中小企業診断士受験に向けて、今の時期は財務会計にじっくりと取り組みましょう。

事例Ⅳ ~平成23年度 解答例(1)(経営分析)~

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平成23年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

事例Ⅳ ~平成23年度試験問題一覧~

平成23年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

経営分析

「経営分析」では、企業の財務諸表に基づき、その企業の経営状況を定量的に分析していきます。定量的に分析して企業の経営状況を正確に把握することによって、経営者が意思決定を行うための情報を提供することを目的としています。

 

第1問(設問1)

与件文と財務諸表に基づき、経営分析を行う問題です。

第1問(配点35点)

 

(設問1)

D社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社との比較を通じて、D社の財務上の問題点と思われる点を特徴づける経営指標を3つ取り上げ、その名称を(a)欄に示し、数値を計算(小数点第3位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その原因を(c)欄に、改善策を(d)欄にそれぞれ60字以内で述べよ。

 

(設問2)

経営分析ではないため、別途説明とする。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

Step0.昨年度の貸借対照表の数値データ

平成23年度の問題では、昨年度の貸借対照表の数値が与えられています。
問題を解くにあたって、この数値をどのように使うのかについて考えてみます。

本番の試験において、昨年度の貸借対照表の数値が与えられた場合にどのように対処するかについては、各自で予め決断しておいた方が良いかもしれません。

 

財務指標の算出にどの数値を使用するのか

財務指標を算出するにあたって、貸借対照表の数値は期中平均値((前期末数値+今期末数値)÷2)を使うべきとされています。中小企業診断士の二次試験においても、昨年度の貸借対照表の数値が与えられた場合は、期中平均値を使用する必要があるのか。。。実際にどうすることが正解なのかは分かりません。

ただ、平成23年度の問題では、設問2で「営業キャッシュフロー」を計算するために与えられたデータだと考えられます。

そもそも試験時間が短い状況で、わざわざ期中平均値を求める時間はないと思われますし、今期末の数値で計算したとしても減点にはならないのではないかと思います。(もしかしたら期中平均値を使ったら1点程度の加点などはあったのかも。。。あくまで推測です)

今回の解説では、今期末の貸借対照表の数値を用いて、財務指標を算出しています。

 

問題文で何と比較することを求められているのか

平成23年度の問題では、「同業他社の財務諸表と比較すること」を求められていますが、昨年度の財務諸表が与えられているため、昨年度と比較してD社の数値が改善しているのか悪化しているのかが分かってしまいます

例えば、昨年度と比較して「売上債権」は増加(悪化)しており「棚卸資産」は減少(改善)されています。こういった情報まで含めて考え始めると混乱して訳が分からなくなってしまいます。(実際に私がこのページを書きながら混乱してしまいました。)

平成23年度の設問1では、「同業他社の財務諸表と比較すること」を求められていますので、昨年度の貸借対照表の数値は無視して「同業他社の財務諸表と比較」に集中して財務指標を選択していきましょう。

 

Step1.条件の確認

経営分析を始める前に、問題の条件を確認しておきます

 

  1. 比較対象:D社の同業他社の財務諸表と比較
  2. 財務指標:D社の財務上の問題点と思われる点を特徴づける経営指標を3つ
  3. 有効数字:小数点第3位を四捨五入

 

「財務上の問題点」を示す財務指標を「3つ」解答するよう求められていますので、「収益性」「効率性」「安全性」の3つの観点からそれぞれ1つずつ、「合計3つ」の財務指標を選択します。

 

Step2.問題で与えられたデータに基づく予想

与件文と財務諸表を読み込み、対象となる企業の状況を把握して、選択する財務指標をある程度予想します。
ここではあくまで選択する財務指標を予想するだけで「Step3」で予想が正しいかを検証する必要があります。

 

与件文で気になる点(定性情報)
  1. 販売状況
    • 近年の販売実績は、食の安全に対する消費者意識、生活習慣病を予防する食生活への関心を反映して、地元で上がる魚介類に対するニーズが高まったこともあり、おおむね好調である。
    • 数年前より全国に展開する大手スーパーとの取引が始まり、売上の15%を占めるなど販売も順調に伸びている
  2. 生産状況
    • 3つの工場設備は生産能力に余剰があるものの老朽化がみられ、大手スーパーから増産の要請も見込まれるため、HACCP導入を前提とした新規工場建設を検討している。
    • 工場用地についてはすでに取得済みである。
    • 工場新設にあたっては、製品ラインの見直しが求められている
  3. 今後の展開
    • D社では上記の状況とは別に、単身世帯の増加、個食への対応として、電子レンジや真空パック用個別方法の製品開発、生産、販売という新規事業案が提案されている。

 

財務諸表で気になる点(定量情報)

同業他社の財務諸表の数値と比較した場合のD社の財務諸表の特徴を以下に示します。

  1. 貸借対照表
    • 「流動資産」が多い。
    • 「仕入債務(支払手形・買掛金)」が多い。
    • 「短期借入金」と「長期借入金」が多い。
  2. 損益計算書
    • 全体的に数値が大きく、パッと見た感じで良し悪しが分からない。
    • 「営業外費用」が多く「経常利益」が低い状況となっている。

 

この時点での予想

ここまで見た段階で、ある程度予想してみます。
ただし、あくまで予想なので、実際に「財務指標」を算出して、自分の予想が正しいかを検証する必要があります。

  1. 収益性
    • 「借入金」により、新規工場建設のための工場用地を取得するための資金を調達していると推測されるため「営業外費用」が多く「経常利益」が低いと予想される。(売上高営業外費用比率:×/売上高経常利益率:×)
    • 製品ラインの見直しが必要な状況にあると記載されているため、製品の売れ筋や死に筋に関する分析ができておらず、収益性が低い製品も生産している状況にあり、製品の売れ残りなどが多く、製造コストが高くなっていることが予想される。(売上高売上原価比率:×/売上高総利益率:×)
  2. 効率性
    • 大手スーパーへの販売が順調に伸びているが、同時に大手スーパーからの売上債権回収に問題が発生しており、「売上債権」の残高が多くなっていると予想される。(売上債権回転率:×)
    • 製品ラインの見直しが必要な状況にあるとの記述から、製品の売れ筋や死に筋に関する分析ができておらず、収益性が低い製品も生産している状況にあり、製品の売れ残りなどが多くなっていると予想される。(棚卸資産回転率:×)
    • 工場設備は生産能力に余剰があるとの記述から、収益に貢献していない機械設備等が存在することが予想される。(固定資産回転率:×/有形固定資産回転率:×)
  3. 安全性
    • 工場設備は生産能力に余剰があるとの記述から、収益に貢献していない機械設備等が存在することが予想されるため、固定比率と固定長期適合率の数値が悪化していると予想される。(固定比率:×/固定長期適合率:×)
    • 「短期借入金」と「長期借入金」が多いため、自己資本比率と負債比率の数値に問題があると予想される。(自己資本比率:×/負債比率:×)

 

Step3.財務諸表の数値分析(財務指標の絞り込み)

収益性
財務指標一覧(収益性)

収益性の財務指標を以下に示します。

財務指標(収益性) D社 同業他社 比較
売上高売上原価比率 80.49% 79.53% ×
売上高総利益率 19.51% 20.47% ×
売上高販管費比率 17.47% 18.71%
売上高営業利益率 2.04% 1.76%
売上高営業外費用比率 1.63% 1.09% ×
売上高経常利益率 0.61% 1.24% ×
総資本経常利益率 1.15% 2.84% ×

 

考察
  • 問題点と思われる点を特徴づける財務指標を回答するため「売上高販管費比率」と「売上高営業利益率」は選択候補から除外する。
  • 製品ラインの見直しが必要な状況にあると記載されているため、製品の売れ筋や死に筋に関する分析ができておらず、収益性が低い製品も生産している状況にあり、製品の売れ残りなどが多く、製造コストが高くなっていると考えることができるため、「売上高売上原価比率」を選択候補としたい。
  • 大手スーパーへの販売が順調に伸びている一方で、ボリュームディスカウントなどの値引き交渉をされている可能性が高いが、与件文に直接的な表現はないため「売上高総利益率」は選択候補から除外する。
  • 「短期借入金」と「長期借入金」の増加により「売上高営業外費用比率」と「売上高経常利益率」が悪化している。
    最終的に「安全性」の指標選定と合わせて判断するため、候補としては残しておく。

 

検討結果

「売上高売上原価比率」と「売上高営業外費用比率」と「売上高経常利益率」を候補として残す。

 


明日も引き続き、「事例Ⅳ ~平成23年度 解答例(2)(経営分析)~」として、「第1問」の続きを説明していきます。

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