財務・会計 ~H22-11 予算・実績差異分析(5)販売費(予算差異)~

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今回は、「財務・会計 ~H22-11 予算・実績差異分析(5)販売費(予算差異)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成22年度一次試験問題一覧~

平成22年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

予算・実績差異分析 -リンク-

「予算・実績差異分析」は、計画された原価/売上/利益と実際に発生した原価/売上/利益を比較して、差異が発生した要因を分析する手法のことをいいます。

本ブログにて「予算・実績差異分析」について説明しているページを以下に示しますのでアクセスしてみてください。

 

 

差異分析

「差異分析」については、過去にも説明していますが、今回の問題のように変動費と固定費が混在している費用の「差異分析」についてはこれまで説明していません。

 

問題では「販売費」の差異分析が出題されていますが、この種の問題では一般的に「製造間接費」を扱った問題として出題されることが多いため、本ブログでも「製造間接費」について説明を行っていきます。

 

製造間接費とは

製造間接費とは、どの製品の製造にかかった費用なのかを判別することができない費用であり、ある一定の基準によって各製品に割り当てられる(配賦される)原価です。

「個別原価計算」では製品原価を「直接材料費」「直接労務費」「直接経費」「製造間接費」に区分して、また「標準原価計算」では製品原価を「直接材料費」「直接労務費」「製造間接費」に区分して原価を計算していきます。

「製造直接費」は、製品ごとにその発生原価を管理できるため製品に直接割り当てられます(賦課という)が、「製造間接費」は各部門ごとに発生原価を集計して、その集計原価をある一定の基準に基づき各製品に配賦します。

 

分類 項目 説明
製造直接費 直接材料費 どの製品の製造にかかった費用なのかを判別できる費用であり、製品に直接割り当てられます。(賦課)
直接労務費
直接経費
製造間接費 間接材料費 どの製品の製造にかかった費用なのかを判別できない費用であり、ある一定の基準によって各製品に割り当てられます。(配賦)
(例:直接作業時間を配賦基準とする。)
間接労務費
間接経費

 

製造間接費の差異分析

製造間接費は「変動費」と「固定費」が混在しており、差異分析により「予算差異」と「操業度差異」に分解することができます。

製造間接費は、ある一定の基準に基づき各製品に配賦されますが、配賦される金額は「実際の操業度に基づく予定配賦額」となるため、実際に発生した製造間接費との差異分析を行い、問題の原因を特定していかなければなりません。

 

言葉だけでは理解が難しいので、図を交えて説明していきます。

 

予算差異

「予算差異」とは、実際に発生した製造間接費と、実際の操業度における予算の計算式から算出される製造間接費(予算許容額)を比較して算出します。

 

  • 予算許容額:変動費率 × 実際操業度 + 固定費

 

実際に発生した製造間接費が予算許容額を超えている場合は「不利差異」が、実際に発生した製造間接費が予算許容額より少ない場合は「有利差異」が発生していると判断します。

 

操業度差異

「操業度差異」とは、当初予定していた操業度どおりに操業できなかった(生産できなかった)ために生じる差異を表しています。

「操業度差異」は、基準操業度における製造間接費(固定費)と実際の操業度における予算の計算式から算出される製造間接費(固定費)を比較して算出します。

実際の操業度が当初見込んでいた操業度より少ない場合は「不利差異」が、実際の操業度が当初見込んでいた操業度より多かった場合は「有利差異」が発生していると判断します。

 

「操業度差異」の不利差異と有利差異の考え方

例えば、製造間接費(固定費)の計画値(100万円)を、製品Aに「100円@1個」で配賦することを計画しており、当期における製品Aの生産数量は「10,000個」を予定していました。

実際には、製品Aを「8,000個」しか生産することができなかった場合、実際の生産数量に基づき、製品Aには製造間接費(固定費)が「80万円」しか配賦されまないため、残り「20万円」の製造間接費(固定費)を製品原価に割り振ることができなくなってしまいます。

これが「操業度差異」であり「20万円(不利差異)」となります。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成22年度 第11問】

変動予算性を採用しているX社の販売費予算と実際販売費等は次のとおりである。実際販売数量に対する販売費予算と実際販売費の差異(予算差異)として、最も適切なものを下記の解答群から選べ(単位:円)。

 

予算 実際
販売数量 100,000個 90,000個
変動販売費 600,000円 564,000円
固定販売費 800,000円 811,000円
販売費計 1,400,000円 1,375,000円

 

[解答群]

ア 11,000(不利差異)
イ 24,000(不利差異)
ウ 25,000(有利差異)
エ 35,000(不利差異)

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

変動予算性を採用しているX社における販売費の「予算差異」を求められています。
これまでに説明してきた「差異分析」とは異なり、変動費と固定費が混在している費用の「差異分析」です。

「予算差異」とは、実際に発生した販売費と、実際販売数量における予算の計算式から算出される販売費(予算許容額)を比較して算出します。

実際に発生した販売費が予算許容額を超えている場合は不利差異が、実際に発生した販売費が予算許容額より少ない場合は有利差異が発生していると判断します。

なお、予算許容額とは、実際販売数量における予算(変動費率 × 販売数量 + 固定費)で求めることができます。

ちなみに、販売費は、製造間接費のように製品原価に配賦されるわけではなく、全額が「販売費及び一般管理費」の区分に記載されるため「操業度差異」という概念は発生しません

言葉だけでは理解が難しいので、図を交えて説明していきます。

 

X社の販売費使用計画

X社の当初の販売費使用計画(予算)を以下に示します。
当然ながら「固定費」は固定額(80万円)ですが、「変動費」は製品1個当たり「6円」に設定して販売数量10万個を見込んでいるため、トータルで「60万円」の変動販売費を使用することを計画していました。

 

 

X社の販売費使用実績と予算差異の分析

実績として、販売数量は9万個となり、計画より1万個少ない結果となりました。
この場合、「実際に発生した販売費」と「実際の販売数量(9万個)における予算許容額」の差分が「予算差異」です。

販売数量(9万個)における予算許容額は「変動費率 × 販売数量 + 固定費」で計算することができます。

  • 予算許容額
    6円@1個 × 90,000個 + 800,000円 =1,340,000円

 

実際に発生した販売費は「1,375,000円」であり、実際の販売数量(9万個)における予算許容額「1,340,000円」を上回っているため、「不利差異」が発生していることとなります。

  • 予算差異
    予算許容額(1,340,000円)-実際に発生した販売費(1,375,000円)= ▲35,000円(不利差異)

 

 

答えは(エ)です。


 

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