運営管理 ~H28-16 IE/作業研究(10)ワークサンプリング~

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今回は、「運営管理 ~H28-16 IE/作業研究(10)ワークサンプリング~」について説明します。

 

目次

運営管理 ~平成28年度一次試験問題一覧~

平成28年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

IE(Industrial Engineering:経営工学)

「IE」は「経営工学」と呼ばれ、生産性を向上させる技術として発展してきました。
その中で、工場の生産活動を対象とした改善の技術は「作業研究」と呼ばれ、工程や動作を分析して改善する「方法研究」と稼動状況や標準時間の設定を研究する「作業測定」で構成されています。

 

 

インダストリアルエンジニアリング、経営工学

経営目的を定め、それを実現するために、環境(社会環境及び自然環境)との調和を図りながら、人、物(機械、設備、原材料、補助材料及びエネルギー)、金及び情報を最適に設計し、運用し、統制する工学的な技術・技法の体系。(JISZ8141-1103)

 

作業測定

「作業測定」は、さらに「作業者または設備の稼働状況を分析する稼働分析」と「作業の所要時間を分析する時間研究」に分類されます。

「稼働分析」とは、作業または製造方法の実施効率の評価及び標準時間を設定することであり、「時間研究」とは、作業を要素や単位に分割して、その作業を遂行するのに要する時間を測定することです。

 

 

ワークサンプリング

ワークサンプリングでは作業者の行動を観測して、作業の発生頻度を「度数」として記録して、これを「出現率」として分析します。繰り返し発生する作業の分析に適した方法です。

集計した観測データに基づき、生産活動を阻害する要因や、作業者や設備の問題点を改善すること、および標準時間を設定するための「余裕率」を求めていきます。

 

作業分類

ワークサンプリングでは作業者の行動を観測して、生産活動に関連する行動を「作業」に、それ以外の行動を「余裕」に分類して、それぞれの度数(出現率)を記録・集計して分析します。

 

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成28年度 第16問】

1人の作業者が電気部品の組み立てを行っている工程でワークサンプリング法を実施した結果が下表に示されている。この実施結果から算出される「主体作業」と「職場余裕」の時間構成比率の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

作業項目 度数
ハンダ付け 120
基盤への部品の取り付け 90
基盤のネジ止め 80
組立作業完了後の製品検査(全数) 60
ロット単位での完成部品の運搬 33
不良品の手直し 30
ネジ・ハンダの補充(不定期) 22
部品不足による手待ち 24
打ち合わせ 19
朝礼 12
水飲み 5
用便 5
合計 500

 

[解答群]

ア 主体作業:58% 職場余裕:11%
イ 主体作業:58% 職場余裕:12%
ウ 主体作業:70% 職場余裕:11%
エ 主体作業:70% 職場余裕:12%

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

今回の問題は、ワークサンプリング法の作業分類に関する知識を問う問題です。

 

ワークサンプリング法により洗い出した作業者の行動を「職場余裕」「疲労余裕」「用達余裕」「非作業」に分類するのは比較的簡単ですが、分類するのが難しい「準備段取作業」「主作業」「付随作業」「作業余裕」に関するポイントを以下に示します。

 

  • 準備段取作業:始業/終業/ロット単位に発生する準備、片付け、運搬作業
  • 主作業(主体作業):作業対象に直接的な変化を与える作業
  • 付随作業(主体作業):主作業に付随して規則的に発生する間接的な作業
  • 作業余裕(管理余裕):主作業に付随して不規則、偶発的に発生する間接的な作業

 

上述のポイントを参考にして、ワークサンプリング法により洗い出した作業者の行動を分類していきます。

  • ハンダ付け/基盤への部品の取り付け/基盤のネジ止め
    作業対象に直接的な変化を与える作業(電気部品の組み立て)のため「主作業(主体作業)」に分類
  • 組立作業完了後の製品検査
    「全数」に対して実施する(規則的に発生する)ため「付随作業(主体作業)」に分類
  • ロット単位での完成部品の運搬
    ロット単位に発生する運搬作業のため、「準備段取作業」に分類
  • 不良品の手直し
    検査において製品に不良が見つかった場合のみに発生する(不規則、偶発的に発生する)ため「作業余裕(管理余裕)」に分類
  • ネジ・ハンダの補充
    「不定期」に発生するため「作業余裕(管理余裕)」に分類
  • 部品不足による手待ち/打ち合わせ/朝礼
    管理上の理由により発生するため「職場余裕(管理余裕)」に分類
  • 水飲み/用便
    生理的欲求により発生するため「用達余裕(人的余裕)」に分類

 

ワークサンプリング法により洗い出した作業者の行動を分類した結果を表に整理します。

作業項目 準備
段取
作業
主体作業 管理余裕 人的余裕
作業

作業
付随
作業
作業
余裕
職場
余裕
疲労
余裕
用達
余裕
ハンダ付け 120
基盤への部品の取り付け 90
基盤のネジ止め 80
組立作業完了後の製品検査
(全数)
60
ロット単位での完成部品の運搬 33
不良品の手直し 30
ネジ・ハンダの補充(不定期) 22
部品不足による手待ち 24
打ち合わせ 19
朝礼 12
水飲み 5
用便 5
合計 33 290 60 52 55 0 10 0
33 350 107 10 0

 

「主体作業」と「職場余裕」の時間構成比率は以下の通りです。

  • 主体作業:350 ÷ 500 = 70%
  • 職場余裕:55 ÷ 500 = 11%

 

答えは(ウ)です。


 

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