今回は、「運営管理 ~H29-17 QC手法(2)QC7つ道具~」について説明します。
目次
運営管理 ~平成29年度一次試験問題一覧~
平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
管理図
「管理図」とは、「QC7つ道具」の1つであり、工程において発生する「バラツキ」を観測して、工程が「正常な状態(安定な状態)」にあるかどうかを管理するために活用される手法です。
「管理図」では、横軸に「時間」を、縦軸に「中心線(CL)」「上限管理境界線(UCL)」「下限管理限界線(LCL)」を設定した図表に、観測した順に数値をプロットしていくことによって、工程において観測した数値のバラツキを確認します。
工程においては「バラツキ」が必ず発生しますが、その原因が「偶然原因(安定な状態)」によるものか「異常原因(異常な状態)」によるものかを管理して「異常原因(異常な状態)」が発現した場合は適切な処置を実施します。
シュハート管理図(3シグマ法管理図)
「シュハート管理図」とは「3シグマ(3σ)」を管理境界線とする管理図のことをいいます。
一般的に「管理図」というと、その多くは「シュハート管理図」のことを示しています。
バラツキの原因
偶然原因(安定な状態)
「偶然原因」とは、通常時と同じ状態(統計的管理状態)で発生して、その原因を突き止めることができないものをいい、「偶発原因」によるバラツキが発生している場合は、工程が「安定な状態」であることを示しています。
- 点が管理限界線(±3σ)以内で推移している状態
- 点の並び方に癖がない状態
異常原因(異常な状態)
「異常原因」とは、通常時と異なる状態で発生して、その原因を突き止めることができるものをいい、「異常原因」によるバラツキが発生している場合は、工程が「異常な状態」であることを示しており、適切な処置を実施して、再発を防止する必要があります。
- 1点が管理限界線(±3σ)を超えた状態
- 点が中心線より上部または下部に連続して現れる状態
- 点の推移に傾向や周期性がある状態
- 点が管理限界線(±3σ)にしばしば接近する場合
- 点が中心線から離れた箇所に集中して推移する場合
- 点が中心線の近くに集中して推移する場合
管理図の目的
「管理図」は、その目的により「管理用管理図」と「解析用管理図」に分類することができます。
管理用管理図
「管理用管理図」とは、標準値が定められている状態で、管理状態に保持する際に利用される管理図のことをいいます。
解析用管理図
「解析用管理図」とは、標準値が定められていない状態で、工程が統計的管理状態にあるかどうかを評価する際に利用される管理図のことをいいます。
言い回しが難しいですが、工程を管理するための標準値が定められていない状態において、工程がどういう状態であれば安定しているかを解析するために利用します。
管理図の種類
「管理図」には、「1個2個」と数えることができるデータを扱う「計数値の管理図」と、「長さ/重さ/時間」といった計量的に得られるデータを扱う「計量値の管理図」の2種類があります。
データの種類 | 管理図の種類 | |
計数値 | pn管理図 | 不良個数管理図 |
p管理図 | 不良率管理図 | |
c管理図 | 欠点数管理図 | |
u管理図 | 単位当たり欠点数管理図 | |
計量値 | X-R管理図(※) | 平均値と範囲の管理図 |
X管理図 | 個々の測定値の管理図 |
(※)表記上「X」と記載していますが、実際には「X」の上に「-」を付けて「エックスバー・アール管理図」と読みます。
管理図の選定フロー
管理図の選定フローを以下に示します。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成29年度 第17問】
シューハート管理図に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 解析用管理図は、過去の生産実績から得られた標準値を利用して、工程を管理状態に保持する際に利用される。
イ 管理用管理図は、既に集められた観測値によって、工程が統計的管理状態にあるかどうかを評価する際に利用される。
ウ 群の大きさが一定の状況下で、サンプルに生起した不適合数を用いて工程を評価する場合には、c管理図を利用する。
エ 工程能力指数は、規定された公差を工程能力で除した値として求められ、その値が小さい程、工程能力が高いことを示している。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
QC7つ道具の1つである「管理図」に関する知識を問う問題です。
(ア) 不適切です。
「解析用管理図」とは、標準値が定められていない状態で、工程が統計的管理状態にあるかどうかを評価する際に利用される管理図のことをいいます。
言い回しが難しいですが、工程を管理するための標準値が定められていない状態において、工程がどういう状態であれば安定しているかを解析するために利用します。
選択肢の文章は「管理用管理図」を説明しているため、選択肢の内容は不適切です。
(イ) 不適切です。
「管理用管理図」とは、標準値が定められている状態で、管理状態に保持する際に利用される管理図のことをいいます。
選択肢の文章は「解析用管理図」を説明しているため、選択肢の内容は不適切です。
「解析用管理図」とは、標準値が定められていない状態で、工程が統計的管理状態にあるかどうかを評価する際に利用される管理図のことをいいます。
言い回しが難しいですが、工程を管理するための標準値が定められていない状態において、工程がどういう状態であれば安定しているかを解析するために利用します。
(ウ) 適切です。
群の大きさが一定の状況下で、サンプルに生起した不適合数(欠点数)を用いて工程を評価する場合には「c管理図」を利用するため、選択肢の内容は適切です。
管理図の選定フロー
(エ) 不適切です。
「工程能力」とは、管理状態にある工程においてその工程の持つ品質達成能力のことをいい、工程が安定な状態において正常な製品を生産する能力を表しています。
「工程能力指数」とは、「工程能力」を数値化したものであり、規定された公差を工程能力で除した値として求められ、その値が大きい程、工程能力が高いことを示しています。
したがって、選択肢の内容は不適切です。
答えは(ウ)です。
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