財務・会計 ~H26-3 税効果会計(3)~

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今回は、「財務・会計 ~H26-3 税効果会計(3)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成26年度一次試験問題一覧~

平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

税効果会計 -リンク-

「税効果会計」については、過去にも説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。

 

「税効果会計に係る会計基準」の一部改正

「2018年2月16日」に、企業会計基準委員会から以下の「企業会計基準」と「企業会計基準適用指針」が公表され、「税効果会計に係る会計基準」の内容が一部改正されました。

本ページに記載している内容は、新しい「企業会計基準(2018年2月16日公表)」に対応していない可能性がありますので、ご注意ください。

  • 「税効果会計に係る会計基準」の一部改正
  • 税効果会計に係る会計基準の適用指針
  • 繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
  • 中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針

 

評価性引当額

「評価性引当額」とは、税金の前払いの意味合いを持つ「繰延税金資産」のうち「回収可能性がない」と判断された金額のことを示しています。

「繰延税金資産」は将来納付する法人税等の金額を減少させる可能性を示していますが、それはあくまで、その企業が将来にわたって「繰延税金資産」以上の法人税等を納付できる十分な利益(法人税法上では課税所得)を上げ続けていることが前提となります。

つまり、将来にわたって「繰延税金資産」以上の法人税等を支払うだけの十分な利益(法人税法上では課税所得)を上げることができない場合は、「繰延税金資産」の「回収可能性がない」として「評価性引当額」が増加することとなります。

 

繰延税金資産とは

「繰延税金資産」とは、「法人税法の限度額を超える減価償却費の計上や引当金への繰入額」などによって発生する法人税等支払額の差分です。

法人税法の限度額を超える減価償却費の計上や引当金への繰入額がある場合、企業会計においては「費用」に計上して法人税等支払額を算定しても、法人税法上では「損金」として認められない(損金不算入)ため、実際にその期に納付する税金は、企業会計で算定した法人税支払額よりも高くなってしまいます

しかし、将来的には企業会計で算定した法人税支払額よりも、実際に納付する法人税等の金額を減少させるという効果があるため、税金の前払いの意味合いを持つとされています。

 

「税効果会計」の詳細については「H29-6-1 税効果会計(1)」と「H29-6-2 税効果会計(2)」でも説明していますのでアクセスしてみてください。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成26年度 第3問】

税効果会計における評価性引当額に関する記述として、最も適切なものはどれ
か。ただし、スケジューリング不能な一時差異に係る繰延税金資産は存在しない。

 

ア 他の条件が一定のとき、将来における課税所得の減少は評価性引当額の増加を招く。
イ 他の条件が一定のとき、タックスプランニングの内容は評価性引当額に影響しない。
ウ 他の条件が一定のとき、当期の業績低下は評価性引当額の増加を招く。
エ 他の条件が一定のとき、当期の繰越欠損金の発生は評価性引当額の減少を招く。

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

「税効果会計」の「評価性引当額」に関する知識を問う問題です。

「評価性引当額」とは、税金の前払いの意味合いを持つ「繰延税金資産」のうち「回収可能性がない」と判断された金額のことを示しています。

 

(ア) 適切です。

「繰延税金資産」により計上している将来の法人税等を減少させる効果を享受するためには、その企業が将来にわたって「繰延税金資産」以上の法人税等を納付できる十分な利益(法人税法上では課税所得)を上げ続けていることが前提となります。

選択肢に記述されているような「将来における課税所得の減少」が発生すると、「繰延税金資産」の効果を享受することができなくなるため、評価性引当額(繰延税金資産のうち「回収可能性がない」と判断された金額)の増加を招きます。選択肢の記述は適切です。

 

(イ) 不適切です。

「タックスプランニング」とは「繰延税金資産」を確実に回収できるように、将来の法人税等支払額について計画を立てておくことです。

企業の利益(課税所得)だけで「繰延税金資産」を回収しようとする場合は、業績の悪化により「繰延税金資産」を回収できなくなるリスクも伴うため、「タックスプランニング」では、保有している有価証券や不動産などの売却により、利益(課税所得)を確保する方法などを含め検討していきます。

「タックスプランニング」の内容により「繰延税金資産」の「回収可能性」を高めていくことができる(評価性引当額に影響を与える)ため、選択肢の記述は不適切です。

 

(ウ) 不適切です。

「繰延税金資産」の「回収可能性」は、その企業が将来にわたって「繰延税金資産」以上の法人税等を納付できる十分な利益(法人税法上では課税所得)を上げ続けていることが前提となります。

選択肢(エ)のように「繰越欠損金」が発生するほどに業績が低下すれば、次年度以降の課税所得の減少を伴うため「評価性引当額」の増加を招きますが、「当期の業績低下」では次年度以降の課税所得には影響を与えないため「評価性引当額」にも影響を与えません。選択肢の記述は不適切です。

(選択肢(エ)で繰越欠損金について論じられているため、選択肢(ウ)では繰越欠損金が出るほどの業績低下ではないとの判断による)

 

(エ) 不適切です。

「当期の繰越欠損金の発生」は、次年度以降で黒字経営となった場合でも課税所得を減少させる(課税所得から繰越欠損金を控除する)ため、「評価性引当額」の増加を招きます。選択肢の記述は不適切です。

 

答えは(ア)です。


 

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