事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(4)(第1問-設問3)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(4)(第1問-設問3)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成27年度試験問題一覧~

平成27年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第1問(設問3)

第1問(配点40点)

 

C社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問3)

自動車部品の受注獲得には、自動車業界で要求される短納期に対応する必要がある。そのためにはどのような改善策が必要なのか、100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第1問(設問3)では、短納期を要求される自動車部品生産への新規参入の検討を行っているC社の生産体制に関する課題を把握し、その改善策を提案する能力を問われています。

 

「自動車業界で要求される短納期に対応するための改善策」について問われており、与件文を普通に読んでいくと「生産管理を改善する」という解答をしてしまいがちですが、「第3問」でも「納期遅延の解消を目的とした生産管理のIT化」という「納期」に関する問題が出題されており、「生産管理」は「第3問」で解答すべき内容であることが分かります。

したがって、「第1問(設問3)」では、納期に関するそれ以外の課題を解決する改善策を解答することとなりますが、与件文を読むだけでは切り分けが非常に難しかったため、「第3問」の解答を作成した後、この問題の解答を考える方が解きやすいと思います

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【C社の生産概要】と【改善チームによる調査結果】の前半に記述されています。

実際には、「第3問」の解答を作成した後、「第3問」の解答で取り上げなかった内容を中心に与件文から抜粋したという状況です。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

 

  • 主要製品のマンホール蓋は、地方公共団体や通信会社などの事業主体ごとに仕様が異なるため品種が多く、さらにこれら事業主体の予算確定後、C社に発注が行われるため受注量の季節変動が大きい。このため、営業部で得ている顧客情報の予想を基に需要の多い規格品などについてはあらかじめ見込生産し、受注が確定すると在庫品から納品する。一方、農業機械部品や産業機械部品は取引先からの受注が確定した製品を生産している。
    ⇒C社では、製品の特性に応じて見込生産と受注生産の両方の生産方式を採用しているということが分かります。解答として採用するかは分かりませんが、見込生産と受注生産では最適な工場レイアウトが異なります
  • 1日4回(4ロット)の鋳造作業が行われているが、農業機械部品や産業機械部品の納期遅延が生じている。
    ⇒生産数量に関係なく鋳造作業の回数が「1日4回」と決まっているため、鋳造工程後の仕掛品が多くなっていると考えられます。鋳造作業の回数を増やし、1回当たりの生産量を小ロット化することによって鋳造工程後の仕掛品を削減することができます。(私は製造業に詳しいわけではないので、鋳造作業の回数を増やすことがどれだけ大変なことなのか分からずに書いています。ご了承ください。
  • 新規受注の問い合わせがあった場合は、営業部が顧客と技術的な打ち合わせを行い顧客の要望を把握し、その内容を設計部に伝え図面等仕様書を作成する。その仕様書が顧客と合意されると、製造部に引き渡して生産準備し、生産計画に織り込んで、資材調達の後製造される。
    ⇒この文章から、受注生産品の生産においては、個別の受注ごとに資材調達を行っていることが分かります。したがって、資材調達のリードタイムが納期に直結しており、少しでも早いタイミングで資材を発注すれば納期を短縮することができるため、仕様書が顧客と合意された時点で、資材の発注を行うよう改善した方が良いと考えます。
  • それによると、製造現場では、鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。
    ⇒鋳造工程後の仕掛品が多く、仕掛品置き場が散在しているため、フォークリフトによる製品の移動に支障が出ていると記述されています。鋳造工程後の仕掛品を削減するという改善策とSLPにより工場レイアウトを見直して仕掛品置き場を1か所に整理するという改善策が考えられます。仕掛品の数量を管理するという解答は「第3問」と重複してしまうため、この問題では解答に盛り込まないようにすることに注意が必要です
  • またこの仕掛品によって、多台持ちを行っている機械加工工程の作業についても設備間の移動が非常に困難な状況である。このため、製造リードタイムが長期化し納期遅延が生じる原因となっている。
    ⇒鋳造工程後の仕掛品が多いため、機械加工工程の作業において設備間の移動に支障が出ていると記述されています。鋳造工程後の仕掛品を削減するという改善策とSLPにより工場レイアウトを見直すという改善策が考えられます。仕掛品の数量を管理するという解答は「第3問」と重複してしまうため、この問題では解答に盛り込まないようにすることに注意が必要です

 

改善策

上記を整理すると、改善策は以下の3点です。

 

SLPを用いた工場レイアウトの見直し

SLPにより工場レイアウトを見直しにより、①仕掛品置き場を1か所に集約、②機械加工工程の設備レイアウトを再編成、を行いフォークリフトや作業者の動線を確保できれば、以下の2つの問題を解決することができます。

  • フォークリフトによる製品の移動
  • 機械加工工程の作業における設備間の移動

 

鋳造工程の小ロット化

鋳造作業の回数を増やし、1回当たりの生産量を小ロット化して鋳造工程後の仕掛品を削減することによって、以下の2つの問題を解決することができます。

  • フォークリフトによる製品の移動
  • 機械加工工程の作業における設備間の移動

 

資材発注タイミングの前倒し

受注生産品の生産においては、個別の受注ごとに資材調達を行っているため、資材調達のリードタイムが納期に直結しています。顧客と図面等仕様書を合意した時点で資材の発注を行うことによって、受注製品の納期を短縮することができます。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容を100文字以内にまとめます。

 

改善策は、SLPを用いた仕掛品置き場の集約と機械加工工程の設備レイアウトの見直しによる動線の確保、鋳造工程の小ロット化による鋳造工程後の仕掛品の削減、顧客と図面等仕様書を合意した時点での資材発注である。(100文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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