事例Ⅳ ~平成22年度 解答例(1)(経営分析)~

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平成22年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

事例Ⅳ ~平成22年度試験問題一覧~

平成22年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

経営分析

「経営分析」では、企業の財務諸表に基づき、その企業の経営状況を定量的に分析していきます。定量的に分析して企業の経営状況を正確に把握することによって、経営者が意思決定を行うための情報を提供することを目的としています。

第1問

与件文と財務諸表に基づき、経営分析を行う問題です。

第1問(配点40点)

D社の平成21年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比べたこの企業の財務上の長所または短所のうち、重要と思われるものを3つ取り上げよ。その各々について、長所または短所の根拠を最も的確に示す経営指標を1つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標値を計算して(b)欄に示した上で、その長所または短所について、D社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に60字以内で説明せよ。

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

Step1.条件の確認

経営分析を始める前に、問題の条件を確認しておきます

  1. 比較対象:D社の同業他社の財務諸表と比較
  2. 財務指標:企業の財務上の長所または短所のうち、重要と思われるものを3つ
  3. 有効数字:小数点第3位を四捨五入

「財務上の長所または短所」を示す財務指標を「3つ」解答するよう求められていますので、「収益性」「効率性」「安全性」の3つの観点からそれぞれ1つずつ、「合計3つ」の財務指標を選択します。

Step2.問題で与えられたデータに基づく予想

与件文と財務諸表を読み込み、対象となる企業の状況を把握して、選択する財務指標をある程度予想します。
ここではあくまで選択する財務指標を予想するだけで「Step3」で予想が正しいかを検証する必要があります。

与件文で気になる点(定性情報)
  1. 販売状況
    • 工場は本社の近くの工業団地に位置し、本社との密接な連携と、顧客の要求に対する迅速な対応はD社の強みの一つでもある。
    • D社は積極的に技術開発と設備投資を行うことによって、製品の小型化・高性能化と安定した品質を実現し、顧客である大手メーカーからの信頼を得てきた
    • 受注は安定的で収益も高く、獲得した利益を内部留保として、これを設備投資に振り向けて成長してきた。
    • 情報機器を生産している大手メーカーZ社は、D社の主要な顧客であり、Z社向けの部品QはD社の売り上げの多くを占めている
    • D社では部品Qの長期的な受注増を予想している。
  2. 生産状況
    • 現在の生産能力には余裕がある
    • 価格競争力の観点から平成20年度までに、遊休資産の売却等全社的に大規模なリストラクチャリングを断行した。
  3. 今後の展開
    • Z社の最終製品の価格下落にともなって、Z社から部品Qの納入価格の大幅な引き下げを要求されている。
    • 売り上げの多くをZ社に依存しているだけに問題は深刻である。
    • 大規模なリストラクチャリングを行ったので、さらなる固定費の削減は望めない状況にある。
    • 生産技術部からは、現状の設備では大幅な変動費の削減は困難であるとの報告があった。

財務諸表で気になる点(定量情報)

同業他社の財務諸表の数値と比較した場合のD社の財務諸表の特徴を以下に示します。

  1. 貸借対照表
    • 「建物・機械装置」が多い。
    • 「短期借入金」が多い。
    • 「固定負債」が少ない。
    • 「別途積立金」が多い。
  2. 損益計算書
    • 「営業外費用」が少ない。
    • 「経常利益」が多い。
    • 「特別損失」が多い。

この時点での予想

ここまで見た段階で、ある程度予想してみます。
ただし、あくまで予想なので、実際に「財務指標」を算出して、自分の予想が正しいかを検証する必要があります。

  1. 収益性
    • 本社との密接な連携と、顧客の要求に対する迅速な対応という強みと製品の小型化・高性能化と安定した品質を実現し、顧客である大手メーカーからの信頼を得てきたという背景から、顧客からの信頼が厚く高値で販売することができるため、売上総利益が高いことが予想される。(売上高総利益率:○)
    • 一方で売り上げの多くをZ社に依存しているとの記述があるため、主要顧客への売上依存度が高く、ボリュームディスカウントなどの値引き交渉をされている可能性も考えられるが、今後の話として、Z社からの納入価格の大幅な引き下げを要求されているとの記述があるため、現時点では売上総利益は高いことが予想される。(売上高総利益率:○)
    • 受注は安定的で収益も高くとの記述から、売上高に対する利益率は全般的に高いことが予想される。(売上高営業利益率:○/売上高経常利益率:○)
    • 遊休資産の売却等は、昨年度(平成20年度)までに実施している。今年度、計上された「特別損失」の内容が不明である。
  2. 効率性
    • 売り上げの多くをZ社に依存しているとの記述があるため、主要顧客への売上依存度が高く、売上債権の回収期間が長くなり、効率的に代金を回収できていないことが予想される。(売上債権回転率:×)
    • 与件文に、遊休資産の売却等全社的に大規模なリストラクチャリングを断行したとの記述があるが、現在の生産能力には余裕があるとの記述もある。また、「建物・機械装置」の残高が多いことからもリストラクチャリングを断行したにもかかわらず、まだ収益に貢献していない機械設備等が存在することが予想される。
      なお、投資有価証券は同業他社に比べて残高が少ないため、「固定資産回転率」よりも、「有形固定資産回転率」に課題があると予想される。(有形固定資産回転率:×)
  3. 安全性
    • 「長期借入金」の残高は少ないが「短期借入金」の残高が多いため、短期安全性が低いことが予想される。(流動比率:×/当座比率:×)
    • 与件文に、遊休資産の売却等全社的に大規模なリストラクチャリングを断行したとの記述があるが、現在の生産能力には余裕があるとの記述もある。また、「建物・機械装置」の残高が多いことからも長期安全性が低いことが予想される。(固定比率:×/固定長期適合率:×)
    • 獲得した利益を内部留保として、これを設備投資に振り向けて成長してきたとの記述があるため、自己資本の比率が多く安定した財政状態であることが予想される。(自己資本回転率:○)

Step3.財務諸表の数値分析(財務指標の絞り込み)

収益性
財務指標一覧(収益性)

収益性の財務指標を以下に示します。

財務指標(収益性) D社 同業他社 比較
売上高売上原価比率 85.77% 85.99%
売上高総利益率 14.23% 14.01%
売上高販管費比率 9.23% 10.72%
売上高営業利益率 5.00% 3.29%
売上高営業外費用比率 1.83% 2.80%
売上高経常利益率 4.46% 1.69%
総資本経常利益率 5.85% 2.17%

考察
  • 「収益性」の全ての財務指標が同業他社よりも良好な状況である。
  • 「売上高総利益率」「売上高営業利益率」「売上高経常利益率」を比較した場合、「売上高経常利益率」における同業他社との差が「2.77%」で一番大きいこと、およびいずれの財務指標においても特筆すべき特徴が見当たらないため、「売上高経常利益率」を選択候補とする。

検討結果

「売上高経常利益率」で決定


明日も引き続き、「事例Ⅳ ~平成22年度 解答例(2)(経営分析)~」として、「第1問」の続きを説明していきます。

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