今回は、「運営管理 ~H28-5 生産形態(2)多品種少量生産・少品種多量生産~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~
平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
生産形態(多品種少量生産・少品種多量生産) -リンク-
本ブログにて「多品種少量生産」「少品種多量生産」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。
- 生産形態(多品種少量生産・少品種多量生産)のまとめ
- R3-2 生産管理の基礎(3)生産管理の基礎用語
- R1-2 工場レイアウト(6)設備配置
- H28-2 生産形態(1)多品種少量生産・少品種多量生産
- H27-5 工場レイアウト(5)SLP
生産形態(多品種少量生産/少品種多量生産)
「生産形態」は、製品の種類の多さやその生産量によって「多品種少量生産」と「少品種多量生産」に分類されます。
「生産形態」の種類によって、最適な設備のレイアウトや種類が異なるほか、生産活動において重視すべき管理項目も異なってきます。
多品種少量生産
「多品種少量生産」とは、種類の多い製品を少量ずつ生産する方法であり、「受注生産」の製品においてよく採用される生産形態です。
製品の種類ごとに加工順序も異なるため、「機能別レイアウト」に配置された「汎用機械」を用いて生産します。
機能別レイアウト(工程別レイアウト/ジョブショップ型)
「多品種少量生産」は、製品の生産経路が複雑であり、顧客からの注文数量や納期が多様であるため、「進捗管理による納期の遵守」を重要な課題として管理する必要があります。
特徴
- 「機能別レイアウト」により「汎用機械」を用いて生産を行う。
- 「納期の遵守」が重要な管理項目である。
少品種多量生産
「少品種多量生産」とは、種類の少ない製品を大量に生産する方法であり、「見込生産」の製品においてよく採用される生産形態です。
定められた加工順序に基づいて生産が行われるため、「製品別レイアウト」に配置された「専用機械(専用ライン)」を用いて連続的に生産します。
製品別レイアウト(フローショップ型)
「少品種多量生産」は、効率的な生産体制の確立が重要であるため、「需要予測による生産計画の策定」を重要な課題として管理する必要があります。
特徴
- 「製品別レイアウト」により「専用機械(専用ライン)」を用いて生産を行う。
- 「需要予測による生産計画の策定」が重要な管理項目である。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成28年度 第5問】
下図は、機械加工設備をロットサイズと製品の種類で分類したものである。空欄①〜③にあてはまる設備の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
[解答群]
ア ①:FMS ②:トランスファーマシン ③:汎用工作機械
イ ①:FMS ②:汎用工作機械 ③:トランスファーマシン
ウ ①:汎用工作機械 ②:FMS ③:トランスファーマシン
エ ①:汎用工作機械 ②:トランスファーマシン ③:FMS
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
生産形態の種類とそれぞれの生産形態に適した機械加工設備の種類の組み合わせを選択する問題です。
最初に、問題文で与えられた「製品の種類」と「ロットサイズ」の分布図に「生産形態」を当てはめてみます。
分布図の左上は、製品の種類が多くロットサイズが小さいため「多品種少量製品」、分布図の右下は、製品の種類が少なくロットサイズが大きいため「少品種多量生産」、その中間は「中品種中量生産」と分類することができます。
機械加工設備の種類
「汎用工作機械」は「多品種少量生産」において採用される設備ですが、それ以外の選択肢にある「FMS」「トランスファーマシン」が、どういう設備なのかを説明します。
FMS(Flexible Manufacturing System)
「FMS」は「フレキシブル生産システム(Flexible Manufacturing System)」の略称であり、顧客ニーズの多様化など市場の激しい変化に対応するため、NC工作機械、産業用ロボット、自動搬送装置などを有機的に結合した「生産プロセス全体」を統括的に制御・管理することによって、「多品種生産」や「計画変更に対する迅速な対応」に柔軟に対応できるよう構成された「自動生産システム」のことをいいます。
FMSによる自動化の範囲
FMS
生産設備の全体をコンピュータで統括的に制御・管理することによって、混合生産、生産内容の変更などが可能な生産システム。(JISB3000-1002)
トランスファーマシン
「トランスファーマシン」とは、異なる機能を持つ数台から数十台の単機能の工作機械を等間隔かつ直線的に配置して、ベルトコンベヤなどの搬送装置で接続した工作機械群のことをいいます。工作物が自動的にライン上を流れていき、工作物の着脱や位置決めなども自動的に行うため、能率的に加工処理を行うことができます。
なお、直線的ではなく回転テーブルの周りに配置する場合は「ロータリ・ステーションマシン」といいます。
それぞれの生産形態に適した設備
「汎用工作機械」と「FMS」は、いずれも「多品種少量生産」に適した設備ですが、その名称の通り「汎用工作機械」の方が汎用性が高く、多くの種類の製品を生産するのに適していることから「①汎用工作機械」「②:FMS」となります。
また、ライン生産のことを表している「トランスファーマシン」は「少品種多量生産」に適しているため「③:トランスファーマシン」が当てはまります。
問題文で与えられた「製品の種類」と「ロットサイズ」の分布図に、適切な「設備」を当てはめると以下の通りです。
答えは(ウ)です。
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