運営管理 ~R1-41 流通情報システム(2)流通情報の標準化~

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今回は、「運営管理 ~R1-41 流通情報システム(2)流通情報の標準化~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

GS1

「GS1」とは、世界の流通情報に関する標準化を推進する国際的な組織であり、「国際EAN協会」と「米UCC」が合併して2005年に発足しました。

ベルギーのブリュッセルに本部が設置され、世界110カ国以上の国や地域が加盟しています。

日本では「一般財団法人 流通システム開発センター(流通システム標準普及推進協議会)」が「GS1 Japan」として加盟しています。

 

GTIN(Global Trade Item Number)

「GTIN」は、GS1 が推進する国際標準の「商品識別コード」であり、ハイフン以降の数字は、その桁数を表しています。

一般的には、「バーコード」と呼ばれていますが、「どの事業者のどの商品またはサービスか」を識別することができるため、「小売業」では、POS システムを使った精算業務、受発注業務、在庫管理などで活用され、また「物流センター」では、入出庫管理、仕分け、棚卸、在庫管理などで活用されています。

 

「GTIN」のコード体系

 

JAN(Japanese Article Number)コード

「JAN コード」は、商品のブランドを持つ事業者(商品の主体的な供給者)が、商品の消費者購入単位または最小取引単位に設定するコードであり、「どの事業者のどの商品か」を識別するために利用されます。

「JAN コード」は、その桁数により「標準タイプ(13 桁)」と「短縮タイプ(8桁)」があり、「短縮タイプ(8桁)」はバーコードの印刷スペースが確保できないような小さな商品にのみ使用することができます。

バーコードリーダーで読み取れるように、「JANコード」を太さの異なるバーとスペースの組み合わせとして表記したものを「JANシンボル」といいますが、「JAN コード」と「JANシンボル」は世界共通の仕組みであり、多くの国で使用されています。

日本国内では「JANコード」と呼ばれていますが、国際的には「EANコード(European Article Number)」、または「GTIN-13」「GTIN-8」 と呼ばれます。

 

  • JANコード標準タイプ(GTIN-13)
  • JANコード短縮タイプ(GTIN-8)

 

JANコード標準タイプ(GTIN-13)

「GTIN-13」は、以下の3つの情報で構成されています。
「GS1事業者コード」が「9桁」の場合は「商品アイテムコード」が「3桁」に、「GS1事業者コード」が「7桁」の場合は「商品アイテムコード」が「5桁」になります。

 

  • GS1事業者コード(9桁/7桁)
  • 商品アイテムコード(3桁/5桁)
  • チェックデジット(1桁)

 

GS1事業者コード(JAN企業コード)

「GS1事業者コード」は事業者(商品の主体的な供給者)を一意に識別するコードです。

「GS1事業者コード」を利用するには「流通システム開発センター」への登録および更新(3年ごと)を行う必要があります。

「GS1事業者コード」は、従来は「7桁」で構成されていましたが、桁数が不足したため、2001年以降の新規登録分からは原則として「9桁」のコードが利用されるようになり、現在は「9桁/7桁」が併用されています。

なお、「GS1事業者コード」の最初の「2桁」は「国コード」を示しており、「日本」の事業者(商品の主体的な供給者)には「45/49」が割り当てられています。

 

「GS1 事業者コード」の注意事項

  • 「GS1 事業者コード」は事業者単位(法人、団体、個人)で登録するため、事業者の一部門(支社、支店、営業所単位)で登録することはできません。
  • 既に「GS1 事業者コード」を登録している事業者は、重複して登録することはできません。
    ただし、商品アイテム数が増えて商品アイテムコードの空きが少なくなった場合に限り、「GS1 事業者コード」の追加登録を申請することができます
  • 「GS1 事業者コード」は、登録事業者のみが利用できます。
    親子会社やグループ会社の関係があっても他の事業者の「GS1事業者コード」を利用することはできません

 

商品アイテムコード

「商品アイテムコード」は、「GS1事業者コード」に登録された事業者の「どの商品か」を識別するコードであり、各事業者が一定の設定基準にしたがって任意に設定することができます。

 

「商品アイテムコード」の注意事項

「商品アイテムコード」が同じ商品は、在庫管理や売上管理において同一商品として管理されてしまうため、以下に該当する場合は、それぞれ異なる「商品アイテムコード」を設定する必要があります。

 

  • 商品名が異なる場合
  • 容量が異なる場合
  • 包装サイズが異なる場合
  • 味が異なる場合
  • 色が異なる場合
  • 素材が異なる場合
  • 香りが異なる場合
  • 販売単位が異なる場合

 

チェックデジット

「チェックデジット」とは、バーコードリーダによる「コード」の読み誤りを防ぐ仕組みで、あらかじめ定められた計算式によって算出される「1桁」の数字です。

 

JANコード短縮タイプ(GTIN-8)

「GTIN-8」は、バーコードの印刷スペースが確保できないような小さな商品にのみ利用することができるコードであり、以下の3つの情報で構成されています。

なお、「GTIN-8」を利用するには、「GS1事業者コード」とは別に「短縮タイプのGS1事業者コード」を取得する必要があります。

 

  • GS1事業者コード(6桁)
  • 商品アイテムコード(1桁)
  • チェックデジット(1桁)

 

「バーコードの印刷スペースが確保できない」の基準

「JANシンボル」を印刷するときの「サイズ・色」などについては、JIS規格によって定められていますが、印刷するスペースが確保できない場合は、縮小したり、高さを削るといった対応をすることができます。
しかし、そのような対応を行っても「JANコード標準タイプ(GTIN-13)」を印刷するスペースが確保できない場合は、「JANコード短縮タイプ(GTIN-8)」を利用することができます。

 

  1. バーコードを縮小する。
    バーコードは最小で0.8 倍まで縮小して印刷することができる
  2. 高さを削る。(トランケーション)
    バーコードのバーの高さは、以下のサイズまで削る(トランケーション)ことができます
    ただし、海外に輸出する商品では、トランケーションすることはできません。

 

引用元:一般財団法人 流通システム開発センター「はじめてのバーコードガイド」

 

U.P.C.(GTIN-12)

「GTIN-12」は、米国・カナダで利用されている商品識別コードであり、基本的な仕組みは、「GTIN-13」と同じです。

 

集合包装用商品コード(GTIN-14)

「GTIN-14」は、同一商品(同じ「GTIN-13」が設定されている商品)を複数個包装したダンボール、ケース、パレットといった集合包装を識別するコードであり、以下の4つの情報で構成されています。

なお、「GS1事業者コード」と「商品アイテムコード」には、包装されている商品のコード(「GTIN-13」の1桁目~12桁目)をそのまま設定します。

また、バーコードリーダーで読み取れるように、「GTIN-14」を太さの異なるバーとスペースの組み合わせとして表記したものを「ITFシンボル」といい、「GTIN-14」を利用している取引先に納品する際には、ダンボール、ケース、パレット等の集合包装に「ITFシンボル」を印刷する必要があります。

 

  • インジケーター(1桁)
  • GS1事業者コード(9桁/7桁)
  • 商品アイテムコード(3桁/5桁)
  • チェックデジット(1桁)

 

インジケーター

「インジケーター」とは、各事業者が一定の設定基準にしたがって「1~8」の中から任意に設定することができます。「9」は「不定貫商品」を識別するためのコードであり「集合包装用商品コード」としては設定することができません。

「不定貫商品」とは、重量や長さ等の単位あたりの価格が決められて取引される計量商品のことをいい、例えば個体ごとの重量が異なる「肉・魚」といった量り売りされる商品などが挙げられます。

 

GLN(Global Location Number)

「GLN」は、GS1 が制定した国際標準の「企業・事業所識別コード」 であり、以下の3つの情報で構成された「13桁」の数字です。国内に限らず世界において企業や事業所等を一意に識別することができるため、EDI(企業間電子データ交換)で活用されています。

 

  • GS1事業者コード(9桁/7桁)
  • ロケーションコード(3桁/5桁)
  • チェックデジット(1桁)

 

「GS1事業者コード」と「チェックデジット」については「GTIN」で説明した内容と同じです。

 

ロケーションコード

「ロケーションコード」は、「GS1事業者コード」に登録された事業者の「どの事業所か」を識別するコードであり、各事業者が一定の設定基準にしたがって任意に設定することができます。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第41問】

GS1標準の商品識別コードの総称であるGTINに関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア GTINには7つの種類が存在している。
イ GTIN-8は、表示スペースが限られている小さな商品にJANシンボルを表示するための商品識別コードである。
ウ GTIN-12は、中国・韓国で利用されている12桁の商品識別コードである。
エ GTIN-14は、インジケータ、GS1事業者コード、商品アイテムコード、単価コードの4つの要素で構成されている。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

一般的には「バーコード」と呼ばれている「GTIN」に関する知識を問う問題です。

 

(ア) 不適切です。

「GTIN」は、GS1 が推進する国際標準の「商品識別コード」であり、ハイフン以降の数字は、その桁数を表しており、以下のコード体系から構成されています。

 

 

したがって、GTINには「7つ」ではなく「4つ」の種類が存在しているため、選択肢の内容は不適切です

 

(イ) 適切です。

「GTIN-8」は、バーコードの印刷スペースが確保できないような小さな商品にのみ利用することができるコードのことをいいます。

 

したがって、「GTIN-8」は、表示スペースが限られている小さな商品にJANシンボルを表示するための商品識別コードであるため、選択肢の内容は適切です

 

(ウ) 不適切です。

「GTIN-12」は、米国・カナダで利用されている商品識別コードであり、基本的な仕組みは、「GTIN-13」と同じです。

 

したがって、「GTIN-12」は、中国・韓国ではなく、米国・カナダで利用されている12桁の商品識別コードであるため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

「GTIN-14」は、同一商品(同じ「GTIN-13」が設定されている商品)を複数個包装したダンボール、ケース、パレットといった集合包装を識別するコードであり、以下の4つの情報で構成されています。

 

  • インジケーター(1桁)
  • GS1事業者コード(9桁/7桁)
  • 商品アイテムコード(3桁/5桁)
  • チェックデジット(1桁)

 

したがって、インジケータ、GS1事業者コード、商品アイテムコード、単価コードではなく、インジケータ、GS1事業者コード、商品アイテムコード、チェックデジットの4つの要素で構成されているため、選択肢の内容は不適切です

 

答えは(イ)です。


 

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