今回は、「財務・会計 ~H24-14 正味運転資本(1)~」について説明します。
目次
財務・会計 ~平成24年度一次試験問題一覧~
平成24年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。
正味運転資本 -リンク-
「正味運転資本」単独で出題されることは少ないですが、フリーキャッシュフローの算出などに必要な知識として、二次試験の事例IVでも出題されますので、一次試験の段階からしっかりと勉強しておいて損はありません。
「正味運転資本」については、過去の記事の中でも必要に応じて説明していますので、以下のページにもアクセスしてみてください。
- H28-17-2 設備投資の経済性計算(3)投資により得られるCF
- H28-17-3 設備投資の経済性計算(4)例題(法人税を考慮しない場合)
- H28-17-4 設備投資の経済性計算(5)例題(法人税を考慮する場合)
- H28-9-2 財務指標の計算(2)
- フリーキャッシュフロー(FCF)(1)
正味運転資本の増加額
「正味運転資本」は、売掛金、棚卸資産などの流動資産や、買掛金などの流動負債の増減から算出することができます。
例えば、今年度に商品が売れたが、実際に現金が振り込まれるのは来年度というように、フリーキャッシュフローの計算などにおいて、収益発生(費用発生)と現金収入(現金支出)のタイミングのずれを正味運転資本の増減で調整します。
試験問題
それでは、実際の試験問題を解いてみます。
【平成24年度 第14問】
次のデータに基づいて前期から当期の1年間における正味運転資本の増減額を計算した場合、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
(単位:百万円) 前期 当期 流動資産 現金 32 5 受取手形 20 30 たな卸資産 30 40 流動負債 買掛金 5 20 支払手形 10 8 未払税金 50 60
[解答群]
ア 30百万円の減少
イ 20百万円の減少
ウ 6百万円の増加
エ 16百万円の増加
中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html)
考え方と解答
「正味運転資本の増減額」に関する問題です。
問題文では、「正味運転資本の増減額」と記載されていますが、増加したのか減少したのかが曖昧になってしまうため、覚えるときには「正味運転資本の増加額」として覚えておくことをお薦めします。
「正味運転資本の増加額」は以下の公式により求めることができます。
流動資産の増加額
前期 | 当期 | 増加額 | |
現金 | 32 | 5 | -27 |
受取手形 | 20 | 30 | 10 |
たな卸資産 | 30 | 40 | 10 |
合計 | 82 | 75 | -7 |
流動負債の増加額
前期 | 当期 | 増加額 | |
買掛金 | 5 | 20 | 15 |
支払手形 | 10 | 8 | -2 |
未払税金 | 50 | 60 | 10 |
合計 | 65 | 88 | 23 |
正味運転資本の増加額
流動資産の増加額(▲7百万円)- 流動負債の増加額(23百万円)= 正味運転資本の増加額(▲30百万円)
答えは(ア)です。
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