今回は、「事例Ⅲ ~平成24年度 解答例(2)(第1問)~」について説明します。
目次
事例Ⅲ ~平成24年度試験問題一覧~
平成24年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
第1問
第1問(配点10点)
X社から加工部門を分離して創業したC社の成長要因は何か、100字以内で述べよ。
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
解答の方向性
第1問では、食品スーパーの加工部門から独立して現在に至るC社の創業からの事業変遷を把握し、成長要因を分析する能力を問われています。
今回の問題では、事例Ⅲの第1問でよく出題される単なる「C社の強み」ではなく、X社から加工部門を分離して創業した「C社の成長要因」を求められています。
強みや弱みについて解答するときと同じように、与件文から該当する文言を抜き出して列挙していくこととなりますが、「C社の成長要因」というキーワードを意識しながら与件文を読んでいく必要があります。
与件文で関連しそうな箇所
与件文の【企業概要】に記述されています。
与件文を読んでいくと、一段落目に記述されている「生産性の向上」が成長要因の全てであるように感じてしまいますが、文章をよく読むと「生産性の向上」によって「外食チェーンからの受注」に成功したとは記述されていません。
「外食チェーンからの受注」に成功したのは、「生産性の向上」以外の要因があると分かります。
問題文の中では、以下の部分が該当します。
詳細に示すと以下の通りとなります。
- C社は地方都市に本社および生産拠点をおき、食肉製品を生産、販売している。創業は1990年、同地域に店舗を展開していた食品スーパーX社が加工部門を分離し、その加工部門の責任者であった現社長が経営を任された。C社社長はX社の加工部門を引き継いだ後、加工工程の見直し、加工技術の向上などを行い生産性の改善を進めた。そして、X社以外の食品スーパーへの販売数量を増加させ、また販売品目を絞って少品種多量生産体制をつくり、さらに生産性の向上を達成するなど経営改善を進めてきた。その後、外食チェーンからの受注にも成功している。
⇒文章を読むと、X社から加工部門を分離して創業した後の流れが「加工工程の見直し、加工技術の向上による生産性の改善」→「X社以外の食品スーパーへの販売数量を増加」→「販売品目を絞って少品種多量生産体制の構築による生産性の向上を達成」→「その後、外食チェーンからの受注に成功」と記述されているように見えますが、実は最後の「外食チェーンからの受注に成功」の前で流れが途切れています。
⇒生産性の向上により、既存顧客の受注を拡大してきましたが、新規顧客である外食チェーンからの受注は、生産性の向上によるものではないと考えられます。
- 現在の資本金は4,000万円、従業員はパート60名を含む100名である。会社組織としては製品企画部、営業部、製造部、品質保証部、総務部がある。営業部員がつかんだ顧客の製品ニーズを製品企画部で新製品として企画し、製造部で生産、品質保証部で製品検査をそれぞれ担当している。
⇒「営業部員がつかんだ顧客の製品ニーズを製品企画部で新製品として企画」と記述されており、顧客の製品ニーズをつかむ営業力の高さと、営業部が入手した情報に基づき新製品を企画して開発する技術力の高さを示しています。
明確に記述されてはいませんが、新規顧客である外食チェーンからの受注は、この営業力と新製品を開発する技術力の高さによるものだと考えられます。
C社の成長要因
C社の成長要因を整理します。
- 加工工程の見直し、加工技術の向上、少品種多量生産体制の構築など継続的な生産性の向上により、既存顧客の受注を拡大してきた。
- 顧客の製品ニーズをつかみ(営業力の高さ)、新製品を企画開発(製品開発力の高さ)して、新規顧客からの受注を獲得(営業力の高さ)してきた。
解答例
ここまでに整理してきた内容に基づき、100文字以内にまとめます。
成長要因は、加工工程の見直し、加工技術の向上、少品種多量生産体制の構築など継続的な生産性の向上努力と、顧客の製品ニーズをつかみ新製品を企画開発して新規顧客からの受注を獲得する営業力と製品開発力である。(100文字) |
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