財務・会計 ~H26-13 フリーキャッシュフロー(FCF)(1)~

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今回は、「財務・会計 ~H26-13 フリーキャッシュフロー(FCF)(1)~」について説明します。

 

目次

財務・会計 ~平成26年度一次試験問題一覧~

平成26年度の試験問題に関する解説は、以下のページを参照してください。

 

フリーキャッシュフロー(FCF)

「フリーキャッシュフロー(FCF)」は、二次試験の事例IVで出題される論点のため、一次試験の段階からしっかりと勉強しておいて損はありません。

 

「フリーキャッシュフロー」の「フリー」とは企業が資金提供者(金融機関、社債権者、株主など)に対して自由に分配できるキャッシュという意味です。

つまり、企業が営業活動により手に入れたキャッシュから、企業の営業活動に必要な設備投資などで支出したキャッシュを差し引いた残りのキャッシュであり、資金提供者である金融機関への利息の支払いや借入金の返済、社債を保有している人への利息の支払いや返済、株主への配当に充てることができるキャッシュのことを意味しています。

 

FCFの算出方法

FCFを求めるには2つの方法があり、問題によって使い分ける必要があります。

  1. 損益計算書、賃貸貸借表から算出する方法
  2. キャッシュフロー計算書から算出する方法

 

【公式1】損益計算書、貸借対照表から算出する方法

FCFは、損益計算書、貸借対照表の数値から、以下の公式で求めることができます。

 

 

  • 企業が営業活動により手に入れた税引後営業利益を基本として、減価償却費、設備投資額、正味運転資本を加減算してFCFを算出します。
  • 営業利益の算出過程において減価償却費は費用として差し引かれていますが、実際にキャッシュアウトしているわけではないため、税引後営業利益に加算します。
  • 税引後営業利益の算出過程に反映されていない設備投資額を減算します。
    設備投資額は、損益計算書や貸借対照表から読み解くのではなく、問題文で与えられるケースが多く見受けられます。
  • 正味運転資本増加額は、貸借対照表に明記されている売掛金、棚卸資産などの流動資産や、買掛金などの流動負債の増減から算出されます。

    例えば、今年度に商品が売れたが、実際に現金が振り込まれるのは来年度というように、収益発生(費用発生)と現金収入(現金支出)のタイミングのずれを正味運転資本の増減で調整します。

 

損益計算書、貸借対照表から算出する公式としては、上述の式を変形した以下の算出方法もあります。公式の違いをよく理解しておかないとケアレスミスを起こしやすい箇所なので、注意してください。

上記の式は「税引前営業利益」を以下の通り分解することで導くことができます。

 

【例題】
以下の数値データに基づくFCFを計算せよ。
ただし正味運転資本は増減していない。

売上収入 100百万円
原価支出 60百万円
減価償却費 10百万円
設備投資額 10百万円
法人税率 40%

 

当然ながら、どちらの公式を使っても答えは同じになりますが、問題文によってはどちらかの公式しか適用できない場合もあるため、両方の公式を使いこなせるようにしておく必要があります。

(100-60-10)×(1-40%)+ 10 - 10 = 18百万円

 

(100-60)×(1-40%)+10 × 40% - 10 = 18百万円

 

【公式2】キャッシュフロー計算書から算出する方法

FCFは、キャッシュフロー計算書の数値から、以下の公式で求めることができます。

 

 

「FCF=営業CF+投資CF」?「FCF=営業CF-投資CF」?

インターネット上にFCFを説明するサイトが多数ありますが、「FCF=営業CF+投資CF」と書いているサイトと「FCF=営業CF-投資CF」と書いているサイトに別れています。

「FCF=営業CF-投資CF」と書いているサイトは、FCFの定義である「企業が営業活動により手に入れたキャッシュから、企業の営業活動に必要な設備投資などで支出したキャッシュを差し引いた残りのキャッシュに従って計算式を紹介していると推測されます。

実際には、キャッシュフロー計算書の投資CFでは、設備投資等により支出した場合は「マイナス」として表記されるため、「FCF=営業CF+投資CF」という記載方法でも正しいと思います。

どちらの書き方も間違いではないと思いますが、私の場合は「FCF=営業CF+投資CF」として紹介するようにしています。

 

試験問題

それでは、実際の試験問題を解いてみます。

【平成26年度 第13問】

以下のデータに基づいて、A社のフリー・キャッシュフローを計算した場合、
最も適切なものを下記の解答群から選べ。

 

【A 社のデータ】

営業利益 200百万円
減価償却費 20百万円
売上債権の増加額 10百万円
棚卸資産の増加額 15百万円
仕入債務の減少額 5百万円
当期の設備投資額 40百万円
法人税率 40%

 

[解答群]

ア 70 百万円
イ 80百万円
ウ 120 百万円
エ 130 百万円

 

中小企業診断協会Webサイト(https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/shikenmondai.html

 

考え方と解答

問題文に、損益計算書、貸借対照表の数値データが与えられているため、「【公式1】損益計算書、貸借対照表から算出する方法」によりFCFを算出するパターンです。

 

 

正味運転資本の増加額

「正味運転資本」は、売掛金、棚卸資産などの流動資産や、買掛金などの流動負債の増減から算出することができます。

 

 

問題の数値を入れて、正味運転資本の増加額を求めます。

  • 流動資産の増加額 = 売上債権の増加額 + 棚卸資産の増加額 = 10百万円 + 15百万円
  • 流動負債の増加額 = 仕入債務の増加額 = -5百万円(※)
    (※)問題文では「仕入債務の減少額」となっています。注意してください。
  • 正味運転資本の増加額=流動資産の増加額-流動負債の増加額 = 30百万円

 

FCFの算出

「正味運転資本の増加額」以外の数値は、問題文に記載されている数値をそのまま「公式」に当てはめてFCFを算出します。

 

FCF = 税引前営業利益(1-法人税率)+ 減価償却費-設備投資額-正味運転資本の増加額
=200百万円 ×(1- 40%)+ 20百万円 - 40百万円 - 30百万円 = 70百万円

 

答えは(ア)です。


 

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