができます

 

 

期末商品棚卸高の算出

「商品」は棚卸資産に区分され、期末の棚卸において「実際の在庫の数量(実地数量)」や「在庫の価値(正味売却価額)」により算出した価額が「帳簿上の価額(簿価切下前)」よりも低くなっている場合は、「実際の在庫の数量(実地数量)」や「在庫の価値(正味売却価額)」により算出した価額を「商品(棚卸資産)」の貸借対照表価額とし(低価法)、その差額は、「棚卸減耗費」と「商品評価損」という勘定科目に計上して、費用として処理を行います。

 

  • 「棚卸減耗費」は、数量不一致を表しており、帳簿上の商品の数量(帳簿数量)と実際の商品の数量(実地数量)の差分で求められます。
  • 「商品評価損」は、商品の価値低下を表しており、実際に存在する商品の貸借対照表価額(簿価切下前)と正味売却価額の差分で求められます。

 

「A商品」については「棚卸減耗費」と「商品評価損」が発生しますが、「B商品」については、「帳簿上の価額(原価)」よりも「正味売却価額」の方が高値となっているため、「商品評価損」は発生しません

「A商品」と「B商品」の「期末棚卸高(貸借対照表価額)」のイメージは以下の通りです。

 

 

問題で与えられた数値に基づき、「期末商品棚卸高」を算出します。

価額 数量 期末商品棚卸高
A商品 @ 1,000 円 110 個 110,000
B商品 @ 1,000 円 70 個 70,000
合計 180,000

 

売上原価の算出

「期首商品棚卸高」と「当期商品純仕入高」の合計金額から「期末商品棚卸高」を差し引いて、「売上原価」を算出します。

 

  • 売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品純仕入高 - 期末商品棚卸高
    = 100,000円 + 750,000円 - 180,000円670,000円

 

「商品勘定」は以下の通りです。

 

 

今回の問題を解くためには必要ありませんが、参考として「棚卸減耗費」と「商品評価損」を算出してみます。

 

棚卸減耗損(参考)

「A商品」と「B商品」の「棚卸減耗費」は以下の通りです。

 

  • 棚卸減耗費 = 原価 ×(帳簿棚卸数量-実地棚卸数量)
  • 棚卸減耗費(A商品)= 1,200円 ×( 120個 - 110個 )= 12,000円
  • 棚卸減耗費(B商品)= 1,000円 ×( 80個 - 70個 )= 10,000円

 

商品評価損(参考)

「A商品」と「B商品」の「商品評価損」は以下の通りです。
なお、「B商品」については、「帳簿上の価額(原価)」よりも「正味売却価額」の方が高値となっているため、「商品評価損」は発生しません

 

  • 商品評価損 =( 原価 - 正味売却価額 )× 実地棚卸数量
  • 商品評価損(A商品)=( @1,200円 - @1,000円 )× 110個 = 22,000円
  • 商品評価損(B商品): 原価 < 正味売却価額 のため、商品評価損は発生しません。

 

商品勘定(棚卸減耗費/商品評価損を表示した場合)(参考)

「棚卸減耗費」と「商品評価損」も表示した場合の「商品勘定」は以下の通りです。

 

 

今回の問題は「平成27年度 第1問」と似ています。
時間がある方は「H27-1 売上原価の計算(2)商品勘定」も併せて確認してみてください。

 

答えは(エ)です。


 

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