財務・会計 ~H22-4 売上原価の計算(4)商品有高帳~

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今回は、「財務・会計 ~H22-4 売上原価の計算(4)商品有高帳~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~

平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

売上原価の計算 -リンク-

本ブログにて「売上原価の計算」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

売上割引・売上控除・仕入割引・仕入控除 -リンク-

本ブログにて「売上割引」「売上控除」「仕入割引」「仕入控除」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

売上原価の計算(先入先出法)

商品勘定による売上原価の算出

「当期に販売された商品の価額」である売上原価は、商品勘定において「期首における商品残高」と「当期に仕入れた商品の価額」の合計金額から、「期末における商品残高」を差し引いて求めることができます。

 

 

期末商品(棚卸資産)の評価方法

「期末商品(棚卸資産)の評価方法」は、以下に示す方法の中から選択して適用します。
なお、「期末商品(棚卸資産)の評価方法」は、事業の種類、棚卸資産の種類、その性質及びその使用方法等を考慮した区分ごとに選択するとともに、継続して適用しなければなりません。

 

個別法

取得原価の異なる「商品(棚卸資産)」を区別して記録し、その個々の実際原価によって「期末商品(棚卸資産)」の価額を算定する方法
個別法は、個別性が強い「商品(棚卸資産)」の評価に適した方法である。

 

先入先出法

最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、「期末商品(棚卸資産)」は最も新しく取得されたものからなるとみなして「期末商品(棚卸資産)」の価額を算定する方法

 

平均原価法

取得した「商品(棚卸資産)」の平均原価を算出し、この平均原価によって「期末商品(棚卸資産)」の価額を算定する方法
なお、平均原価は、総平均法又は移動平均法によって算出する。

 

売価還元法

値入率等の類似性に基づ「商品(棚卸資産)」のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を「期末商品(棚卸資産)」の価額とする方法
売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における「商品(棚卸資産)」の評価に適用される。

 

「後入先出法」は認められていません。

上記の評価方法以外に、原価計算基準には「後入先出法」という方法が示されています。

「後入先出法」とは、最も新しく取得されたものから棚卸資産の払出しが行われ、期末棚卸資産は最も古く取得されたものからなるとみなして、棚卸資産の価額を算定する方法ですが、「棚卸資産の評価に関する会計基準」では「後入先出法」は、棚卸資産の実際の流れを忠実に表現しているとはいえないとし、棚卸資産の評価方法として認めていません

 

 

売上割引・売上控除・仕入割引・仕入控除

販売した商品の返品など

販売した商品に対する「返品(戻り)」「値引」「割戻」「割引」について説明します。

覚えておくのは、「売上割引」の場合は「営業外費用」として計上して、それ以外の「返品(戻り)」「値引」「割戻」の場合は「売上」から控除するということです。

「割引」という言葉の定義が、一般的に使っている意味と違いますので、注意してください。

 

項目 会計処理 説明
売上戻り 売上控除 販売した商品の品質などに問題があった場合に、取引先から商品を返品されること
売上値引 販売した商品の品質などに問題があった場合に、取引先に安い価格で提供すること
売上割戻 商品の大量販売等の条件に基づき、取引先に安い価格で提供すること。(リベート)
売上割引 営業外費用 販売した商品の売掛金を取引先から期日前に受け取った場合、受取金額から利息分に相当する金額を免除すること。(ディスカウント)

 

仕訳

掛けで販売した商品に対して「売上戻り」「売上値引」「売上割戻」「売上割引」した場合の仕訳例を以下に示します。

 

売上戻り・売上値引・売上割戻

「売上戻り/売上値引/売上割戻」の場合は売上金額から控除します。

 

借方 貸方
売上 1,000円 売掛金 1,000円

 

売上割引

売掛金について、決済期日よりも前の割引有効期限内に取引先から支払いを受けたため、利息分に相当する「50円」の割引を行った。この場合、売上高から控除するのではなく、売上割引「50円」を営業外費用として計上します。

 

借方 貸方
現金
売上割引
950円
50円
売掛金 1,000円

 

仕入れた商品の返品など

仕入れた商品に対する「返品(戻し)」「値引」「割戻」「割引」について説明します。

覚えておくのは、「仕入割引」の場合は「営業外収益」として計上して、それ以外の「返品(戻し)」「値引」「割戻」の場合は「仕入」から控除するということです。

「割引」という言葉の定義が、一般的に使っている意味と違いますので、注意してください。

 

項目 会計処理 説明
仕入戻し 仕入控除 仕入れた商品の品質などに問題があった場合に、仕入先に商品を返品すること
仕入値引 仕入れた商品の品質などに問題があった場合に、仕入先から安い価格で提供されること
仕入割戻 商品の大量仕入等の条件に基づき、仕入先から安い価格で提供されること。(リベート)
仕入割引 営業外収益 仕入れた商品の買掛金を仕入先に期日前に支払った場合、支払金額から利息分に相当する金額を免除されること。(ディスカウント)

 

仕訳

掛けで仕入れた商品に対して「仕入戻し」「仕入値引」「仕入割戻」「仕入割引」した場合の仕訳例を以下に示します。

 

仕入戻し・仕入値引・仕入割戻

「仕入戻し/仕入値引/仕入割戻」の場合は仕入金額から控除します。

 

借方 貸方
買掛金 1,000円 仕入 1,000円

 

仕入割引

決済期日よりも前の割引有効期限内に仕入先に買掛金を支払ったため、利息分に相当する「50円」の割引を受けた。この場合、仕入から控除するのではなく、仕入割引「50円」を営業外収益として計上します。

 

借方 貸方
買掛金 1,000円 現金
仕入割引
950円
50円

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成22年度 第4問】

次の商品有高帳(単位:円)に基づき、A品の先入先出法による月間の売上原価と次月繰越高として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

 

 

[解答群]

ア 売上原価:63,600円 次月繰越高:19,200円
イ 売上原価:63,600円 次月繰越高:22,400円
ウ 売上原価:66,800円 次月繰越高:16,000円
エ 売上原価:66,800円 次月繰越高:19,200円
オ 売上原価:70,000円 次月繰越高:16,000円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「先入先出法」を採用している企業における「A品」の売上原価と次月繰越高を算出する問題です。解答するためには、「先入先出法」以外に、「仕入戻し」の仕訳処理に関する知識も必要です。

 

「先入先出法」とは、最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、「期末商品(棚卸資産)」は最も新しく取得されたものからなるとみなして「期末商品(棚卸資産)」の価額を算定する方法」です。

言葉の定義を読んだだけでは難しく感じますが、商品を販売(払出し)するときは仕入れた時期が古い商品から順番に払い出していくという方法です。

「仕入」「販売(払出)」「仕入戻し」に伴うA品の数量および合計価額の推移を以下に示します。

 

受入 払出 在庫
数量 単価 合計 数量 単価 合計 数量 単価 合計
1日 前月繰越 20 600 12,000 20 600 12,000
7日 仕入 70 600 42,000 90 600 54,000
13日 売上 50 600 30,000 40 600 24,000
19日 仕入 40 600 24,000
55 640 35,200 55 640 35,200
20日 仕入戻し 40 600 24,000
▲5 640 ▲3,200 50 640 32,000
25日 売上 40 600 24,000 0 600 0
50 640 32,000
29日 売上 20 640 12,800 30 640 19,200
31日 次月繰越 30 640 19,200
合計 86,000 66,800

 

仕入戻し

「仕入戻し」は、仕入れた商品の品質などに問題があった場合に、仕入先に商品を返品することをいいます。「仕入戻し」を行う場合は「仕入」から控除する仕訳を行います。

 

借方 貸方
買掛金 4,200 仕入 4,200

 

 

答えは(エ)です。


 

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