事例Ⅳ ~平成27年度 解答例(2)(経営分析)~

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平成27年度の事例Ⅳに関する解答例(案)を説明していきます。

私なりの思考ロジックに基づく解答例(案)を以下に説明しますので、参考としてもらえればと思います。

 

昨日の記事「事例Ⅳ ~平成27年度 解答例(1)(経営分析)~」の続きです。

 

目次

事例Ⅳ ~平成27年度試験問題一覧~

平成27年度の他の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

第1問(設問1) 前回からの続き

Step3.財務諸表の数値分析(財務指標の絞り込み)

効率性
財務指標一覧(効率性)

効率性の財務指標を以下に示します。 

財務指標(効率性) D社 同業他社 比較
総資本回転率 1.90回 2.20回 ×
売上債権回転率 4.89回 6.22回 ×
棚卸資産回転率 19.55回 20.00回 ×
固定資産回転率 4.06回 4.31回 ×
有形固定資産回転率 5.00回 4.67回

 

考察
  • 同業他社と比較した場合、一番差がついているのは「売上債権回転率」である。
    事前予想でも「主要顧客への売上依存度が高いため、売上債権の回収期間が長くなり、効率的に代金を回収できていない」可能性があるとしているため、選択候補として残す。
  • 今回の問題では、「同業他社と比較して優れていると判断できる財務指標」も選択する必要があるため、「有形固定資産回転率」も選択候補の一つとして残しておく。

 

検討結果

「売上債権回転率」と「有形固定資産回転率」を候補として残す。

 

安全性
財務指標一覧(安全性)

安全性の財務指標を以下に示します。

財務指標(安全性) D社 同業他社 比較
流動比率 115.38% 248.00% ×
当座比率 92.31% 188.00% ×
固定比率 212.00% 101.56% ×
固定長期適合率 86.89% 63.73% ×
自己資本比率 22.12% 50.39% ×
負債比率 352.00% 98.44% ×

 

考察
  • 「流動比率/当座比率」といった短期安全性を示す財務指標が同業他社と比較して劣っているが、それは「仕入債務」と「短期借入金」が多いことが原因である。短期支払能力の有無を判断する基準である100%を下回っている「当座比率」を選択候補として残す。
  • 事前予想の段階では、「固定比率/固定長期適合率」といった長期安全性を示す財務指標が優れているとしていたが、実際には劣っていた。これは、固定資産が多いためではなく、「自己資本」が少なすぎるためと判断することができる。したがって、選択するとすれば「固定比率/固定長期適合率」ではなく、「自己資本比率」を選択するべきと考えられるため、「固定比率/固定長期適合率」は候補から除外する。
  • 「自己資本比率/負債比率」といった資本調達構造を示す財務諸表が同業他社と比較して劣っているが、「固定比率/固定長期適合率」のところでも説明したように、「自己資本」が少なすぎるためと判断することができる。したがって、「自己資本比率」を候補として残すこととする。

 

検討結果

「当座比率」と「自己資本比率」を候補として残す。

 

Step4.財務指標の確定

最後に、「収益性」「効率性」「安全性」のバランスを見て、問題の条件と一致しているか、指摘する内容や原因が重複していないか、論理的な矛盾がないか、などの確認を実施しながら、最終的に解答する財務指標を確定します。

  1. 収益性
    • 「売上高総利益率」と「売上高営業外費用比率」が選択候補として残っている。
    • 与件文の最初の方に「D社の技術力が高い」ことを示す文章が記載されているため、「売上高総利益率」を「優れている財務指標」として選択する。
  2. 効率性
    • 「売上債権回転率」と「有形固定資産回転率」が選択候補として残っている。
    • 「有形固定資産回転率」が優れているとする根拠が与件文には見当たらず、「売上高総利益率」を「優れている財務指標」とする方が妥当であると考えられるため、「効率性」では「売上債権回転率」を選択する。
  3. 安全性
    • 「当座比率」と「自己資本比率」が選択候補として残っている。
    • どちらを選んでも、「収益性」と「効率性」の財務指標とは切り離して説明できる。また、どちらを選んでも説明できれば良いと思います。
    • 「当座比率」を選ぶ場合の理由はこんな感じ。
      来期以降、X社からの受注が減少することが予想されており、流動負債を返済するためのキャッシュが不足する可能性が高いため、「当座比率」を選択する。
    • 「自己資本比率」を選ぶ場合の理由はこんな感じ。
      内部留保ができておらず、借入金に依存せざるを得ない状況となっている。利益を内部留保することで財務基盤を強化する必要があるため、「自己資本比率」を選択する。
    • どちらかというと、「X社からの受注が減少することが予想されている」という情報が与件文に示されているため、来期以降の運転資金が不足する可能性を指摘することとし、私ならば「当座比率」を選択する。

 

Step5.解答

確定した財務指標を解答します。
優れている指標については①の欄に、課題となる指標については②、③の欄に記載します。

売上高総利益率 17.67(%)
売上債権回転率 4.89(回)
当座比率 92.31(%)

 

第1問(設問2)

「設問2」では、D社の財政状態及び経営成績を同業他社と比較した場合の特徴について考えていきます。

考え方

「設問2」では「収益性」「効率性」「安全性」の3つの観点を入れるのが鉄則です。
「収益性」「効率性」「安全性」に分けて、課題が生じている原因を記載します。

  • 技術力は市場から一定の評価を受けており、高い販売価格でも販売できる「ブランド力」があるため「売上高総利益率」が高く「収益性」に優れている。
  • 主要顧客への売上依存度が高く、売上債権の回収期間が長くなり、効率的に代金を回収できていないため「売上債権回転率」が低く「効率性」に課題がある。
  • 「仕入債務」と「短期借入金」が多いため「当座比率」が低く「安全性」に課題がある。

 

解答

これを「60文字」以内にまとめます。

  • 技術力に一定の評価があり高値で販売できるため収益性が高いが売上債権回収の効率性と多額の流動負債による安全性に課題がある。(60文字)

 


 

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