運営管理 ~R1-29 その他店舗・販売管理(16)酒類と医薬品の販売制度~

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今回は、「運営管理 ~R1-29 その他店舗・販売管理(16)酒類と医薬品の販売制度~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~令和元年度一次試験問題一覧~

令和元年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

酒類の販売制度

酒類を販売する場合は、酒税法の規定に基づき、販売場ごとに、その販売場が所在する所轄税務署長から「酒類販売業免許」を受ける必要があります。販売場ごとに免許が必要となるため、たとえ本店で免許を受けていても、支店で販売しようとする場合は、支店ごとに免許を受ける必要があります。

「酒類販売業免許」は、酒類の販売先や販売方法によって免許が区分されており、酒類の販売業者や製造者に対して酒類を販売(卸売)することを認める免許のことを「酒類卸売業免許」といい、一般消費者や飲食店等に対して酒類を販売することを認める免許のことを「酒類小売業免許」といいます。

さらに、「酒類小売業免許」は、店頭でお酒を販売する「一般酒類小売業免許」と、広範な地域の消費者に対してインターネットやカタログなどの通信手段を用いて販売する「通信販売酒類小売業免許」に区分されます。

 

 

酒類販売管理者

選任と届出書の提出

酒類を販売する小売業者は、販売場において酒類が適正に販売されることを管理する必要があるため、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任しなければなりません

また、「酒類販売管理者」を選任してから2週間以内に「酒類販売管理者選任届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。

なお、「酒類販売管理者」は、過去3年以内に「酒類販売管理研修」を受講していることが条件となっているため、酒類を販売する小売業者は「酒類販売管理者」に、3年ごとに「酒類販売管理研修」を再受講させる必要があります。

 

役割

「酒類販売管理者」は、酒類の販売業務に関する法令を遵守するよう酒類小売業者に助言したり、酒類の販売業務に従事する従業員等に対して指導を行うことにより、販売場における酒類の適正な販売管理体制を整備する役割を担っています。

酒類の適正な販売管理の実効性を高めるためには、「酒類販売管理者」は可能な限り常駐することが望ましいと考えられますが、現実問題として一人の酒類販売管理者が店舗に常駐することは困難(休暇取得、仕入れや営業等のため店を空けることさえできない。)であり、「酒類販売管理者」の負担が過重となることから、常駐までは求められていません。

なお、「酒類販売管理者」が販売場に2~3時間を超える長時間において不在となる場合は、適正な販売管理を確保する観点から、酒類販売管理者に代わる「責任者」の指名・配置を指導することとされています。

 

酒類小売業者に対する主な助言内容
  • 未成年者の飲酒防止に関する表示基準をはじめ、酒類の販売業務に関する法令を遵守し、適正な販売管理を図るために必要な事項
  • 酒類の販売教務に従事する従業員等への指導体制の整備に関する事項

 

従業員等に対する主な指導内容
  • 年齢確認の実施及び酒類の陳列場所における表示など酒類の販売業務を行うに当たって遵守すべき法令に関する事項
  • アルコール飲料としての酒類の特性や酒類の商品知識等を修得するための社内研修に関する事項

 

酒類の陳列場所等における表示

酒類の陳列場所には、「酒類の売場である」または「酒類の陳列場所である」こと、および「20歳以上の年齢であることを確認できない場合は酒類を販売しない」ことを、100ポイント以上の日本文字で明瞭に表示しなければなりません

 

標識の掲示

「酒類小売業者」は、販売場ごとに、公衆の見やすい場所に「酒類販売管理者」の氏名や「酒類販売管理研修」の受講状況等を記述した標識を掲示しなければなりません。

 

  • 販売場の名称及び所在地
  • 販売管理者の氏名
  • 酒類販売管理研修受講年月日
  • 次回研修の受講期限
    (前回の酒類販売管理研修受講日から3年後の前日)
  • 研修実施団体名

 

医薬品の販売制度

「医薬品」は、「医療用医薬品(処方薬)」「要指導医薬品」「一般用医薬品」の3つに分類されており、さらに「一般用医薬品」は「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」の3つに分類されています。

「医療用医薬品」は、患者の病気、症状、体質などに合わせて医師が処方する医薬品であり、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」は、患者が薬局で購入することができる医薬品です。

 

 

医療用医薬品

「医療用医薬品」は、患者の病気、症状、体質などに合わせて医師が処方箋を出し、処方箋に基づいて薬剤師が調剤する医薬品です。

「医療用医薬品」は、高い効き目が期待できますが、薬の服用による人体への作用が著しく、重篤な副作用が生じる恐れもあるため、患者が購入するためには医師や薬剤師による指導が義務付けられた医薬品です。

 

要指導医薬品

「要指導医薬品」は、「医療用医薬品」から「要指導医薬品」に認可されてから、あまり期間を経ておらず、薬の服用による副作用などのリスクが不確定な医薬品であるため、患者が購入するためには薬剤師による指導が義務付けられた医薬品です。

「要指導医薬品」には、「スイッチ直後品目」と「劇薬」がありますが、「スイッチ直後品目」は、原則3年で「一般用医薬品」へと移行されます。

 

一般用医薬品

「一般用医薬品」は、「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」に分類され、適切なルールに従っていれば、全てネット販売が可能とされています。

 

第一類医薬品

「第一類医薬品」は、「一般用医薬品」としての使用実績が少なかったり、薬の服用による副作用や他の医薬品との飲み合わせといった安全面において特に注意が必要な医薬品であるため、患者が購入するためには薬剤師による指導が義務付けられた医薬品です。

 

第二類医薬品

「第二類医薬品」は、薬の服用による副作用や他の医薬品との飲み合わせといった安全面において注意が必要な医薬品であるため、患者が購入するためには薬剤師または講習を受けた登録販売者による説明が任意(努力義務)とされた医薬品です。

 

第三類医薬品

「第三類医薬品」は、薬の服用による副作用や他の医薬品との飲み合わせといった安全面において多少の注意が必要な医薬品であるため、患者が購入するためには薬剤師または講習を受けた登録販売者による説明も不要とされた医薬品です。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【令和元年度 第29問】

酒類や医薬品などの販売の制度に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 健康食品は、顧客に対して薬剤師か登録販売者が対面販売しなければならない。
イ 酒類売場には、酒類を販売する時間帯に酒類販売管理者が常駐しなければならない。
ウ 酒類の陳列場所には「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示しなければならないが、文字のサイズについては特に定めはない。
エ 酒類販売管理者は同時に複数の酒類販売場の管理者になることができる。
オ 要指導医薬品に指定されていない一般用医薬品は、所定の条件を満たせばインターネットで販売することができる。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「酒類と医薬品の販売制度」に関する知識を問う問題です。

 

(ア) 不適切です。

「健康食品」は、そもそも「医薬品」ではありません

「健康食品」とは、「健康の保持増進に資する食品全般」に該当すると考えられており、食生活で摂取するのが困難な栄養成分を二次的・補完的に摂取するものと位置付けられているため、「健康食品」を、あたかも「医薬品」のように表示したり説明して、消費者に効能効果を期待させた場合は、無許可医薬品として「医薬品医療機器等法(旧:薬事法)」に違反することとなります。

 

したがって、健康食品は、そもそも「医薬品」ではなく、顧客に対して薬剤師か登録販売者が対面販売しなければならないなどの「医薬品の販売制度」に関する法令も適用されないため、選択肢の内容は不適切です

 

口から摂取するものの中で、医薬品に該当しないものは全て食品に分類され、食品に医薬品のような身体の構造や機能に影響を表示することは、原則として認められていません。(厚生労働省ではなく消費者庁の管轄)
ただし、「特別用途食品」「特定保健用食品」「栄養機能食品」については、例外的に限られた範囲で特定の保険機能や栄養機能を表示することが認められています。

 

(イ) 不適切です。

「酒類販売管理者」は、酒類の販売業務に関する法令を遵守するよう酒類小売業者に助言したり、酒類の販売業務に従事する従業員等に対して指導を行うことにより、販売場における酒類の適正な販売管理体制を整備する役割を担っています。

酒類の適正な販売管理の実効性を高めるためには、「酒類販売管理者」は可能な限り常駐することが望ましいと考えられますが、現実問題として一人の酒類販売管理者が店舗に常駐することは困難(休暇取得、仕入れや営業等のため店を空けることさえできない。)であり、「酒類販売管理者」の負担が過重となることから、常駐までは求められていません。

 

したがって、酒類売場には、酒類を販売する時間帯に「酒類販売管理者」が常駐する必要はないため、選択肢の内容は不適切です

 

(ウ) 不適切です。

酒類の陳列場所には、「酒類の売場である」または「酒類の陳列場所である」こと、および「20歳以上の年齢であることを確認できない場合は酒類を販売しない」ことを、100ポイント以上の日本文字で明瞭に表示しなければなりません

 

したがって、酒類の陳列場所には「20歳以上の年齢であることを確認できない場合には酒類を販売しない」旨を表示しなければならないが、文字のサイズについては100ポイント以上の日本文字で明瞭に表示するよう定められているため、選択肢の内容は不適切です

 

(エ) 不適切です。

酒類を販売する小売業者は、販売場において酒類が適正に販売されることを管理する必要があるため、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選任しなければなりません

 

したがって、「酒類販売管理者」は同時に複数の酒類販売場の管理者になることはできないため、選択肢の内容は不適切です

 

(オ) 適切です。

「一般用医薬品」は、「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」に分類され、適切なルールに従っていれば、全てネット販売が可能とされています。

 

したがって、「要指導医薬品」に指定されていない「一般用医薬品」は、所定の条件を満たせばインターネットで販売することができるため、選択肢の内容は適切です

 

答えは(オ)です。


 

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