事例Ⅳ ~平成23年度 解答例(4)(限界利益分析)~

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平成23年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

目次

事例Ⅳ ~平成23年度試験問題一覧~

平成23年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

限界利益と貢献利益による分析

「限界利益と貢献利益による分析」とは、限られた経営資源で、企業の営業利益を増やすために「製品」や「事業部門」の採算性を分析することをいいます。

「限界利益分析」と「貢献利益分析」は、以下のように使い分けられます。

  • 「限界利益分析」は、限られた経営資源で、企業の営業利益を最大にするために、販売(生産)する製品の最適な販売比率(最適セールスミックス)を求めるために活用されます。
  • 「貢献利益分析」は、製品ラインナップや事業部門の採算性を見極め、企業全体の利益に貢献していない製品の生産を中止したり、事業部門を廃止する判断をするために活用されます。

 

第2問

第2問(配点15点)

D社は人気製品の1つである製品Wについて、月産20,000単位の生産能力をもっており、来月の予定生産量を得意先からの予想受注量である18,000単位に定めている。販売価格は単位当たり1,000円である。製造原価は、単位当たり変動費500円、月間固定費は8,000,000円である。販売費・一般管理費はすべて固定費である。

そこへ、アジア地域の新規顧客から1単位800円の価格ならば2,000単位購入したい旨のオファーがあった(発送諸掛は先方負担)。社内で検討したところ、海外取引でこのような値引きを行っても、国内需要と国内販売価格には影響を与えないと予想されている。この特別注文を受諾すべきかどうかについて根拠となる数値を示しながら40字以内で述べよ。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方

当初の生産計画にはない飛び込み注文を受諾すべきかどうかについての判断を問われています。

 

飛び込み注文の受諾判断について

今回のような飛び込み注文は、企業にとって海外の新規顧客を獲得するチャンスではありますが、その飛び込み注文を受諾するかどうかを検討する際には、「製品の生産能力」「営業利益の増減」「通常取引への影響」について確認する必要があります。

 

生産能力に余力があるか。

飛び込み注文を受諾するか検討する際には、製造部門の生産能力を確認する必要があります。

「生産能力」を確認する際には「機械設備」だけでなく「従業員」の余力についても配慮しなければなりません。

事例Ⅳとは少し話がずれますが、繁忙期で従業員が残業で対応しているにも関わらず、設備の生産能力に余力があるからという判断で飛び込み注文を受けると、「従業員のモチベーション低下」「営業部門と製造部門の関係悪化」「製造工程の混乱」などの問題を引き起こす恐れがあります。

今回の問題では、「月産20,000単位の生産能力をもっており、来月の予定生産量を得意先からの予想受注量である18,000単位に定めている。」であり、「アジア地域の新規顧客から2,000単位購入したい旨のオファー」を受けても、「月産20,000単位の生産能力」で対応することが可能なため、「飛び込み注文を受けても生産可能」と判断します。

 

営業利益を増やすことができるか。

飛び込み注文を受諾するか検討する際には、営業利益の増減を確認する必要があります。

今回の問題では、特別注文を受諾するかどうかに関わらず「固定費」は増減しないため「限界利益」により利益の増減分析を行います。

「単位当たりの限界利益」がプラスであれば、結果として「営業利益」は増加するため、飛び込み注文を受諾すべきと判断します。また、「単位当たりの限界利益」がマイナスであれば、結果として「営業利益」は減少するため、飛び込み注文を受諾すべきではないと判断します。

 

低価格販売による通常取引への影響があるか。

通常の販売価格より低い価格での注文に応える際には、通常の取引先との販売価格に影響を与えないか注意が必要です。

低価格での販売に関する情報が漏れると、通常の取引先からも値引きの要請を受けるなど、企業全体の利益低下を招く自体になりかねません。

今回の問題では、「海外取引でこのような値引きを行っても、国内需要と国内販売価格には影響を与えない」と判断した前提となっています。

 

通常取引による損益計算

問題文に列挙されている数値を整理すると、通常取引により予想されている営業利益は以下の通りです。

 

売上高 18,000,000
変動費 9,000,000
限界利益 9,000,000
固定費 8,000,000
営業利益 1,000,000

 

特別注文における単位当たりの限界利益

特別注文を受諾するかどうかに関わらず「固定費」は増減しないため、特別注文の受諾により利益を得ることができるかどうかについては「限界利益」で判断することとなります。

アジア地域の新規顧客から、単位当たりの価格「800円」で販売してほしいとのオファーを受けており「単位当たりの限界利益」は「300円」となるため、営業利益は増加すると判断することができます。

 

販売価格(単位当たり) 800
変動費(単位当たり) 500
限界利益(単位当たり) 300

 

特別注文を受託した場合の損益計算

D社の「営業利益」は「限界利益」の増加分「300円 × 2,000単位 = 600,000円」だけ増加するため、特別注文を受諾すべきと判断します。

 

通常取引 特別注文
売上高 18,000,000 1,600,000
変動費 9,000,000 1,000,000
限界利益 9,000,000 600,000
固定費 8,000,000
営業利益 1,600,000

 

解答

アジア地域の新規顧客からの特別注文を受諾すべきかどうかに関する判断と根拠は以下の通りです。

単位当たりの限界利益が300円で60万円の増益となるため特別注文を受諾すべきである。(60文字)

 


 

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