財務・会計 ~H23-6 連結会計(2)子会社の定義~

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今回は、「財務・会計 ~H23-6 連結会計(2)子会社の定義~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成23年度一次試験問題一覧~

平成23年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

連結会計 -リンク-

「連結会計」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

子会社と関連会社の違い

子会社の定義は「連結財務諸表に関する会計基準」において、関連会社の定義は「持分法に関する会計基準」において明記されています。さらに「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」の中で、さらに詳細な区分方法を規定しています。

 

子会社と関連会社の区分

子会社と関連会社の区分は非常に複雑ですが、基本的には、子会社の場合は「意思決定機関を支配していること」、関連会社の場合は「方針の決定に重要な影響を与えることができること」という考え方に従っています。

 

子会社の定義

子会社の定義は以下の通りです。(これでも簡略化して書いています。)
基本的には、「意思決定機関を支配していること」が他の企業を子会社とするための要件です。

 

(1)過半数(50%超)の議決権を所有している場合

(2)40%以上50%以下の議決権を所有していて、意思決定機関を支配している場合

  1. 自社が所有している議決権と、自社と密接な関係があり自社と同一の意思決定を行う者が所有している議決権を合わせると、過半数(50%超)の議決権を所有していること
  2. 自社の役員もしくは従業員、または過去に自社の役員もしくは従業員であった者で、かつ他の企業(子会社)の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、他の企業(子会社)の取締役会の構成員の過半数を占めていること
  3. 他の企業(子会社)の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在していること
  4. 他の企業(子会社)の資金調達額(貸借対照表の負債の部)の総額の過半について融資を行っていること
  5. 他の企業(子会社)の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること

(3)40%未満の議決権しか所有していなくても、自社と密接な関係があり自社と同一の意思決定を行う者が所有している議決権を合わせると、過半数(50%超)の議決権を所有していて、かつ、上記(2)の「2」から「5」のいずれかの要件を満たしている場合

 

関連会社の定義

関連会社の定義は以下の通りです。(これでも簡略化して書いています。)
基本的には、「方針の決定に重要な影響を与えることができること」が他の企業を関連会社とするための要件です。

 

(1)20%以上の議決権を所有している場合

(2)15%以上20%未満の議決権を所有していて、意思決定機関に重要な影響を与えることができる場合(様々な条件あり)

  1. 自社の役員もしくは従業員、または過去に自社の役員もしくは従業員であった者で、かつ他の企業(関連会社)の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、他の企業(関連会社)の代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること
  2. 他の企業(関連会社)に対して重要な融資を行っていること
  3. 他の企業(関連会社)に対して重要な技術を提供していること
  4. 他の企業(関連会社)との間に重要な販売、仕入その他の営業上又は事業上の取引があること
  5. 他の企業(関連会社)の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること

(3)15%未満の議決権しか所有していなくても、自社と密接な関係があり自社と同一の意思決定を行う者が所有している議決権を合わせると、20%以上の議決権を所有していて、かつ、上記(2)の「1」から「5」のいずれかの要件を満たしている場合

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成23年度 第6問】

連結財務諸表を作成する場合の「他の企業(更生会社、破産会社その他これらに準ずる企業であって、有効な支配従属関係が存在しないと認められる企業を除く)の意思決定機関を支配している企業」(親会社)として、最も不適切なものはどれか

 

ア 自己と緊密な者および同意している者が所有している議決権を合わせて、他の企業の議決権の過半数を占めている企業であって、他の企業の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在する企業

イ 自己の計算において所有している40%に満たない議決権と、自己と緊密な者および同意している者が所有している議決権と合わせて、他の企業の議決権の過半数を占めている企業

ウ 他の企業の議決権の40%以上50%以下を自己の計算において所有している企業であって、自己と緊密な者および同意している者が所有している議決権と合わせて、他の企業の議決権の過半数を占めている企業

エ 他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有している企業

 

(注)「自己と緊密な者および同意している者」とは、「自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者および自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」である。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

基本的に、子会社とは「意思決定機関を支配していること」が基準となっています。

 

子会社の定義

(1)過半数(50%超)の議決権を所有している場合

(2)40%以上50%以下の議決権を所有していて、意思決定機関を支配している場合

  1. 自社が所有している議決権と、自社と密接な関係があり自社と同一の意思決定を行う者が所有している議決権を合わせると、過半数(50%超)の議決権を所有していること
  2. 自社の役員もしくは従業員、または過去に自社の役員もしくは従業員であった者で、かつ他の企業(子会社)の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、他の企業(子会社)の取締役会の構成員の過半数を占めていること
  3. 他の企業(子会社)の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在していること
  4. 他の企業(子会社)の資金調達額(貸借対照表の負債の部)の総額の過半について融資を行っていること
  5. 他の企業(子会社)の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること

(3)40%未満の議決権しか所有していなくても、自社と密接な関係があり自社と同一の意思決定を行う者が所有している議決権を合わせると、過半数(50%超)の議決権を所有していて、かつ、上記(2)の「2」から「5」のいずれかの要件を満たしている場合

 

選択肢に記載されている条件を整理して「子会社の定義」の条件を満たしているか確認していきます。

議決権(自己保有数) 不明 40%未満 40%以上
50%以下
過半数
議決権(自己保有数+自己と緊密な者および同意している者の保有数) 過半数 過半数 過半数
備考欄 他の企業の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在

 

(ア)適切です。

子会社の定義における(3)であり、かつ(2)の「5」の条件を満たしているため、選択肢の記述は適切です。

 

(イ)不適切です。

子会社の定義における(3)に該当しますが、(2)の「2」から「5」のいずれの条件も満たしていないため、選択肢の記述は不適切です

 

(ウ)適切です。

子会社の定義における(2)であり、かつ「1」の条件を満たしているため、選択肢の記述は適切です。

 

(エ)適切です。

子会社の定義における(1)の条件を満たしているため、選択肢の記述は適切です。

 

答えは(イ)です。


 

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