運営管理 ~H29-42 その他店舗・販売管理(7)HACCP-1~

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今回は、「運営管理 ~H29-42 その他店舗・販売管理(7)HACCP-1~」について説明します。

 

今日と明日に分けて、HACCPの解説を行っていきます。

1日目の今日は「HACCP導入のガイドライン(12手順【7原則】)」について解説します。

 

目次

運営管理 ~平成29年度一次試験問題一覧~

平成29年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

HACCPとは

「HACCP」とは、食品の安全性を確保するための衛生管理の方式であり、1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発されました。

従来は、最終製品の出荷工程における抜き取り検査によって製造された食品の安全性を確認していましたが、抜き取り検査だけでは不十分であり、危険な食品が市場に出回り食中毒を引き起こす可能性を排除することができませんでした。

「HACCP」では、出荷工程に限らず、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程において、あらかじめ想定される危害(ハザード)の発生を防止するために、重要管理ポイントの設定と継続的なモニタリングを行うことによって、すべての食品の安全性を確保することを目的としています。

 

HACCP導入のガイドライン

HACCPの導入と運用は、以下に示す「12手順【7原則】」に沿って進めていきます。
「手順1~手順5」は、「手順6」以降でHACCPプランを作成するための準備という位置づけです。

 

手順 項目 説明
手順1 HACCPのチーム編成 食品の製造工程について必要な情報を集められるよう各部門から担当者を集める。
手順2 製品説明書の作成 危害要因分析の基礎資料とするため、食品の原材料、特性、レシピ、仕様書等を作成する。
手順3 意図する用途及び対象となる消費者の確認 「用途」では食品の使用方法(加熱の有無等)について、「対象」では食品を提供する消費者について確認を行う。
手順4 製造工程一覧図の作成 受入から製品の出荷もしくは食事提供までの流れを工程ごとに書き出して一覧化する。
手順5 製造工程一覧図の現場確認 現場における人の動き、モノの動きを確認して、作成した工製造工程図を正確なものとする。
手順6
【原則1】
危害要因分析の実施(ハザード) 工程ごとに原材料由来や工程中に発生しうる危害要因を列挙して、危害要因を除去・低減して食品の安全性を確保するための管理方法を明確にする
手順7
【原則2】
重要管理点(CCP)の決定 危害要因を除去・低減すべき特に重要な工程を決定する(加熱殺菌、金属探知等)。
手順8
【原則3】
管理基準(CL)の設定 危害要因分析で特定したCCPを適切に管理するための基準を設定する。(温度、時間、速度等々)
手順9
【原則4】
モニタリング方法の設定 CCPが正しく管理されているかを適切な頻度で確認して記録する。
手順10
【原則5】
改善措置の設定 モニタリングの結果、CLを逸脱していたときに迅速かつ的確に取るべき改善措置を設定する。
手順11
【原則6】
検証方法の設定 HACCPプランに従って管理が行われているか、HACCPシステムが有効に機能しているかについて見直しを行い、修正が必要かどうか検討する。
手順12
【原則7】
記録と保存方法の設定 記録はHACCPを実施した証拠であると同時に、問題が発生した場合に原因を追究する分析材料となるため、記録と保存方法を決定する。

 

HACCPプラン作成

「手順1~手順5」により、HACCPプランを作成するための準備が完了したら、「手順6【原則1】」以降の手順に基づき、HACCPプランを作成していきます。

 

手順6【原則1】危害要因分析

「危害要因」とは、出荷した食品を食べた人に健康被害をもたらす恐れのある物質や食品の状態のことを示しており、「ハザード」とも呼ばれています。

「危害要因」を分析する際には、「生物的」「化学的」「物理的」の観点から検討を行います。

例えば、健康に悪影響をもたらすものとして、病原微生物や洗浄剤・殺菌剤の混入による食中毒、金属片やガラス片や石などの混入によるけがなどが考えられます。

 

危害要因分析の手順
  1. 「製造工程一覧図」に基づき、原材料や各工程において発生する恐れのある危害要因を列挙する。
  2. 危害が発生する頻度、発生した場合の影響度から危害要因の重大性を評価する。
  3. 重大性の評価に関する根拠と最終製品の安全性を確保するための管理方法を明確にする

 

手順7【原則2】重要管理点(CCP)の決定

危害要因分析で明確にした危害要因に対して、特に厳重に管理する必要があるポイントを重要管理点「CCP」に設定します。

 

CCP(Critical Control Point)

「CCP」とは「重要管理点」といい、「危害要因分析」で明確となった危害要因を除去または許容レベルまで低減するために厳重な管理が必要であり、それ以降の工程では同様な管理を行うことができないものを「CCP」に設定します。

なお、一般的な衛生管理で管理できる工程は「CCP」には設定しません。

これ以降の手順では、それぞれの「CCP」に対して「HACCPプラン」を作成していきます。

「HACCPプラン」では、それぞれの「CCP」に対して「CL(管理基準)」を設定し、それを逸脱していないか「モニタリング(監視)」を行うことによって、危害の発生を防ぐ計画を策定していきます。また、「モニタリング(監視)」において逸脱が発生した場合、速やかに改善措置をとるよう整理していきます。

 

手順8【原則3】管理基準(CL)の設定

重要管理点「CCP」において、食品の安全を確保するために管理すべき基準値「CL」を具体的に設定していきます。

 

CL(Critical Limit/管理基準)

「CL」と「管理基準」といい、食品の製造にあたって安全を確保するための「限界値」を示しています。

つまり、製造工程において「CL」を外れる数値が測定された場合は、食品の安全性を確保するための管理ができておらず、危害が発生していることを示しています。

「CL」は、危害の発生を防止するための科学的根拠に基づき、迅速なモニタリングが可能で、逸脱が起きた場合に速やかに改善措置が取れるよう、具体的な値を設定する必要があります。

 

CLの設定対象
  • 温度・時間等の物理的な測定値
  • pH、水分活性、糖度、塩分等の化学的な測定値
  • 外観・味のような官能的な指標

 

製造基準(Operating Limit/工程管理基準)

「CL」を外れる数値が測定された時点で、食品の安全が確保できていない状態になっていることを示すため、実際の製造工程では、「CL」よりも厳しい基準「製造基準(Operating Limit/工程管理基準)」を設定して管理を行います。

 

手順9【原則4】モニタリング方法の設定

重要管理点「CCP」において「CL」を満たしているかを確認することをモニタリングといい、手順9【原則4】では、モニタリングの方法と結果の記録方法を決定していきます。

すべての製品がすべての工程において「CL」を満たしていることを確認する必要があり、また管理基準を逸脱した場合は、影響を最小限にして速やかに改善措置を取る必要があるため、モニタリングは以下の条件を満たしている必要があります。

 

モニタリングに求められる条件
  • 連続的または相当の頻度で行われること
  • 速やかに結果を得られること

 

手順10【原則5】改善措置の設定

「改善措置」とは、モニタリングにおいて「CL」を逸脱していることを検知したときに、迅速かつ的確に取るべき問題点を是正する措置であり、手順10【原則5】では、そのような事態に備えてあらかじまえ「改善措置」を決定していきます。

 

改善措置の目的

「改善措置」には、以下2つの目的があるため、この2つの観点で改善措置を規定しておく必要があります。

 

  • 工程の管理状態を元に戻すこと
  • 影響を受けた製品を排除すること

 

手順11【原則6】検証方法の設定

HACCPプランは、HACCPプランに従って実際に管理が行われているかという観点で「HACCPプランごとの検証」と、HACCPプランが有効に機能しているかという観点で「HACCPシステム全体の検証」を、適切な頻度で検証を行います。

 

HACCPプランごとの検証項目
  • モニタリングに用いる測定装置の校正
  • 原材料、中間製品、最終製品の試験検査
  • モニタリング記録、改善措置記録、検証記録の確認 など
HACCPシステム全体の検証項目
  • 消費者からの苦情原因の解析
  • 現場の声を聴き、現場の実態を確認
  • 法令など規格基準への妥当性を確認
  • 最終製品の試験検査 など

 

手順12【原則7】記録と保存方法の設定

HACCPの実践において、正確な記録を保存することは最も重要な取り組みの一つです。

記録は、HACCPを実施したことの証拠であると同時に、食品の安全性に関わる問題が発生した場合に原因を追究するために必要な分析材料となります。

担当者ごとに記載方法が異なっていたり、記載内容を修正した形跡がある場合は、証拠としての正当性を評価することができないため、記録方法及び保存方法についてあらかじめ定めておく必要があります。

 


明日は引き続き、「運営管理 ~その他店舗・販売管理(8)HACCP-2~」について解説します。

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