今回は、「運営管理 ~H28-17 IE/作業研究(11)サーブリッグ分析~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
IE(Industrial Engineering:経営工学)
「IE」は「経営工学」と呼ばれ、生産性を向上させる技術として発展してきました。
その中で、工場の生産活動を対象とした改善の技術は「作業研究」と呼ばれ、工程や動作を分析して改善する「方法研究」と稼動状況や標準時間の設定を研究する「作業測定」で構成されています。
インダストリアルエンジニアリング、経営工学
経営目的を定め、それを実現するために、環境(社会環境及び自然環境)との調和を図りながら、人、物(機械、設備、原材料、補助材料及びエネルギー)、金及び情報を最適に設計し、運用し、統制する工学的な技術・技法の体系。(JISZ8141-1103)
方法研究
「方法研究」は、さらに「工程の分析を行う工程分析」と「作業の分析を行う動作研究」に分類されます。
「工程分析」とは、効率化のために工程を記号で把握して分析することであり、「動作研究」とは、作業の無駄を無くすために動作を分解して分析することです。
動作研究
「動作研究」とは、作業者が行うすべての動作を調査・分析して、最適な作業方法を求めるための手法であり、作業する人間の身体動作や目の動きを分析して、非効率な動作を排除したり、動作を組み替えるなどの方法によって作業を改善することをいいます。
「動作研究」の1つである「サーブリッグ分析(微動作分析)」について説明します。
サーブリッグ分析(微動作分析)
「サーブリッグ分析(微動作分析)」とは、作業を構成する動作を手作業の最小単位である「18種類の動作要素(サーブリッグ)」に分解して作業の無駄を分析する手法です。
動作要素(サーブリッグ)の分類
「動作要素(サーブリッグ)」は、その有用度により「第1類(作業に必要な動作要素)」「第2類(補助的な動作要素)」「第3類(作業に寄与しない動作要素)」に区分されます。
分類 | 説明 |
第1類 | 作業に必要な動作要素であり、改善の余地がある動作要素 動作の基本とであり作業そのものと物の取り扱いからなる動作要素 「第1類」の中でも「組み合わす」「使う」「分解する」の3つだけが価値を生む動作要素であり、それ以外の動作はすべて改善の余地がある動作要素です。 |
第2類 | 補助的な動作要素であり、できるだけ排除すべき動作要素 動作を遅れさせる要素であり、治工具の置き方や使い方、または材料の置き方などに問題がある場合に発生する動作要素 |
第3類 | 作業に寄与しない動作要素であり、排除すべき動作要素 作業が進んでいない状態であり、動作の不均衡や前後工程とのつながりの悪さなどが原因で発生する動作要素 |
サーブリッグ記号
「動作要素(サーブリッグ)」は、それぞれの動作要素に合わせた「サーブリッグ記号」で表されます。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第17問】
サーブリッグ分析で用いられる記号は、次の3つに分類される。
第1類:仕事を行ううえで必要な動作要素
第2類:第1類の作業の実行を妨げる動作要素
第3類:作業を行わない動作要素下表は、「部品容器から左手で取り出した部品を右手に持ち換えた後、ある定められた位置に部品を定置する動作」をサーブリッグ分析したものである。この動作の中で第1類に分類される左手の動作要素の数と右手の動作要素の数の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
部品を取り置く動作のサーブリッグ分析の結果
[解答群]
ア 左手:3個 右手:2個
イ 左手:4個 右手:3個
ウ 左手:5個 右手:4個
エ 左手:6個 右手:5個
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「サーブリッグ分析」に関する知識を問う問題です。
「サーブリッグ記号」を暗記していれば、簡単に答えを求めることができます。
問題文で与えられた「部品を取り置く動作のサーブリッグ分析の結果」の動作要素を「第1類」「第2類」「第3類」に区分すると以下の通りとなります。
左手 | 右手 | ||||||
動作要素 | 第1類 | 第2類 | 第3類 | 動作要素 | 第1類 | 第2類 | 第3類 |
部品に手を伸ばす | ○ | 避け得ぬ遅れ | ○ | ||||
部品を選ぶ | ○ | 避け得ぬ遅れ | ○ | ||||
部品をつかむ | ○ | 避け得ぬ遅れ | ○ | ||||
部品を運ぶ | ○ | 避け得ぬ遅れ | ○ | ||||
部品を保持する | ○ | 部品をつかむ | ○ | ||||
部品をはなす | ○ | 部品を保持する | ○ | ||||
手元に手を戻す | ○ | 部品を運ぶ | ○ | ||||
避け得ぬ遅れ | ○ | 部品を位置決めする | ○ | ||||
避け得ぬ遅れ | ○ | 部品をはなす | ○ | ||||
避け得ぬ遅れ | ○ | 手元に手を戻す | ○ | ||||
合計 | 5個 | 1個 | 4個 | 合計 | 4個 | 1個 | 5個 |
「第1類」に区分される動作要素の数の組み合わせは「左手:5個 右手:4個」です。
答えは(ウ)です。
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