事例Ⅲ ~平成29年度 解答例(3)(第2問)~

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今回は、「事例Ⅲ ~平成29年度 解答例(3)(第2問)~」について説明します。

 

目次

事例Ⅲ ~平成29年度試験問題一覧~

平成29年度のその他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

作業の標準化・マニュアル化・教育の実施

「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」は、生産現場の作業手順を統一化することによって、作業品質の安定(Q)、生産コストの低減(C)、生産リードタイムの短縮(D)を実現します。

 

 

与件文に記述されている問題点

与件文に、以下のような問題点が記述されている場合は、対策として「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」を実施することによって、問題点を解決することができます。

 

  • 作業の標準化やマニュアル化が行われていない。
  • 作業者によって作業手順が異なっており、所要時間も変動している。
  • 作業者によって技術レベルや作業品質にばらつきがある。
  • 作業者の経験に基づき作業を実施している。
  • 作業者の判断により作業を実施している。
  • 作業のルールが確立されていない。
  • 特定の作業者しか機械を操作できない。

 

対策の実施

「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」の実施手順を以下に示します。
「標準化」⇒「マニュアル化」⇒「教育の実施」という流れとなりますが、文字数制限が厳しいようであれば「教育の実施」は省略しても大丈夫だと考えられます

 

標準化

IE等により、各工程の作業内容や作業手順を洗い出したり、その作業手順の標準時間を測定することによって、作業の標準化を行います。

 

ポイント

「IE等により」という文言を追加するだけで、採点者から見ると、受験者がIEに関する知識を持っているような印象を与えることができるため、枕詞として入れておくと加点要素となる可能性があります。

 

マニュアル化

標準化された作業のマニュアルを作成します。

 

教育の実施

作成したマニュアルを用いて、作業者に体系的に教育することによって、生産現場に作業手順を浸透させていきます。

 

効果

「作業の標準化・マニュアル化・教育の実施」による効果を以下に示します。

 

  1. 無駄な作業を無くすことができるため、誰が作業を実施しても適正な時間(標準時間)で作業を実施することができる。
  2. 作業者による技術レベルの差をなくすことができるため、作業品質を安定させることができる。
  3. 作業者を多能工化することができるため、工程間の柔軟な相互支援体制を確立することができる。
  4. 工程間の柔軟な相互支援体制の確立によって、工程間負荷のバラツキを低減することができるため、生産リードタイムを短縮することができる。
  5. 工程間の柔軟な相互支援体制の確立によって、工程間負荷のバラツキを低減することができ、無駄な手持ち時間が解消され、残業時間を抑制することができるため、コストを削減することができる。

 

第2問

第2問(配点20点)

 

C社社長は、現在の生産業務を整備して生産能力を向上させ、それによって生じる余力をCNC木工加工機の生産に充てたいと考えている。それを実現するための課題とその対応策について120字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

解答の方向性

第2問では、既存事業の生産能力を向上させるために必要な生産業務上の課題を把握し、解決する能力を求められています。

 

したがって、与件文に記載されている既存事業の問題点を整理して、問題点を課題に書き換え、その対応策を解答として取りまとめていくという流れで解答を考えていきます。

 

与件文で関連しそうな箇所

与件文において、【C社の概要】と【生産概要】の文章から、既存事業の生産業務における問題となり得る箇所、及び対応策として活用できそうな箇所を抜粋していきます。

 

問題文の中では、以下の部分が該当します。

 

詳細に示すと以下の通りとなりますが、問題として明確に記載されている「担当している機械の他は操作ができない作業者が多い」ことと「標準化やマニュアル化は進められていない」ことを既存事業の生産業務における問題として捉えて、生産性を向上させるための課題と対応策を考えていくこととします。

 

  • 10年前、CAD等のITの技能を備えた社長の長男(現在常務)が入社し、設計のCAD化や老朽化した設備の更新など、生産性向上に向けた活動を推進してきた。この常務は、高齢の現社長の後継者として社内で期待されている。
    ⇒対応策としてITを活用できるかもしれない。
  • 機械の専任担当制をとっており、そのため担当している機械の他は操作ができない作業者が多い
    ⇒多能工化することにより生産業務を効率化できるのではないか。
  • 各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない
    ⇒標準化やマニュアル化によって生産業務を効率化できるのではないか。
  • 機械加工班はコンベアなどの搬送設備、食品加工機械、農業機械などに組み込まれる部品加工、鋳物部品の仕上げ加工など比較的小物でロットサイズが大きい機械加工であり、製缶板金班は農業機械のフレーム、建設用機械のバケット、各種産業機械の本体カバーなど大型で多品種少量の鋼材や鋼板の加工が中心である。
    ⇒機械加工班と製缶板金班が扱う製品レイアウトの違いが生産業務の生産性に影響を与えているのではないか。

 

課題と対応策

生産性を向上するための対策として「標準化やマニュアル化」を行うという方針で、「問題点」「達成すべき目標」「課題」「対応策」を整理していきます。

 

問題点

与件文に記載されている内容を整理すると、問題点は以下の通りです。

機械の専任担当制をとっているため、担当している機械の他は操作ができない作業者が多く、各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない。

 

達成すべき目標

達成すべき目標は「生産能力を向上」することであるため、以下の通り設定します。

作業者を多能工化して、負荷の低い工程の作業者が負荷の高い工程を支援するなど工程間の柔軟な相互支援体制を整備することによって、工程間の負荷のバラツキを低減して生産性を向上させる。

 

課題

担当している機械の他は操作ができない多くの作業者が、自分の担当ではない機械についても操作ができるようにすることで、工程間で柔軟な相互支援ができるような体制づくりを行う。

 

対応策

IE等により各専任作業者それぞれが保有している各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報の標準化やマニュアル化を実施した後、体系的に作業者に教育することによって、作業者を多能工化していく。

 

ポイント

「IE等により」という文言を追加するだけで、採点者から見ると、受験者がIEに関する知識を持っているような印象を与えることができるため、枕詞として入れておくと加点要素となる可能性があります。

 

解答例

ここまでに整理してきた内容を120文字以内にまとめます。

 

課題は、担当する機械の他は操作できない多くの作業者を多能工化して工程間の支援体制を確立することである。対応策として、IE等により機械の操作方法や加工方法に関する技術情報の標準化とマニュアル化を行い、作業者が複数機械を操作できるよう教育を行う。(120文字)

 

事例Ⅰ~事例Ⅲは正解のない試験なので、あくまで解答例として参考にしてもらえればと思います。

 


 

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