財務・会計 ~一次試験のチェックポイント(1)~

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今回は、「一次試験のチェックポイント(1)」について説明します。

 

一次試験まであと1ヶ月を切りました。

本ブログで、これまでに説明した「財務・会計」に関する基本的なポイントをかき集めてみましたので、試験直前のチェック用として活用してもらえればと思います。

順不同で記載していますが、ご了承ください。

 

目次

MM理論

問題文において、「完全市場において」というキーワードが出てきた場合はMM理論に関する出題である可能性が高く、「MM理論が成り立つ条件の下で」ということを意味しています。

MM理論の問題を解くためのポイントを以下に示します。このポイントさえ押さえておけば、一次試験に出題される問題の多くは解くことができるはずです。

 

MM理論の問題を解くためのポイント

  1. 法人税が存在しない場合、企業の資本構成(負債と株主資本の割合)が変わっても企業価値は変わらない。
  2. 法人税が存在する場合、負債の割合が大きい企業の方が、節税効果が得られるため、負債の割合が少ない企業より、企業価値が高くなる。
  3. 負債による節税効果は「負債額×法人税率」で算出される。

 

差異分析

 

材料費と労務費の差異分析

原価の差異分析でも、売上高の差異分析でも、利益の差異分析でも以下の図を基本として考えることができます。

計算式で理解しようとするのではなく、以下の図で覚えれば、自分の答えがあっているかをチェックするのにもきっと役立ちます。

 

 

製造間接費の差異分析(出題可能性:低)

製造間接費は「変動費」と「固定費」が混在しており、差異分析により「予算差異」と「操業度差異」に分解することができます。

 

詳しく知りたい方は「財務・会計 ~差異分析(5)~」を参照してください。

 

 

配当割引モデル

「配当割引モデル」とは、配当と株主が求める期待収益率から理論株価を算出する方法です。

 

定額配当割引モデル(ゼロ成長モデル)

毎期の配当が将来に渡って同額であると仮定した場合の配当割引モデルの公式は以下の通りとなります。

 

 

定率成長配当割引モデル

毎期の配当が一定の成長率で増え続けると仮定した場合の配当割引モデルの公式は以下の通りとなります。

 

 

分散・標準偏差

「分散・標準偏差」を求めるために、以下のフォーマットを覚えておきましょう!

 

 

それぞれのセルに記入する数値と計算式を以下に示します。

 

 

これを先ほどの表に追記すると以下のようになります。
⑤の計算で二乗しているため「分散・標準偏差」は必ずプラスになるということです。

 

 

共分散・相関係数

「共分散・相関係数」とは2つの株式の相関関係を示す指標です。

 

共分散・相関係数の特徴

「共分散・相関係数」とは2つの株式の相関関係を示す指標であり、3つの特徴があります。

 

 

共分散

「共分散」を求めるために、以下のフォーマットを覚えておきましょう!

 

(※)過去の記事から流用しているため、記入されている数値は無視してください。

 

相関係数

相関関数は「ρ(ロー)」と表現され、以下の計算式により算出することができます。

「分散・標準偏差」は必ずプラスになるため、共分散」がプラスであれば「相関係数」も必ずプラスとなり、「共分散」がマイナスであれば「相関係数」も必ずマイナスとなります

 

 

相関係数の数値と意味

「相関係数」は「-1 ≦ ρ ≦ 1」の範囲で推移し、その数値は以下の意味を示しています。

 

相関係数 説明
ρ=1 2つのデータは、片方のデータが変動すると他方のデータもそれに応じて完全に同じ方向に変動する。
0<ρ<1 2つのデータは、片方のデータが変動すると他方のデータもそれに応じて同じ方向に変動する。「1」に近いほど「正」の相関関係が強い
ρ=0 2つのデータの変動には、全く関連性がない
-1<ρ<0 2つのデータは、片方のデータが変動すると他方のデータもそれに応じて逆の方向に変動する。「-1」に近いほど「負」の相関関係が強い
ρ=-1 2つのデータは、片方のデータが変動すると他方のデータもそれに応じて完全に逆の方向に変動する。

 

 

収益率が完全な正の相関を有する2つの株式を保有する場合、相関係数(ρ)は「1」となります。

ρ=1の場合は、「投資A」と「投資B」は全く同じ動きをするため、「B点」から「投資A」の比率を増やしていってもリスクの分散効果が働かず「A点」と「B点」が直線的に結ばれるように推移します。

 

リスクリターングラフ

 

株式指標

 

PER(株価収益率/Price Earning Ratio)

PER(株価収益率)は、株価を収益力と比較して、割安か割高かを判断する指標です。
株価が「1株当たり当期純利益」の何倍で取引されているかを確認することができ、業界平均と比較してPERが高ければ株価が割高であり、PERが低ければ割安であると判断されます。

 

 

EPS(1株当たり当期純利益/Earning Per Share)

EPSは会社の収益性を見る指標であり、数値が高いほどその企業の収益力が高いことを示します。EPSが上昇するとPERは低くなるため、株価は割安となります。

 

 

PBR(株価純資産倍率/Price Book Value Ratio)

PBR(株価純資産倍率)は、株価を資産と比較する指標であり、PBRが1倍の場合、株価が解散価値と等しいことを示しています。
また、PBRが1倍以下の場合は、純資産額より時価総額のほうが安いことを示しており、低PBRで推移している企業は買収の対象とされやすくなります。

 

 

発行済み株式全体で考えた場合、PBRは以下の式で表されることもあります。

 

 

BPS(1株当たり純資産/Book Value Per Share)

BPSは会社の安定性を見る指標であり、数値値が高いほどその企業の安定性が高いことを示します。BPSが上昇するとPBRは低くなるため、株価は割安となります。

 

 

ROE(自己資本当期純利益率/Return On Equity)

「ROE(自己資本当期純利益率)」とは、「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率を示す指標であり「自己資本利益率」「株主資本利益率」とも呼ばれます。

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、企業の収益力を示す財務指標の一つであり、自己資本によってどれだけ効率的に利益を生み出すことができているかを表す重要な指標であり、数値が高いほど収益性が高いことを示しています。

 

 

企業は、「株主資本(自己資本)」と「負債(他人資本)」で構成される「資本」を投下して事業を行い、その結果として「営業利益」を獲得します。さらに、「営業利益」から「他人資本」の債務者に対して「利息」を支払った後の残額を「経常利益」といい、「経常利益」から法人税等を納付した後の残額を「税引後当期純利益」といいます。

したがって、債務者への支払額や法人税等の納付額を控除した「税引後当期純利益」が「株主資本(自己資本)」を元手にして獲得した純粋な利益であり、株主に対する配当金の源泉となるため、「税引後当期純利益」を「株主資本(自己資本)」で除して求めた「ROE(自己資本利益率)」は、配当金を受け取る株主にとって非常に重要な指標です。

 

「ROE(自己資本当期純利益率)」は、この後説明する「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」を用いて、以下の公式でも算出することができます。

 

 

ROEの分解による理解

上述の通り、「ROE(自己資本当期純利益率)」は「純資産(株主資本、自己資本)」に対する「当期純利益(税引後当期純利益)」の比率として表されますが、「収益性」と「効率性」と「安全性」の指標に分解すると、「ROE(自己資本当期純利益率)」を高めるためには「収益性を高める」「効率性を上げる」「負債の割合を増やす」という3つの方法があることが分かります。

 

 

財務レバレッジ

上図で出てきた「財務レバレッジ」とは安全性を示す財務指標であり、自己資本比率の逆数(総資本÷自己資本)で求められます。総資本に占める自己資本が小さくなるほど高くなるため、銀行からの借入金などの負債を増やすほど、財務レバレッジの数値が高くなります

一般的に資本構成における負債の割合が高くなると倒産リスクが高まり経営上好ましくないと考えがちですが、借入金等により調達した資本で利益を上げることができれば、企業としては良い経営状態にあるということになります。

ここで注意が必要なのは、ROEを高くするためには、ただ単に借入金を増やせばよいのではなく、借入金により調達した資本で売上や当期純利益を高める必要があるということです。

 

「財務レバレッジ」の「レバレッジ」とは、日本語では「てこの原理」のことを示しており、少ない資金で大きな利益を手に入れるという意味で使われます。

つまり、少ない資金(自己資本)でも借入金(他人資本)を活用することで、事業の効率性を高める(大きな利益を手に入れる)ことができるということを示しています。

 

配当性向

配当性向は、当期純利益(税引後利益)に対する配当金の比率を示す指標であり、当期純利益1円当たりいくらの配当金が支払われているかを示しています。
投資家にとって、配当性向は企業がどの程度の利益を還元しているかを確認する重要な指標です。

 

 

発行済み株式全体で考えた場合、配当性向は以下の式で表されることもあります。

 

配当利回り

配当利回りは、株価に対する配当金の比率を示す指標であり、1株当たりいくらの配当金が支払われているかを示しています。
投資家にとって、配当利回りは企業がどの程度の利益を還元しているかを確認する重要な指標です。

 

 

発行済み株式全体で考えた場合、配当利回りは以下の式で表されることもあります。

 

DOE(株主資本配当率/Dividend on Equity)

株主資本配当率(DOE)は、純資産(株主資本、自己資本)に対する配当金の比率を示す指標であり、企業が株主に対してどの程度の利益還元を行っているかを示す指標です。

株主への配当水準を示す指標としては、一般的に「配当性向(=配当金÷当期純利益)」という指標が用いられますが、「配当性向」を算出するための「当期純利益」は毎期の数値変動が大きいため、投資家は株主資本という金額変動の少ない数値を基準にした「株主資本配当率」を用いて配当水準を確認することもできます。

 

 

株主資本配当率(DOE)は「株主資本利益率(ROE)」と「配当性向」から以下の公式でも求めることができます。

 

財務指標

 

収益性の財務指標一覧

「収益性」では、企業が利益を生み出すことができているか、また利益が減少している場合、どこに問題があるのかを数値から分析します。

「売上高○○○率」は「損益計算書」の数値だけを使って計算される指標であり「売上高」に占める「○○○」の割合を示しています。計算式は「○○○ ÷ 売上高 × 100(%)」で表されます。

 

 

効率性の財務指標一覧

「効率性」の財務指標は「損益計算書」の「売上高」と「貸借対照表」の数値を使って計算される指標であり、企業が保有する資産から効率的に収益を上げることができているかを示しています。計算式は「売上高 ÷ ○○○(回)」で表されます。

 

 

安全性の財務指標一覧

「安全性」では、企業の自己資本(純資産)と他人資本(負債)のバランスが適正であるか、また債務を返済するための支払能力があるのかを数値から分析します。
「安全性」は、さらに「短期安全性」「長期安全性」「資本調達構造」に分類されます。
なお、「安全性」の「財務指標」は「貸借対照表」の数値だけを使って計算される指標です。

 

 

キャッシュ・フロー計算書

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(間接法)

営業活動によるキャッシュ・フローの算出方法を以下に示します。

 

【営業活動によるキャッシュ・フロー】

 

参考:資産・負債の増減と営業CFの加減算

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローの算出方法を以下に示します。

 

【投資活動によるキャッシュ・フロー】

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローの算出方法を以下に示します。

 

【財務活動によるキャッシュ・フロー】

 


明日も、「一次試験のチェックポイント(2)」として本日の続きを掲載します。

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