事例Ⅳ ~平成26年度 解答例(2)(経営分析)~

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平成26年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

昨日の記事「事例Ⅳ ~平成26年度 解答例(1)(経営分析)~」の続きです。

 

目次

事例Ⅳ ~平成26年度試験問題一覧~

平成26年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第1問 前回からの続き

Step3.財務諸表の数値分析(財務指標の絞り込み)

効率性
財務指標一覧(効率性)

効率性の財務指標を以下に示します。

財務指標(効率性) D社 同業他社 比較
総資本回転率 0.83回 1.03回 ×
売上債権回転率
棚卸資産回転率 50.00回 30.00回
固定資産回転率 1.00回 1.43回 ×
有形固定資産回転率 1.11回 1.67回 ×

 

考察
  • 「問題で与えられたデータに基づく予想」により、「効率性」の財務指標からは「財務上の課題を示す財務指標」を選択する。
  • 念のため、同業他社より優れている「棚卸資産回転率」について「与件文」と照らし合わせて確認する。
    与件文にある「需要に合わせた商品群の整理も必要な時期に来ている」という表現は、売れ残りなどの余剰な商品在庫があることを示唆する内容となっており「棚卸資産回転率」を悪化させる要素である。
    与件文の他の個所を見ても「棚卸資産回転率」が優れている理由に該当する記述は見当たらないため「棚卸資産回転率」は、やはり選択候補から除外して問題ないと思われる。
  • 「総資本回転率/固定資産回転率/有形固定資産回転率」は、同業他社と比較して数値が悪い状況にあるが、その中でも「有形固定資産回転率」が一番数値が悪い状況であること、さらに「総資本」や「固定資産」よりも、課題を狭い範囲で指摘できることから、「有形固定資産回転率」を選択したい。
  • 「有形固定資産回転率」が悪い理由について考えてみる。
    与件文にある「工場の生産能力にも限界があり、需要に合わせた商品群の整理も必要な時期に来ている」という記述から、収益性の低い機械設備等が多数あることがその原因ではないかと考えられるが、貸借対照表では「有形固定資産」の中で「機械及び装置」の簿価は少なく「建物・構築物」と「土地」の簿価が高くなっている。
    つまり、「セントラルキッチン方式を導入している自社工場」の機械設備ではなく土地や建物が高いと判断できる。
    ちなみに、土地や建物について考えていく場合には、「主要な駅前、商店街の店舗」と「オフィス街のテナントや郊外のロードサイド店舗」についても確認しておく必要がある。
    まず、「主要な駅前、商店街の店舗」については「物件に出店している」との表現から、保有ではなく賃貸だと判断して候補から除外することができる。
    また、「オフィス街のテナントや郊外のロードサイド店舗」については詳細が不明だが、現時点では実験的な段階であるとの表現から、企業全体の業績への影響は限定されていると判断して候補から除外した。
    これらの考察を踏まえて、課題は保有する自社工場にあると判断することができ、需要に合わせた商品群の整理ができておらず、自社工場で生産する商品の構成が適切ではないため、効率的に収益を上げることができていないという趣旨で、解答を構成する。

 

検討結果
  • 選択する財務指標
    「有形固定資産回転率」で決定
  • 財政状態および経営成績
    自社工場で需要に合わせた商品生産ができておらず効率性が悪い。(30文字)

 

安全性
財務諸表一覧(安全性)

安全性の財務指標を以下に示します。

財務指標(安全性) D社 同業他社 比較
流動比率 50.00% 86.96% ×
当座比率 25.00% 54.35% ×
固定比率 500.00% 205.88% ×
固定長期適合率 125.00% 106.06% ×
自己資本比率 16.67% 35.17% ×
負債比率 500.00% 184.31% ×

 

考察
  • 「効率性」にて「有形固定資産回転率」を選択しているため「固定比率/固定長期適合率」は選択候補から除外する。
  • 「流動比率/当座比率」と「自己資本比率/負債比率」のどちらかを選んでいくが、「問題で与えられたデータに基づく予想」において、「流動資産」や「純資産」が少ないのではなく「固定資産」や「負債」の割合が高すぎると判断していることから、「負債比率」を選択する。
  • 「負債比率」が悪い理由について考えてみる。
    「客足が落ちてきている主要な駅前、商店街の店舗」や「需要の少ない商品」の整理(閉店や販売終了)をする前に、新しいスタイルの店舗展開やお土産としての商品化を進めている。「貸借対照表」において「現金及び預金」や「純資産」が少ない状況を考えると、これらの新しい施策の資金の源泉は「借入金」であると考えられる。

 

検討結果
  • 選択する財務指標
    「負債比率」で決定
  • 財政状態および経営成績
    新店舗展開や新商品開発を借入金で賄っているため安全性が低い。(30文字)

 

Step4.財務指標の確定

最後に、「収益性」「効率性」「安全性」のバランスを見て、問題の条件と一致しているか、指摘する内容や原因が重複していないか、論理的な矛盾がないか、などの確認を実施しながら、最終的に解答する財務指標を確定します。

  1. 収益性
    • 選択する財務指標
      「売上高営業利益率」
    • 財政状態および経営成績
      セントラルキッチンにより製造コストを抑制しており収益性が高い。(30文字)
  2. 効率性
    • 選択する財務指標
      「有形固定資産回転率」
    • 財政状態および経営成績
      自社工場で需要に合わせた商品生産ができておらず効率性が悪い。(30文字)
  3. 安全性
    • 選択する財務指標
      「負債比率」
    • 財政状態および経営成績
      新店舗展開や新商品開発を借入金で賄っているため安全性が低い。(30文字)

 

「収益性」「効率性」「安全性」のバランスを見ても、特に問題なさそうです。

 

Step5.解答

確定した財務指標を解答します。
優れている指標については①の欄に、課題となる指標については②、③の欄に記載します。

売上高営業利益率 7.00% セントラルキッチンにより製造コストを抑制しており収益性が高い。(30文字)
有形固定資産回転率 1.11回 自社工場で需要に合わせた商品生産ができておらず効率性が悪い。(30文字)
負債比率 500.00% 新店舗展開や新商品開発を借入金で賄っているため安全性が低い。(30文字)

 


 

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