事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(3)(第1問-設問2)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成27年度 解答例(3)(第1問-設問2)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成27年度試験問題一覧~

平成27年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

取引先との関係強化

取引先と言っても色々あります。例として、自社の製品やサービスを提供している主要顧客であったり、過去に製品やサービスを共同開発したことのある企業や大学といった研究機関などが挙げられます

いずれにしても、既に取引があり信頼関係が構築されている取引先は、企業にとって重要な経営資源であり、収益を拡大するための戦略を検討する上で必要不可欠な要素です。

事例Ⅲの問題で、取引先との関係強化について直接的に問われることはあまり多くないと思われますが、知識として頭の片隅に入れておかないと、試験中は気付かないことがあるので、注意が必要です。

 

与件文において、取引先との関係を強化するためのチャンスを示すキーワードは以下の通りです。

  • 主要顧客から新規顧客を紹介してもらう。
  • 主要顧客から新製品や新サービスの提供依頼を受ける。
  • 主要顧客から海外進出に向けて協力依頼を受ける。
  • 取引先とC社の主力製品を共同開発したことがある。

 

試験問題の例

以下に示すような問題では、解答の中に「取引先の関係強化」というキーワードを盛り込むことができないか検討してみることをお薦めします。

 

  • C社の今後の戦略を提案せよ。
  • 取引先に紹介された企業からの新規受注を獲得することによるC社のメリットは何か。
  • 取引先から依頼された新製品を開発して提供することによるC社のメリットは何か。

 

対策と効果の例

解答の中に「取引先の関係強化」というキーワードを盛り込んだ解答例を以下に示します。

 

C社の今後の戦略

  • C社の戦略は、主要顧客との関係を強化して、主要顧客のニーズに応じた新製品を提供することで、収益性の向上を図ることである。
  • C社の戦略は、既存製品を共同開発した取引先との連携を強化して、市場のニーズに応じた新製品の共同開発を進めることである。

 

C社のメリット

  • 取引先に紹介された企業からの新規受注を獲得することによって、取引先との関係を強化することができる。
  • 取引先からの依頼に応えて新製品を開発することによって、取引先との関係を強化することができる。

 

第1問(設問2)

第1問(配点40点)

 

C社では、現在取引している産業機械部品メーカーから新規に自動車部品の生産依頼があり、新規受注の獲得に向けて検討している。この計画について以下の設問に答えよ。

 

(設問2)

自動車部品の受注獲得は、C社にとってどのようなメリットがあるのか100字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第1問(設問2)では、C社の事業内容を把握し、自動車部品生産への新規参入によって得られるC社のメリットを分析する能力を問われています。

 

事例Ⅲにおいて、新製品の受注によるメリットと言われると「顧客の新たな要求に応えることによって技術力が向上する」とか「需要変動の異なる製品の受注による生産活動の平準化」という言葉が頭に浮かんでくるようにしておいた方が良いと思います。

ちなみに、新製品の受注によるメリットと言われた時に、「取引先の分散による経営基盤の安定」とか「需要変動の異なる製品の受注による経営基盤の安定」という言葉がすぐに頭に浮かぶ方も多いのではないかと思いますが、この表現は「事例Ⅱ」で使うことが多い考え方です。(もちろん、与件文の内容にもよりますが。)

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文では、【C社の概要】の後半、【C社の生産概要】の前半、【改善チームによる調査結果】の冒頭に記述されています。

キーワードが与件文の全体に分散していること、また非常に細かい一言に気が付けるかどうかがポイントなので、網羅的に抜粋するのは少し難しいと思います。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなります。

「季節変動」に気が付くのはなかなか難しいのではないかと思いますが、文章の流れの中で唐突感があるため違和感を感じるので、感のよい人は与件文を初めて読んだときにチェックを入れているのではないかと思います。

 

  • 現在の売上構成比は、建設資材55%、農業機械部品30%、産業機械部品15%となっている。農業機械部品と産業機械部品の受注量は増加傾向にあるが、これらの部品では顧客からの軽量化、複雑形状化要求が強くなっていて、鋳造技術の向上が求められている。
    ⇒自動車部品の新規受注を獲得して顧客からの新たな要求に応えていくことによってC社の技術力は向上します。農業機械部品と産業機械部品の顧客ニーズに直接応用できる技術かは分かりませんが、技術力の向上はC社にとって大きなメリットです。
  • さらに現在、自動車部品2次下請企業でもある産業機械部品の取引先から、C社としては新規受注となる自動車部品の生産依頼があり、その獲得に向けて検討を進めている。
    これは事例Ⅲの解答としてよく使われるパターンです。産業機械部品の取引先を通じての生産依頼であり、自動車部品の新規受注を獲得すれば、産業機械部品の取引先との関係を強化できるというメリットがあります。
  • 主要製品のマンホール蓋は、地方公共団体や通信会社などの事業主体ごとに仕様が異なるため品種が多く、さらにこれら事業主体の予算確定後、C社に発注が行われるため受注量の季節変動が大きい。
    ⇒C社の売上構成比において55%を占めるマンホール蓋は受注量の季節変動が大きいと記述されています。自動車部品は比較的季節変動が少ないため、1年間を通じて生産活動を平準化できるというメリットを享受できます。(事例Ⅱであれば1年間を通じて安定した売上を確保できる。という表現になります。)
  • C社では現在、自動車部品の新規受注を目指して、製造部内に改善チームをつくり、生産能力向上を目的とした改善活動を実施している。
    ⇒自動車部品の新規受注を目指して製造部内に作られた改善チームが実施している改善活動によってC社の生産能力が向上します
    ⇒少しだけ引っかかるのは「自動車部品の新規受注を目指して」という文章で、問題文の「自動車部品の受注獲得は」という表現とニュアンスが異なっている点です。(仮に自動車部品を受注しなくても改善活動によりC社の生産能力が向上すると想定されます。)

 

メリット

与件文から抜粋した内容を整理すると、自動車部品の受注獲得によるメリットは以下の通りです。

 

  • 新規受注となる自動車部品の生産により技術力が向上する。
  • 自動車部品2次下請企業でもある産業機械部品の取引先との関係を強化できる。
  • 季節変動の少ない自動車部品の受注によって生産活動を平準化できる。
  • 製造部内に作られた改善チームによる改善活動によって生産能力が向上する。

 

上述の通り、「改善活動によって生産能力が向上する」というメリットだけ少し違和感がありますが、書いていてもマイナスにはならないだろうと考えられるため、解答に盛り込むことにします。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容を100文字以内にまとめます。

 

メリットは、新規受注となる自動車部品の生産による技術力の向上、産業機械部品の取引先との関係強化、季節変動の少ない自動車部品の受注による生産活動の平準化、製造部内の改善活動による生産能力の向上である。(99文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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