今回は、「運営管理 ~H28-26 その他店舗・販売管理(13)買物弱者対策支援~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
買物弱者対策支援
経済産業省は、買物弱者を支援するための先進的な事例や工夫のポイントをまとめた「買物弱者応援マニュアル(第3版)」を公開するなど、ベストプラクティスの横展開を図り、民間事業者、地方自治体及び住民が相互連携できるよう普及啓発に取り組んでいます。
- 買物弱者対策支援について(経済産業省ホームページ)
買物弱者
「買物弱者」とは、流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれている人々のことをいいます。日本全国の買物弱者数は増加傾向にあり、平成26年10月時点において「約700万人(※)」と推計されています。
「買物弱者問題」は、既に顕在化している農村・山間部のような過疎地域だけでなく、今後は大都市、ベッドタウン、地方都市などにおいても問題が顕在化する可能性が高いと予測されています。
(※)「60歳以上高齢者人口:4,198万人(平成26年10月1日人口推計:総務省)」×「日常の買い物に不便」と答えた人の割合17.1%(内閣府「平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」より)にて算出された数値です。
フードデザート(食の砂漠)
「フードデザート」とは、1970年代後半にイギリスで使われ始めた言葉であり、「大規模店舗の郊外化による中心街の過疎化」や「社会的弱者の集住」といった多様な要因により発生する「生鮮食料品供給体制の崩壊」のことをいいます。
「フードデザート」は、「社会的弱者」による「生鮮食料品」の購入が困難という単純な問題に留まらず、栄養バランスの偏りが「低栄養状態」などの健康被害へと発展して、自立度のさらなる低下や要介護度の上昇を引き起こし、結果として社会的な孤立を助長してしまう危険性がある深刻な問題です。
また、「フードデザート」は、「低栄養状態」などの健康被害が、地域や国の医療費や介護費の増加をもたらす可能性があるとして、その経済損失の観点からも深刻な問題として捉えられています。
対策の概要
「買物弱者応援マニュアル(第3版)」において取り上げられている「買物弱者問題に対する取り組み」は、以下の通りです。
- 家まで商品を届ける(宅配、買物代行、配食)
- 近くにお店を作る(移動販売、買物場の開設)
- 家から出かけやすくする(移動手段の提供)
- コミュニティ形成(会食)
- 物流の改善・効率化(物流効率化による基盤整備)
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第26問】
経済産業省の『買物弱者応援マニュアル Ver.3.0』における「買物弱者」に対する流通業者やサービス業者の取り組みとして、最も不適切なものはどれか。
ア 郊外での大型店の出店・開発
イ 消費者からの注文に応じて商品を届ける宅配サービス
ウ 消費者の居住地域での仮設店舗の出店
エ 商品を積載した車による移動販売
オ 来店手段となるバス等の運行
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「買物弱者問題に対する取り組み」に関する知識を問う問題です。
「買物弱者応援マニュアル(第3版)」において取り上げられている「買物弱者問題に対する取り組み」は、以下の通りです。
- 家まで商品を届ける(宅配、買物代行、配食)
- 近くにお店を作る(移動販売、買物場の開設)
- 家から出かけやすくする(移動手段の提供)
- コミュニティ形成(会食)
- 物流の改善・効率化(物流効率化による基盤整備)
選択肢の内容と「買物弱者問題に対する取り組み」を対応付けて確認します。
選択肢 | 内容 | 買物弱者問題の取り組み |
ア | 郊外での大型店の出店・開発 | × |
イ | 消費者からの注文に応じて商品を届ける宅配サービス | 家まで商品を届ける |
ウ | 消費者の居住地域での仮設店舗の出店 | 近くにお店を作る |
エ | 商品を積載した車による移動販売 | 近くにお店を作る |
オ | 来店手段となるバス等の運行 | 家から出かけやすくする |
答えは(ア)です。
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